無色統率者戦入門
いってつです。
ふだんは晴れる屋で記事を書いたり動画に出演したりドッキリにかけられています。無色統率者が好きです。最終戦績は盛り上げハッピー。
僕が動画や記事でしつこく無色統率者の魅力を伝えてきたことで、コジレックデッキを手にするプレイヤーが全国的に増えているようです。
これまでデッキの解説はしてきましたが、具体的なプレイの指針、カードの採用基準などは書いてきませんでした。今回は統率者戦デッキ《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》を題材に、統率者戦の無色デッキについて学んでいきましょう。
増田さんの記事に触発されまくっています。みんなも読もう!
無色統率者とは
固有色を持たない統率者デッキをさす。
2023年8月時点で無色でアーティファクトでもクリーチャーでもない呪文は17枚しか存在せず、インスタントにいたってはわずか6枚である。
必然、デッキのほとんどのカードを「クリーチャー」「アーティファクト」「土地」が占めることになり、インスタントタイミングのアクションがもっとも弱い色ともいえる。
しかし、まったく無防備ということはなく、インスタントタイミングで起動できるアーティファクトや土地の能力で不意を突くことができる。君も《死の国からの脱出/Underworld Breach》に対応して《完全化の杖/Staff of Compleation》の増殖能力を起動して《ウルザの物語/Urza's Saga》を第三章に進めて《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》を戦場に出そう。
無色デッキの弱点
戦場にリソースをため込んでしまう
デッキのほとんどのカードがパーマネントカードであり、リソースを戦場にため込むことになる。こうしたデッキは全体除去ですべてを失うリスクがある。また、戦場にない情報(ここまでドローやサーチをした回数、アーキタイプごとの早さなど)を評価することに不慣れなプレイヤーに必要以上に警戒されてしまうことも弱点といえるかもしれない。
アーティファクト対策カードの存在
デッキの大半がアーティファクト・カードとなるため、《無のロッド/Null Rod》《進歩の災い/Bane of Progress》などのアーティファクト対策カード1枚でゲームから脱落しうる危うさも大きな弱点である。
《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》《選別の儀式/Culling Ritual》を通してしまえば自分がゲームから脱落するだけでなく、そのままゲーム決着に至るほどのマナを対戦相手に獲得させてしまう。
採用されることはまれだが、《虚空の鏡/Void Mirror》といったより致命的なカードも存在する。
除去・ドロー・サーチの乏しさ
マジックのデザイン上の都合により、無色のマナのみで唱える・起動ができる除去やドロー、サーチは弱く設計されている。どんな色のデッキでも採用できるカードに強力な除去・ドローをデザインしてしまうと、色ごとの特色が薄れてしまうからである。
統率者戦ではレガシー級の除去・ドロー呪文を使用可能である。《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《殺し/Snuff Out》《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy》を見た後に見る《殲滅学入門/Introduction to Annihilation》はいかがだろうか。
デッキが高い?
