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【公開回答状】ええっ、一万円で統率者コジレックデッキを!?

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いってつです。

ツイッターではDMを開放していて、日々「ママ活のお誘い」「スマホだけでできる副業!」が届くのですが、ときどきマジックやEDHの悩み相談が届きます。

今回も届きました。


要するに、「1万円で統率者コジレックデッキを組むならどんな構築になるだろうか」ということだ。

実のところ、1万円でコジレックデッキをくむことは可能なのか。それはどんなデッキになるのか。どんな基準でカードを選んでいくのか考えてみよう。

質問の第一印象

質問者さんの意図・希望を酌んだデッキ構築を目指すために、まずは質問者さんを取り巻く環境を考えてみよう。

いってつさんやトロピさんの動画を見て、EDHがやりたくなり、去年の暮れから仲間4人を誘ってスターター統率者デッキを買い、楽しい統率者ライフを過ごさせていただいてるものです。

いい!!僕らののコンテンツを見てくれて、統率者戦を始めようと思ってくれて本当にうれしい。

昨年末に出た統率者戦スターターデッキもテーマがはっきりしていていいセットだった。

それから、周囲に遊べるコミュニティがあるのはとても幸せなことだ。大切にしてほしい。

ちょっとづつ強化して遊ぼう、ということで+3000円程度でデッキを改造して遊ぶ、というレベルですが、かけれるお金を制限してレベルをうまく調節して遊んでいます。

これも素敵だ。僕個人は、不特定多数で遊ぶときにデッキレベルをデッキ総額で決めることには否定的な立場である。しかし、同じメンツで遊び続けるのならカードの最高額やデッキ総額に天井を決めることでみんなで足並みそろえて構築やプレイを楽しむことができる。

さて、実のところ私はスターター改造以外でも統率者戦のデッキをトータル5000円以内で組んで持っており、前回はそれを使った対戦も何回かありました。 それを見た初心者の友人が、俺もオリジナル組みたい!と言い出し、「人と違うことがしたい!無色デッキがいい!大いなる歪み、コジレックが組みたい!」と言い出しました。

「俺もオリジナル組みたい!」「人と違うことがしたい!無色デッキがいい!大いなる歪み、コジレックが組みたい!」

なんて有望な新人なんだ。統率者戦は自分の好きなことを追い求めることが肯定されていて、それが一番の魅力だと僕は思っている。「人と違うデッキを使いたい!」という気持ちは大事にしてほしい。

しかししかし叩いた門戸が「無色統率者」とはなんて不運幸運なんだろうか。

もっとも増やしやすいマナである無色マナ、それをもっとも強く使えるのが無色統率者だ。そう、統率者最強色は無色なのだ◇

初心者の友人とあーでもないこーでもないと言いながら、1万円以内でコジレックデッキを試行錯誤していますが、 ふと思い立ち検索するといってつさんのコジレックを手軽に始める記事を見つけました。 しかし、そのリストでも最安15000円… 無茶苦茶を承知でお聞きします。 いってつさんなら、1万円以内と言われた時、どのような調整をされるでしょうか?

一緒にデッキ組むの楽しそー!そこにコジレック野郎が乗り込むことに若干の申し訳なさを感じるがお邪魔させていただこう。

おおそらくご覧になったのはこちらの記事。

およそ一年前の記事なのでシングル価格は変動しているのだが、当時「15,000円ほどでコジレックが組める」という話をしている。

このデッキ総額でも無限マナコンボや、アーティファクトをがちゃがちゃ組み合わせて大量のマナを出すことができ、無色デッキ特有の面白さを体験できるとしている。

ちなみにパイオニアのカードプールで構築する「パイオニアedh」のデッキ総額は43,000円程度だった。《街並みの地ならし屋》《ファイレクシアへの門》といった最近登場した優秀なカード、《約束された終末、エムラクール》の相場上昇などでパイオニアedhとしては札束デッキになりつつある。

組めました

「日英不問」という条件で晴れる屋通販価格10,000円に抑えて構築した。売り切れているカードがあったり、微妙な価格変動で若干予算オーバーになるかも。ごめん。

質問者さんの「価格」の基準がWisdom Guild最安値であるならもう少し余裕があるはずだ。

残酷な真実をひとつ告げておくと、「5,000円の構築済みデッキ+5,000円のシングルカードで構築したデッキ」と「10,000円分のシングルカードで構築したデッキ」では前者が圧倒的に有利だ。

構築済デッキは近年どんどん内容が充実したものになっていて、汎用的なマナアーティファクトがたくさん入っているし、テーマもはっきりしている。統率者もアドバンテージが取れるデザインが多く、ゲームプランがはっきりしている。同じ内容をシングルカードで揃えようとなると10,000円をゆうに超えてしまうこともしばしば。そこに5,000円分足すのだから、事実上15,000円程度のカードパワーを使えるのだ。

