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【公開回答状】スタックスが嫌われるってほんとうですか?

いってつです。

ツイッターではDMを開放していて、日々「ママ活のお誘い」「スマホだけでできる副業!」が届くのですが、ときどきマジックやEDHの悩み相談が届きます。

今回も届きました。

「スタックスデッキは嫌われるのか」。様々な意見があることだろうが、イベントでの実情と個人の考えをここでお話ししようと思います。

質問の第一印象

色んなEDH動画を見て自分もやりたくなりちまちまとデッキパーツを集めていたのですが、自分は白のスタックス系のクリーチャーが好きでついついデッキもスタックス系寄りになってしまいます。

白のスタックス系クリーチャーが好きだという気分は非常によくわかる。僕個人も高速コンボよりもスタックスカードでゲームスピードを鈍化させて、疲弊したところで針を刺すようにコンボを通すデッキが好きだ。

MTGをやるリアル友人とかは残念ながらいない為、主なプレイシーンはカードショップでの大会なのですが、スタックス系は嫌われがちだと聞いて不安になっています。

カードショップに通えばカード友達ができるから大丈夫!しかし「スタックスは嫌われる」という話はよく聞く話だ。

初心者がスタックス系デッキを使ってきたら引きますか?(個人の想定だとデッキレベルは5~6あたりだと思います)

「初心者がスタックスを使っていたら引くか」。結論から述べると、僕は引かない。が、スタックスデッキを初心者にはおすすめしない。

スタックス

まずは統率者戦における「スタックス」という言葉についてはっきりさせておこう。

スタックス
ヴィンテージに存在する妨害アーティファクトを用いたデッキ。転じて、対戦相手の行動を阻害するパーマネントやカード、戦術、デッキ。

マジックのゲーム用語・スラング辞書【随時更新】

「呪文は1ターンに1つしか唱えられない」
「サーチはできない」
「アーティファクトの起動型能力は起動できない」

……といった、対戦相手の行動を縛り、自分はその影響を受けないカードや戦術で戦うのが「スタックス」デッキだ。

スタックスは嫌われている?

スタックス戦略は嫌われるのだろうか。「嫌っている人がいる」のは事実だ。

EDHRECが毎年まとめている「Top 100 Saltiest Cards(しらけるカード100選)」を見ると、やはりスタックスカードが多い。

100枚中、だいたい半分くらいのカードはスタックスカードであるか、土地の全体破壊だ。残りは追加ターンであったり、強力な統率者だったり、単純に高額で強力なカードだったりする。

先日、TC東京で出会った外国人のプレイヤーも「俺はマナを縛るカードが嫌いだ。《飢餓の声、ヴォリンクレックス》とか」と話していた。

一方で、日本のプレイヤーで、ある程度の期間統率者戦をプレイしているプレイヤーはそれほどスタックスカードを嫌ってはいないというのが僕の持つ印象だ。「スタックスを除去する手段を持ってない俺が悪い」という風に帰結するプレイヤーが多い。ただし、「条件」がある。

スタックスデッキを握る条件

それは勝つことだ。

スタックスカードを用いてゲームスピードを鈍化してコンバット勝利するとか、自分はスタックスが効かないコンボを使うとか、「スタックスが勝利につながる」ように構築、プレイするのが好ましい。

スタックスという戦略は難しく、初心者向きではない。統率者戦は「他人のミス」で負けるゲームであるため、「となりのやつが考えなしにスタックスカードを置いたせいで負けた」なんてこともありうるのだ。

特に質問者さんの場合、イベントでのプレイを予定している。ショップやイベントにもよるが、おおむね制限時間は「1時間」だ。スタックスカードはゲームを長引かせる。ひたすらスタックスカードを展開して、何も起きなくなってゲームが終わる……というのは、少し寂しい

スタックスカードをどう採用するか、どう展開するか。どうやって勝つか。

「どうしてそのカード入れているの?」「そうしていまプレイしたの?」という質問に対し、「好きだから!」という回答を認められない人もいるのだ。

15分で十分

例えば、先日の第4期統率者神決定戦では《雇われの剛力、スライサー/Slicer, Hired Muscle》がトップ12に残っていた。スタックスカードが10枚以上採用されているが、一時間以内に全員を殴りきることが十分できる。

これはスタックスカードを勝利するための手段として用いた、優れた使用例だ。

スタックスカードを入れる条件

一方で、単純にスタックスカードを採用するだけなら多くのデッキがそうしている。

白いデッキの《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》や《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》は多くのデッキで目にする。

勝手ながら、質問者さんの投稿をさかのぼり、デッキリストを確認させていただいた。

いいデッキだ。

エーデリンとともにスタックスクリーチャーを展開。対戦相手がモタモタしている間に、《ルーンの母/Mother of Runes》などを使い、高打点エーデリンの統率者ダメージを通す。いいねえ。

日本ウィザーズの10段階分類の5-6程度のパワーは十分にある。一時間程度でゲームを終わらせることも可能だろう。《沈黙/Silence》系カードや《確実性の欠落/Lapse of Certainty》は半端なコンボデッキを「わからせる」こともできよう。

静態の宝珠がアンタップ状態であるかぎり、
プレイヤーは自分のアンタップ・ステップに
パーマネントを2つまでしかアンタップできない。

《静態の宝珠/Static Orb》も、エーデリンデッキでは対戦相手がブロッカーを立てにくくなるカードなので戦略とよく合致している。考えなしにプレイすると大変なことになりそうだけど。

一目見てこのデッキがどうやって勝つのかよくわかる。ただ、もう少し前向きなカードがあってもいいかもしれない。《セラの高位僧》とか旧エリシュノーンとか。

白のスタックスクリーチャーを使いたい!ということなら、黒を足してブリーナを使うのもいいと思います。


結論

スタックスを嫌う人もいる
スタックスというアーキタイプは難しい
スタックスカードを使うことは悪くない

こんなところ。個人的にはスタックス戦略のデッキと戦ったり、スタックスカードをくぐり抜けてどう勝つか考えるのは嫌いじゃないんだけど、「スタックスを憎んでいる人」がいるのも確かだ。

何度もイベントに参加すると、いつか不機嫌なプレイヤーと出会うかもしれないけれど、それはしょうがない。そんな日もある。

でも好きなデッキを使ったほうがいいと思う。もちろん、一緒に遊んでくれる人への感謝とリスペクトは忘れずに。

この記事を書いたのは

いってつ
脚本家、小説家、ライター。
映画と写真、マジック:ザ・ギャザリングが好き
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