これは非常によく言われるのだが、誤謬である。《Mishra's Workshop》を例に挙げてデッキが高いと言われてしまうが、ほとんどのコジレックデッキには《Mishra's Workshop》が入っていないがみんな楽しそうにプレイしている。そもそも、どんなデッキでも究極完全体を目指せば高額になってしまうのは当たり前である。
無色デッキの利点
エルドラージを統率領域に置ける
エルドラージという人気のある「悪役」に魅力を感じる方も多いはずだ。なかでも《真実の解体者、コジレック/Kozilek, Butcher of Truth》《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》はマナ・アーティファクトが生み出した大量のマナを使ってドローをすることができ、統率者戦のルールとよくかみ合った伝説のクリーチャーといえよう。
マナ加速が強力である
マジックでマナ加速といえば緑、ついで赤、黒の領域である。
緑のマナ加速の多くは「プレイした次のターン以降に使えるマナが増える」というものである。赤・黒のマナ加速の多くは「そのターン中に使えるマナが増える」というものである。緑は中長期的投資、赤・黒は手札やパーマネントを瞬間的なマナと交換するというかたちだ。
一方、アーティファクトのマナ加速は《太陽の指輪/Sol Ring》のようにプレイしたターンから使えるマナが増えつつ、次のターン以降に使えるマナも増えるというものが多い。
《魔力の櫃/Mana Vault》などはプレイしたターンに使えるマナが増える《暗黒の儀式/Dark Ritual》のようなカードでありながら、そのマナを次のターン以降に持ち越すという選択肢もあり、《通電式キー/Voltaic Key》で大量のマナを生み出すことも可能だ。
こうしたマナ加速は固有色にかかわらず採用が可能だが、こうしたカードを大量に採用してしまうと、色マナが足りず思ったように動けなくなってしまう。その点、無色統率者は色拘束が全くないため、こうした強力なマナ・アーティファクトを大量に採用できるのである。
リーサルが読まれにくい
あくまでコンボデッキでの利点であるが、アーティファクトの組み合わせによるコンボはその要件がわかりにくいため、リーサル(=致命的。転じて、ゲームの勝利に直結するアクション、カード。)が読まれにくい。また、アーティファクトは比較的打ち消しが当たりにくい呪文である。《白鳥の歌/Swan Song》、《狼狽の嵐/Flusterstorm》、《紅蓮破/Pyroblast》などマナ総量1の打ち消しの多くが当たらない。
これは同時に弱点でもある。アーティファクトを中心としたコンボはその手順が複雑であることが多く、逆にリーサルを逃す(うまくプレイできれば勝利できる状況だったにもかかわらず、手順を間違えたり、そもそも気付けなかった、など)ことも多い。
《大いなる歪み、コジレック》
《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》のテキストを見ていこう。
10マナというマナコストは考えなしに捻出できるものではない。マリガン判断、デッキ構築の時点からゲームは始まっている。
もし3ターン目にコジレックをプレイしたいなら、2ターン目までに7マナぶんのマナ加速が必要だ。1ターン目に《ウルザの物語/Urza's Saga》をプレイしていたとしても、あと4マナぶんを2ターンで確保しなければならない。
これは誘発型能力。《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》本体を打ち消されたとしても、この誘発型能力を《もみ消し/Stifle》などで打ち消されなければドローはできる。
《ウギンの聖域/Sanctum of Ugin》が戦場にある状態で唱えたときには、「ドロー能力」→「聖域の能力」の順番で解決するようにスタックにのせる。そうすれば、手札が7枚になったあとで、《ウギンの聖域/Sanctum of Ugin》を生け贄に捧げてサーチするかどうか選ぶことができる。
サクり台で《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》や《彩色の宝球/Chromatic Sphere》を生け贄に捧げてコジレックを唱える場合、マナ能力の起動のタイミング次第でドローできる枚数が2枚以上変わってくることもある。詳しくは後述。
威迫を持つクリーチャーは、2体以上のクリーチャーによってしかブロックされない。12/12というスタッツを無傷で受け止めることは難しい。基本的には2体のクリーチャーを差し出すことになる。
