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『存在の客 at bonobo』

Itto SAKAI│酒井一途

7月15日、『存在の客』という名のオールナイトパーティを、神宮前bonoboで開催しました。大雨降りしきるなか、パフォーマーとしてお声がけしていた16人を含め、107名の方々がつどいました。

©︎尾花成春「存在するもの」1992年

つかのま物質を伴って世に生命を享けたにすぎない、
つかのまこのときこの場所で巡りあったにすぎない、
わたしたちは、なににでもなれ、なにものでもない。
存在の客とは、そうした一客としてのわたしたちが、
友情を交わし自由を謳歌するための一夜の場である。

『存在の客』への案内文

他人を自分の兄弟と考えられれば、他人を最大に愛するようになれるだろうか。実は、これは愛の問題ではなく寛容の問題—我慢をし、なんとか快活で情深くあろうとする問題—である。私の考えでは、慈悲心を高めるには自己および他人をこの惑星上の異邦人—旅をしている旅行者(道づれ)—とみなすのがもっともよい。普通、旅行者はお互いに友情にあついものである。人間は「存在の客」である、とパステルナークは言っている。

(エリック・ホッファー『波止場日記』一九五八年十二月五日)

Performances | Live
  Aokid ウェルカム エントランス!
  김고은 立
  武本拓也 ドキュメント
  立本夏山 室生犀星『愛の詩集』朗読パフォーマンス
  田中堅大+Aokid Live
  夏井俊吾 DJ
  本間菫子 Live Painting
  Marie Hahne someone/ anyone/ no one
  ミキウエノ Live
  モテギミユ Blank Pool (hello)
  jutta RAINN Live Performance ”Guests of Existence”

Participatory
  出野龍郎 Portrait
  秋山きらら マルコビッチのパーティ
  東海林美紀 Ethiopian Coffee Ceremony
  Tent Sauna at Terrace

  鉱石 氷 石の展示販売
  umu 創作タコス

ゲストによるプログラム


「いろんなタイプの人間が絶妙なバランスで存在していた」とか「長い時間だからこその人との関係が流れていくことが久しぶりで何か感覚を呼び起こされるような時間」とか「満員が続き、ボルテージも常に高く、能動的な素晴らしい催し」といった言葉をいただき、これらの言葉は響きあうようにして、このパーティの場に生じた価値を表しているな、とあらためて思いました。

いろんなタイプの人間=ふだんの生活圏ではなかなか交じりえないひとたちが共にそこにあること。場の雰囲気や空気感をつくりあげ共有しあえる、絶妙なバランスでそれらの人びとが存在していること。人との関係が、出会いそしてまた別れていく流れの中にあること、つねに流動的であること。その流れの中にみずからの身を置くことが、何か感覚を呼び起こしてエモーショナルな体験として心に留まること。場のボルテージがオールナイトの長い時間においても、時間ごとにあらたな刺激を生み出して高まりをみせつづけること。参加する誰もが能動的であること。

こうしたことは、パーティにつどってくれた人びとの信頼に足る、場への「参加」のありかたによって紡ぎだされたものです。

パーティという場において、そこにつどう人びとの「参加」をうながしたいのです、しかし作為的(artificial)でなく偶発的(accidental)に。作為から逃れ偶発を企図するという、この矛盾したシチュエーションを場としていかにつくりあげることができるか、が最近のテーマです。

「未来派のパフォーマンスは、観衆の存在を否定するのではなく、その存在を際立たせ、そして彼らに自分たちの正体を明らかにさせ、彼らを奮い立たせ、安寧とした状態を断ち切り、従順な敬意の代わりに自信をつけさせることを意図したのだ、と。この目標に行き着くべく、未来派の演者たちは、観衆との関係をめぐるそれまでの基準をひっくり返したのだ」……〔未来派のアーティストは宣言する〕「〔観衆は〕行為に立ち会うのではなく、行為に加わるだろう」

(クレア・ビショップ『人工地獄 現代アートと観客の政治学』)

つぎに開催するとしたらどんなかたちがよいだろうか、と考えはじめています。

いちど規模をちいさくしてつどう人びと同士の親密さをもっと高めてみるとか、思いきって開催期間をながくとり「なにも起きない」を当たり前の状態にしてみるとか、ちょっとちがったかたちを思い描いてみています。

なにかいっしょに考えてみたいひとがいたらやりましょう。


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