【TRPG】「やさしいゴブリン問題」は簡単に解決できる!

何だか低俗なアフィリエイトサイトみたいなタイトルになってしまった。

本日巷を賑わせている「優しいゴブリン問題」ですが、筆者の考えはひと言で言えば、こう。

「それ多分ルルブに書いてあります」

別に反論記事ではないです。筆者がどう考えているかという話なので、まあスルーしてもらって全然構いません。

優しいゴブリン問題とは何かというと、

・「一般的に邪悪とされているゴブリン」が、

・「実は何も悪いことをしていなかった」「悪事を働いていたのは別のモンスターだった」などの理由で冤罪だと分かったとき(または何らかの助けを自分やNPCにしていたとき)に、

・プレイヤー同士で命を助けるかどうか、

で議論になるという問題のことですね。

既に結論を述べた通り、大抵の場合はルールブックに答えが書いてあります。

相容れるかどうかはルールブックに明記されている

まず、あなたたちが遊ぶ世界観は何か、再確認しましょう。

剣と魔法こそが全てで、平和を愛するエルフと悪逆非道のオークが干戈を交えるファンタジー世界でしょうか。

多数の種族が共存し、ときに共闘し、ときに対立する多様な社会でしょうか。

悪徳エルフが人間を虐げ、正義のオークが夜の街を駆けるサイバーパンクでしょうか。

その世界観によって「ゴブリン」の立場は大きく異なってきます。

例えばソードワールド2.0だと、ゴブリンは「蛮族」に分類される、創造神を異にする種族です。基本的には分かり合えない存在です。

知能も高くなく、兵士として使われている場合には愚直に命令に従うしかなく、野に下って害獣となった場合にも己の欲を優先します。無害でいるのは不自然で、よほどの理由付けが必要でしょう。

逆に言えばそれだけの理由があるならば、シナリオ内で開示される情報にはっきりと明記しなくてはなりません。プレイヤーが情報収集判定に失敗した場合は、諦めましょう。いつの時代も、悲劇とは起こりうるものなのです。

分かり合える蛮族は高位の知能が高い種族(ドレイクなど)や、もともと戦闘向けではない種族(コボルト)に限定されます。

知能が高くても、その在り方で人間と共存出来ない存在もいます。トロールは誇り高く卑劣さを嫌う種族ですが、生物として欠陥でしかない戦闘本能を持っているので、相容れるケースは少ないでしょう。多くは戦いの中での名誉ある死を望むし、そうでないとプレイヤーも興醒めです。

ゴブリンに限定しなくとも、アルシャードシリーズには「奈落」という人類共通の敵が存在し、彼らには説得が通用しないとルールブックに明記されています。主人公の敵となるクリーチャーも、その大半が奈落の汚染を受けているので、倒すしかありません。奈落を浄化する奇跡は、少なくとも一般的なプレイヤーキャラクターは持ち合わせていません。

人間は説得可能な場合が多い

一方で人間が敵対存在の場合もあります。敵対する組織や悪党など。こういった敵キャラクターはプレイヤーと同等のデータを持っていることも多く、HPが0になったときに生死判定や、とどめを刺すかどうかの判断が行われます。

また、当たり前ですが同じ人間ですので、プレイヤーとしては殺すことに忌避感を抱く人がいるのも無理からぬこと。ましてや無抵抗になった相手に「トドメを刺す」と宣言するのは意外にハードルが高い人もいます。

これを「悪投なんだから殺すのが当たり前だろ!」みたいな議論をしてしまうと、最後の最後で卓の崩壊を招きかねません。

こういうとき、依頼主となる村などに「たまたま騎士(=治安を担う存在)がオフで単独で来ていた」とかやっておくといいかもしれません。単独だったので名乗るに名乗れなかったとか、老齢だったとか、身分だけで実力がない情けない騎士だとか、そういう理由をくっつけておけば、大抵は納得してもらえます。