多くのプレイヤーはクリーチャーを失うことを恐れて、コジレックの一撃目をブロックしないことを選択する。すると、統率者ダメージ12点を受けることになり、今後コジレックの攻撃はマストブロックとなる。(この状態を「残機0」と呼ぶ。)
例えば、マナ総量3の《リスティックの研究/Rhystic Study》に対応して、同じくマナ総量3の《金属細工師/Metalworker》を手札から捨てれば打ち消すことができる。
これは起動型能力。《もみ消し/Stifle》などでなければ対応できない一方で、《呪われたトーテム像/Cursed Totem》や《真髄の針/Pithing Needle》、《星界の大蛇、コーマ/Koma, Cosmos Serpent》などで起動できなくなってしまうことがある。
並みの打ち消し呪文ではこのコジレックの能力に対応できない。《偏向はたき/Deflecting Swat》などの能力の対象を変更する能力であっても、対処することは難しい。コジレックの能力で捨てたカードと同じマナ総量である別の呪文がスタック上になければならない。
かっこいい。
アーキタイプ
単純に「コジレック」といっても、さまざまな戦略がある。どのように勝利するかという観点で、3つに大別することができる。コンボ、ストンピィ、クロックパーミッションである。
それぞれサンプルリストを掲載した。いってつが使用しているリストであるが、これが「正しいリスト」「最強のリスト」ではない。好きなようにデッキを組んで楽しむべきだ。
コンボ
いってつが一番好きなのはこれ。
「KCI」「モノリス」「未来コマ」などアーティファクトコンボを狙う。アーティファクトをガチャガチャ動かすという意味ではもっとも茶単ぽい。
コジレックはドローと空中戦要因で、必ずしも殴らなくともよい。
茶単にはサーチカードが少なく、コンボパーツを集めるのは簡単ではない。デッキに単体だと何もしないカードをいくつも入れる必要があるのが難点。コンボデッキではあるが速度は遅いため、スタックスカードを入れるかコジレックを早期に着地できるように工夫が必要。
《オークの弓使い》で《無のロッド》は減っているが、《一つの指輪》の登場以来、アーティファクトのコピーとして戦場に出るカードの採用が増えていることも逆風。対戦相手にアーティファクトをコピーされてコンボされて負けるということがないように。
ストンピィ
『統率者マスターズ』の構築済みデッキや晴れる屋で販売している構築済みデッキはこれに近い。比較的プレイ難度が低い。
マナ加速→巨大なエルドラージをプレイして強固なボードを作り、コンバットで勝利する。
エルドラージを多めに採用するため、《タイタンの存在》などのカードが使いやすい。《ウルザの保育器》《ウギンの目》のバリューも高くなる。相対的に《Mishra's workshop》《ライオンの瞳のダイヤモンド》は弱い。
デッキ内のマナ総量が5マナ以上に偏りがちで、コジレックの打ち消し能力を使いにくい。
クロックパーミッション
いってつが使用するのは主にこれ。
マナ加速→統率者コジレックをプレイ。コジレックの攻撃を6回通すことで勝利する。茶単界のデルバー。
エルドラージタイタンは少なめ、1~3マナ域のカードが多く、手札が入れ替わるカードの採用が特徴。
《ならず者の道》《エボニー・フライ》などコジレックの攻撃を通すためのカードも多数。
クリーチャーを横に広げるデッキは苦手。
青が一人だけのテーブルも苦手。
サンプルリスト 晴れる屋販売デッキリスト
晴れる屋デッキセット販売で販売されているリスト。税込み9,900円で販売されている。とにかく安価でコジレックを始められることが魅力のリストでありながら、無色デッキらしいマナ加速→ビッグアクションといった楽しさが詰まっている。
《魔力の墓所/Mana Crypt》どころか《魔力の櫃/Mana Vault》も入っていないが、それでも無色デッキらしいマナジャンプは可能だ。
2マナのマナアーティファクト2枚、4マナのマナアーティファクト1枚、土地4枚を握ってスタートすれば、
2T 土地、2マナアーティファクトを置く
3T 土地、4マナアーティファクト+2マナアーティファクト
これで4Tに土地を置ければ8マナ使える。これまでの4枚のドローでマナアーティファクトを引いていれば、次のターンには10マナ使える。
こういった展開は全く珍しいことではない。マリガンの練習をすれば、こんなデッキでも5ターン目にコジレックを唱えることはできる。5ターン目に手札を7枚まで補充しつつ、次のターンには10マナ以上使えて、12/12威迫が戦場に!