では後者は勝ちようが無いのか。詰まらないのか。そんなことは決してない。我々には"オタクカード"がある。

フルパワーで組むなら選択肢にも上がらないようなカードが「予算構築」では圧倒的なパワーを発揮することもある。

環境考察

10,000円の予算のなかで1000円もの枠をスタックス(妨害)カードに使うとは考えがたい。つまり、《溜め込み屋のアウフ》や《石のような静寂》はケアする必要がない。《殲滅学入門》といった限界除去を取らなくてもいいというのは予算的にも100枚の枠的にも助かる。(実のところ、100円で買える激烈な対策カードが存在するがそれについてはここでは伏せておこう。)

当然、《波止場の恐喝者》も考えなくてよし。

構築思想

無色を握りたいのはなぜか。質問のなかで「他の人と違うものがいい」という言葉があった。

一般的に、アーティファクトを多用するデッキは高い。数千〜数万円するのにマナを出すだけのカードがたくさん必要だからだ。

しかし、無色デッキの面白さはアーティファクトをガチャガチャ動かしてたくさんのマナを出すことだ。ここは譲れない。

よって、このデッキのテーマはこうだ。

妨害されにくいマナ・アーティファクトによるマナ加速で、強力なクリーチャーを早期に戦場に送り込む

つまり、いつものコジレックだ。リストを見てみよう。

予算の都合上、《魔力の櫃》《厳かなモノリス》といった強力なマナ・アーティファクトは使用できない。こうしたアーティファクトを《通電式キー》などでアンタップして大量のマナを生成するのが無色デッキの得意技なのだが、安価なカードでもこうした戦法はとれる。

2マナ以上出るマナアーティファクトをアンタップすることでマナ加速が可能。このデッキには13枚採用できた。

《ちらつき蛾の甕/Blinkmoth Urn》

コントロールしているアーティファクトの数だけマナが出る。全員が恩恵を受けるが、当然アーティファクトをパンパンに詰め込んだこちらが一番大きな恩恵を受ける。《波止場の恐喝者》が登場してからはあまり使われなくなった古代兵器だ。

マナ加速の先には統率者コジレックに加え、盤面性圧力の高い大型クリーチャーが待ち受ける。

しかし、序盤の小競り合いでライフを失ってしまうと、コジレックで全員を殴りきる時間が足りなくなるかもしれない。こちらの軽量クリーチャーはマナ・クリーチャーなのでブロッカーとしては不適当だ。

《血に飢えた刃》は対戦相手のクリーチャーに装備し、強制的に攻撃させる装備品。直接除去ではないが、対戦相手のクリーチャーどうしで殴り合いを演出し、時間を稼ぐ。

《全ては塵》は10,000円構築では高すぎるカードかもしれない。だが、対戦相手のパーマネントだけを一掃できるこの全体除去を使えることが無色デッキの魅力の一つだ。もっと予算があれば《精霊龍、ウギン》というより強力なカードもある。

パイオニアEDHのリストと比べて

先述のパイオニアEDHと比べて、マナアーティファクトはより強力だ。ほんのちょっと運がいいだけで、4,5ターン目コジレックを唱えるチャンスがやってくる。

ゲームを大きく動かすカードの例

一方で、ゲームを大きく動かす力では劣る。コジレック以外に強力なカードが少なく、コジレックへの依存度が高い。コントロールを奪われてしまうととたんに窮地に立たされてしまうだろう。

しかし、完璧なデッキなど存在しない。もしゲームを押し切る力に欠けていると感じるなら、マナアーティファクトを減らして、安価ながら強力なエルドラージを増やすのもいいだろう。

テクニック

コジレックデッキのかんたんなテクニックを伝えておこう。ある種の"攻略本"的な情報なので、読み飛ばしても構わない。

《大いなる歪み、コジレック》が戦場に出れば、デッキのカード99枚全てが「打ち消し」となる。この全能感はたまらなく気持ちいい。

無色のデッキだからといって,、土地やマナアーティファクトを適当にタップしてはいけない。コジレックが戦場にいるなら、《埋没した廃墟》《精神石》といった「手札が増える(入れ替わる)」ものはなるべく寝かさないように。いざ打ち消したい呪文が飛んできたときに、手札にそれと同じマナ総量のカードが無ければ何もできない。

《終末を招くもの》は見た目以上に器用なカード。タフネス1以下のクリーチャーを毎ターン(文字通り)潰して回るだけでなく、積極的にドローもしよう。自分のターンには対戦相手のクリーチャーをブロック不能にしてコジレックのダメージを通しやすくできる。

《多用途の鍵》《ならず者の道》の「ブロックされなくなる」能力を忘れてはいけない。コジレックは2度攻撃を通せば対戦相手を脱落させることができる。

対戦相手のクリーチャーも対象に取れることを覚えておこう。対戦相手のクリーチャーの攻撃を支援することができる一方で、《呪文滑り》などで対応されることがある。

◇最後に◇

以上をもって回答とさせていただく。無色統率者は強さの天井より価格の天井が圧倒的に高く、極めるにはいろんな意味で修羅の道だが、それだけにとても楽しいテーマだ。

何でもできる多色の統率者より、単色・無色の不器用な統率者のほうが僕は好きだ。ぜひ無色統率者の不器用さ・弱さも含めて楽しんでほしい。

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この記事を書いたのは

いってつ
脚本家、小説家、ライター。
映画と写真、マジック:ザ・ギャザリングが好き
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