また無力化した後なら村の自警団が身柄を預かることも出来るでしょう。いずれにせよ我々は司法国家である日本(または同様の国家)の住人ですから、「司法の手に委ねる」という選択肢はGMとして即興でもいいので用意出来るようにしておくといいでしょう。

では社会的に立場が強い悪党を捕らえたときはどうするか? その場合は2つほど選択肢があります。一つはより高い立場の高潔な人物(大抵、ルルブのどこかに用意されています)に委ねる、もう一つは「何度捕まっても懲りずに悪事を働く恒例キャラに仕立て上げる」です。

長期のキャンペーンなら、後者も十分にアリでしょう。いずれにせよ「人間」の扱いはセンシティブなものだから、GMは多数の選択肢を想定しておくことが、事故回避のコツです。

「ニンジャスレイヤーTRPG」の場合は、モータルをむごたらしく殺したPCニンジャが、ニンジャスレイヤーにインガオホーにむごたらしくスレイされるという特異な世界観ですが、もちろん忍殺TRPGを遊ぶ際には皆そのことを共有しているはずですよね。

「ゴブリンスレイヤーTRPG」の場合は、人間をむごたらしく殺したゴブリンが冒険者によってインガオホーにむごらしくスレイされる世界観です。ゴブリンの扱いは、もちろん皆さんご存知の通りだと思います。

「優しいゴブリン問題」の結論はルルブの中にある

世界観を熟読することで、「この下級の魔物に独立の意思があるのか」が分かります。

つまりGMやプレイヤーは、敵の設定の項目を読んだときに「あ、こいつは説得の可能性があるのか」「こいつは基本的に説得出来ないな」と分かるわけです。

「この問題は何度も繰り返されてきた」と件の記事にはありますが、特に最近のシステムに関して言えば「ルールブックを熟読すれば解決する問題である」と言って良いと思います。

現にFEARのルールブックやプレイガイドには「何か設定や判定で決着のつかない問題があったら、その責任を公式(FEAR)に押しつけていい」と太鼓判を押されていますので。

つまり「ルルブにそう書いてあるから、今回はそうしよう」と結論を出せるわけです。

SW2.0のゴブリンであれば(これはFEARではありませんが)「とはいえ蛮族。公式設定を考えれば、放置しておけばこいつ以外のゴブリンが暴れるかもしれんからなあ」と駆逐してしまっていいわけです。

GMがもし「優しいゴブリン」を想定していたなら、基本はGMの判断に従ったほうがいいです。とはいえ、うっかりすでにスレイしてしまった後、なんてこともあります。そういうときには「今回は公式のルルブ設定に従おう。次に同じことがやりたかったら事前に言ってくれ」と出来るわけです。

GMがスレイ前提で、プレイヤー側が「殺したくない」とごねたときには、はっきり言いましょう。「今回は公式の設定に従ってくれ」と。(まあ、本当に完全に無罪なら助ける方向にアドリブしてもいいと思いますが)

ルールブックを持つ利点はこういうところにもあります。もし卓の全員がルルブ未所持の場合、その判断はGMが自分一人の責任において行わねばならず、その判断が他のプレイヤーを納得させられなかった場合、「納得いかない。もうお前とは遊ばない」と言われるリスクが常にあるわけですね。

「公式ルルブに書いてあるから」とそのページを見せれば、ある程度納得しやすくなるので本当におすすめです。

逆に言えば、「卓が満場一致でゴブリンを助けようと決めた」のなら、おめでとう! その世界はあなた達だけの新しいブレイクスルーを得たのです! 誰もそれにケチをつける権利はありません!

卓が揉めたときにはルルブに従う。これは大原則です。プレイヤーの文句もGMの不満も、全て公式に押しつけていいのですから。

お前に言っているんだぞシャドウランのルルブ? いいから「GMの良識と常識」に一任するのをやめろ。

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