マナ・アーティファクト
コジレックデッキはアーキタイプにかかわらず、大量のマナ・アーティファクトを使用する。
マナ・アーティファクトひとつひとつへの具体的な解説は「マナ・アーティファクト概論」(未開講)を待ってほしい。ここではどのような基準でマナ・アーティファクトを採用しているかを見ていく。
2マナ以上が出るアーティファクトは強い
《魔力の墓所/Mana Crypt》や《太陽の指輪/Sol Ring》が強いのは当然として、《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》や《シッセイの指輪/Sisay's Ring》は強いのだろうか。
単純に一枚のカードで加速できる点数という観点から、2マナ以上加速できるカードは重要である。
3ターン目にコジレックを唱えることをめざすとしよう。7枚の手札でキープできたとして、そのあと3ターン目まで3枚のカードをドローする。3ターン目までに使用できるカードは10枚、つまりカード1枚当たり1マナ以上が出せなければならない。
先述のクロックパーミッションのサンプルリストではカード1枚当たりの生み出せるマナの合計は101である(《金属細工師》は2、《永遠溢れの杯》は1で計算。コスト軽減能力は加味していない)。つまり、カード1枚が生み出せるマナの期待値はおよそ1である。10枚のカードがあれば、10マナ出せる見込みがあるのだ。
《精神石/Mind Stone》などの2マナのアーティファクトは再序盤からプレイでき、小回りが利く。コジレック着地後も打ち消しとしてかなり使いやすい。しかし、1マナしかでないアーティファクトばかりでは10マナになかなか到達できないのだ。
《極楽の羽ばたき飛行機械/Ornithopter of Paradise》や《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》などのカードが先述のリストにはないが、仮にこうしたカードを《シッセイの指輪/Sisay's Ring》などと入れ替えた場合、3ターン目に10マナに到達するのは難しくなっていく。
このように、コジレック以外ではドローが難しいデッキだからこそ、1枚のカードでどれだけのマナ加速が可能なのかという評価は、構築上非常に重要な要素なのだ。
《多用途の鍵/Manifold Key》《通電式キー/Voltaic Key》の横に2マナ以上出せるアーティファクトがあれば、《多用途の鍵/Manifold Key》はマナ・アーティファクトとしてふるまうことができる。《前兆の時計/Clock of Omens》のバリューも高まる。
有色マナより無色マナ
一般的には同じマナ総量で同じ点数のマナが出るなら、有色マナが出るものが優先される。しかし、無色統率者デッキでは《見捨てられた碑/Forsaken Monument》がある都合上、無色マナが出るほうが優先される。
《月銀の鍵/Moonsilver Key》はめちゃくちゃ強い
マナ能力を持つアーティファクトか、《荒地/Wastes》をサーチできる。《魔力の墓所/Mana Crypt》などの単純に強いアーティファクトをサーチするだけでなく、対戦相手の呪文に対応してマナ総量が同じカードを探したり、コンボパーツのサーチも可能。
例えば《見捨てられた碑/Forsaken Monument》+《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》による無限マナコンボではどちらのパーツともサーチ可能である。《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》もサーチ可能。無限マナが成立しているなら、《完全化の杖/Staff of Compleation》をサーチ、コジレックを破壊して唱えなおすことで手札に土地が7枚溜まるまでドロー可能。その後もライフのある限りドローが可能だ。
これ自身もアーティファクトなので《屑鉄さらい/Scrap Trawler》などで回収可能。
土地
コジレックデッキはアーキタイプにかかわらず、大量の特殊土地を使用する。
土地ひとつひとつへの具体的な解説は「特殊土地概論」(未開講)を待ってほしい。ここではどのような基準で土地を採用しているかを見ていく。
枚数
サンプルリストを見てみよう。
多い順に、ストンピィでは34枚、コンボでは31枚、コントロールでは29枚である。
特にストンピィとコントロールには仮想敵の違いが大きく出ている。ストンピィは緑を含めた中速デッキと戦うことを意識し、土地が伸び続けることを期待してやや多めの枚数となっている。一方、コントロールは高速なコンボが跋扈する環境で戦うことを意識し、《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》の存在を無視している。マナ・アーティファクトに妨害がほとんど飛んでこない前提で、マナ基盤を大きくアーティファクトに依存している。
土地の枚数が多いということは、コジレックが弱くなるということだ。土地・カードを捨ててもマナ総量0のカードしか打ち消せない。手札に土地をため込んでしまうと、コジレックを再び唱えてもほんの2,3枚程度のドローにしかならないこともある。
《荒地/Wastes》を入れるか
無色統率者デッキに《荒地/Wastes》を入れる動機として、以下のような例が挙げられる。
《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》を使いたい
《流刑への道/Path to Exile》や《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy》対策
《久遠なる栄光の笏/Sceptre of Eternal Glory》、《無限地帯/Myriad Landscape》など、複数枚の基本土地を参照するカードを使いたい
しかし、これに大量の特殊土地の魅力的な能力が競合する。《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》を使いたいなら2枚、そうでなければ1枚も入れないのがおすすめ。
ちなみに、《荒地/Wastes》は基本土地タイプを持たないので、《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》魂力がとんできたとしても《荒地/Wastes》をサーチすることはできない。
《Mishra's Workshop》を入れるか
持っているなら入れるべきだが、持っていないことが組まない理由にはならない。
もちろん非常に強い。1ターン目に《金属細工師/Metalworker》をプレイできる快感は代えがたい。
その一方で、《Mishra's Workshop》から出るマナではコジレックほかエルドラージを唱えることができない。《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》など、アーティファクトの起動コストにも使えない。
熱心にコジレックデッキを使い、デッキリストを盛んに共有しているプレイヤーが《Mishra's Workshop》を持っているというだけで、世の中のコジレック野郎のほとんどは《Mishra's Workshop》を持っていない。
だが、無色デッキが大好きになってしまって、どうしても《Mishra's Workshop》が欲しくなってしまったのなら、相談にのります。
《ウギンの目/Eye of Ugin》を入れろ
めちゃくちゃ強い。《Mishra's Workshop》なんて無視でいいから、《ウギンの目/Eye of Ugin》は買っておけ。
コジレック以下エルドラージを唱えるコストが軽くなることに加え、ストンピィなら後続のエルドラージや《街並みの地ならし屋/Cityscape Leveler》、コンボなら《歩行バリスタ/Walking Ballista》や《マイアの回収者/Myr Retriever》などのコンボパーツ、クロックパーミッションでは対戦相手の呪文に合わせてマナ総量が同じカードをサーチできる。どんなアーキタイプであっても強力な使い道がある。
伝説の土地なので《名誉に磨り減った笏/Honor-Worn Shaku》があればここから1マナでるような挙動が可能。《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》や《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ/Yavimaya, Cradle of Growth》でも同様。
《発明博覧会/Inventors' Fair》を入れろ
《月銀の鍵/Moonsilver Key》《ウギンの目/Eye of Ugin》と同様に、インスタントタイミングでカードをサーチできる。つまり、受けのカードとしても使える。アップキープの1点ゲインは超重要なので忘れないように。
《ウルザの物語/Urza's Saga》を入れろ
1ターン目にプレイできれば、3ターン目に4マナ使える土地。第三章で《宝石の睡蓮/Jeweled Lotus》《魔力の櫃/Mana Vault》《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》などを持ってこればよい。
唱えることなく《多用途の鍵/Manifold Key》や《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》を戦場に出せる点でも優秀。詳しくは「ウルザの物語研究」を待ってほしい(未開講。待ってもらってばっかだな)
ストンピィや、四番手になってしまった場合は「構築物・トークン」を作ることを優先した方がいいこともある。無色デッキでは簡単に8/8くらいになるのでかなり圧力がある。
弱点に向き合う
《波止場の恐喝者》
このカードの存在がアーティファクトデッキ、エンチャントデッキを抑圧している。が、仮に自分が統率者戦の禁止推奨カードについて決める会議に参加しても、自分からこのカードを話題には出さないだろう。
このカードが存在するおかげで《破壊放題/Shattering Spree》などの赤のアーティファクト全体破壊の採用が少なくなっている。アーティファクトを破壊するよりも、《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》でじゃぶじゃぶお宝をいただいたほうが勝利に結びつきやすいからだ。
「なら《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》がいる環境のほうがマシだ!」そんな気持ちで《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》と向きあおう。
コジレック着地前は《倦怠の宝珠/Torpor Orb》、着地後はマナ総量2のカードを捨てて対応しよう。白の《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》、青の《タッサの神託者/Thassa's Oracle》、黒の《溜め込む親玉/Hoarding Broodlord》、緑の《永遠の証人/Eternal Witness》などもキャンセルできる。
《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》が戦場に出たことによって「上陸」が誘発することもなくなる。クリーチャーの能力を誘発させないのではなく、クリーチャー(この場合は土地・クリーチャー)が戦場に出ることをきっかけに何かが誘発することをキャンセルしている。
《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》を墓地から戦場に戻される可能性も高く、一度打ち消したとしても油断はできない。別の対戦相手の《再活性/Reanimate》《動く死体/Animate Dead》で戦場に出てくることもしょっちゅうだ。
《無のロッド》系
《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》の登場以来はアーティファクトを止めるのではなく、宝物をもらってそのまま勝った方がいいという発想のデッキが増えた。
こうしたアーティファクト対策カードを使うデッキは、クリーチャーと土地でマナ加速ができる緑の濃いデッキ。しかし、《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》がそうした緑のデッキを強く抑圧した結果、統率者神決定戦のようなトーナメントでは《無のロッド/Null Rod》を見ることがかなり少なくなった。
《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》が採録によって手に入りやすくなたことで、《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》をカジュアルなテーブルで目にすることが増えており、それに呼応するかたちでカジュアルなテーブルでも《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》を目にする機会が増えている。
《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》が着地してしまうと、《異形化するワンド/Transmogrifying Wand》や《歩行バリスタ/Walking Ballista》の能力は起動できなくなる。これらのカードを除去するには、インスタントやソーサリー、プレインズウォーカーや土地の起動型能力、アーティファクトの誘発型能力を用いる。具体的には後述のいつか書く「除去」を参照。
無色のデッキに対して《無のロッド/Null Rod》をプレイされても怒ってはいけない。一枚のカードで大損害を受けるのは、私たちがピーキーなデッキを組んでいるからだ。
だが、《無のロッド/Null Rod》がスタック上にあり、誰かが優先権を得る前にこの「マジックワード」を唱えてみてほしい。
「勘弁してください」、だ。
あともうひとつある。
「それが出なければ次のターンに《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》が出せて構えられるんだけど...…だめかな?」、だ。
《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》を採用するカジュアルなデッキの多くは青くない。また別のプレイヤーが実はコンボパーツを握っているのでは?と猜疑心を抱かせ、《大いなる歪み、コジレック/Kozilek, the Great Distortion》を着地させた方がマシかも、と思わせよう。
なお、《見捨てられた碑/Forsaken Monument》の能力は「誘発型マナ能力」なので《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》ではキャンセルされない。
《虚空の鏡/Void Mirror》
ごくまれに出会う。《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ/Yavimaya, Cradle of Growth》や《虹色のレンズ/Prismatic Lens》などがあれば問題ないが、それでも0マナの呪文が打ち消されてしまう。
《原初の征服者、エターリ/Etali, Primal Conqueror》など、呪文の踏み倒しを阻止するカードでもあるので、小さいコミュニティでは地域メタゲームを意識して採用されることもありうる。
全体除去
全体除去にコジレックの打ち消し以外で対応するのはかなり難しい。ほぼ唯一といっていい対応カードが《ジェラードの砂時計ペンダント/Gerrard's Hourglass Pendant》である。
5マナ構えておけば、全体除去を解決した後で対応するパーマネントを戦場に戻すことができる。《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》などサクり台とあわせて採用することで、能動的に起動してマナ加速できたり、コンボパーツを回収することもできる。
最近はやりの《秘密売り、ティヴィット/Tivit, Seller of Secrets》の《時の篩/Time Sieve》や追加ターンデッキにも対応可能だ。
結び
最後に、『戦乱のゼンディカー』の背景ストーリーからの引用で無色統率者入門をしめくくる。コジレックの復活の現場にいたキオーラが、ゼンディカーに数多伝わるコーシ(コジレック)の物語、その共通点について思い起こしている。
質問がある者はX(twitter)のDMへ連絡を。
ゼミ室(discordコジレック学会サーバー)へ直接来てもかまわない。
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