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【EDH】前回王者が語る「種族王決定戦」の生き残り方



イントロダクションがアツすぎる!!!

いつも一緒にマジックを遊んでくれているツナ氏がプロモートするEDHイベント、「種族王決定戦」が再び開催される。めでたい!

ここは前回王者である僕もイベントを応援したい。そこで今回はイベントの概要とメタゲーム考察をお送りしよう。



イベント概要

【日程】 8月6日(土) 13時ゲーム開始
【場所】MTG専門店
「東京MTG」

【トーナメント形式】
ランダムマッチングによる予選ラウンド3回戦。
タイブレイクはゲーム終了時のライフを考慮する。
成績上位者4名による決勝戦1回戦を行う。

【構築ルール】
統率者戦デッキの構築ルールに従う。
そのうえで、
◆統率者と同じ種族、いわば「固有種族」のクリーチャーを25枚以上採用しなければならない。「種族」については後述
◆「固有種族」でないクリーチャーは採用できない。
◆プレインズウォーカー・カードは使用できない。

【コンボの制限】
◆固有種族の絡まないコンボでの勝利は不可
詳しくは後述

【最重要事項】
みんな仲良く楽しく



ルール解説

はっきり言って、かなり「こまけえ」話をする。長くてダルい話だが――参加するプレイヤーは目を通すことをお勧めする。
なお!細かなルールは今後変更される可能性もあるので主催者の発信を確認しておこう。

種族について

まず、種族とは何か確認しておこう。
クリーチャー・タイプとはクリーチャーの種族や職業を表す要素で、ほとんどのクリーチャーに1つ以上のクリーチャー・タイプが割り当てられている。クリーチャー・タイプはそのすべてが総合ルール205.3mに明記されている。

そのうち、今回のイベントでデッキの固有種族として選択できるのは、「種族」を表すクリーチャー・タイプのみとなる。

《刃を咲かせる者、ナジーラ/Najeela, the Blade-Blossom》

《刃を咲かせる者、ナジーラ/Najeela, the Blade-Blossom》を例に見てみよう。ナジーラは「人間」「戦士」という2つのクリーチャー・タイプを持っている。ナジーラを統率者にした場合、固有種族は「人間」になり、「戦士」は選べない。「戦士」は生き物の種類をしめす言葉ではないからだ。

《献身のドルイド/Devoted Druid》
「ドルイド」は種族ではない。

中にはなじみが薄く、「これは職業なのか種族なのかわかりにくい」というものもある。通例として、ほとんどのクリーチャー・カードのクリーチャー・タイプ欄の一番左に書いてあるものが「種族」を示している。

《ヨーグモスの息子、ケリク/K'rrik, Son of Yawgmoth》

クリーチャー・タイプはたびたび変更されているため、カードに書いてあるそのままを素直に受け取ってはならない。例えば2021年6月のオラクル変更でファイレクシアン人であるカードに「ファイレクシアン」のクリーチャー・タイプが追加されている。《ヨーグモスの息子、ケリク/K'rrik, Son of Yawgmoth》もファイレクシアンを獲得している。

思わぬカードが追加でクリーチャー・タイプを獲得していて、それが素晴らしい構築を生み出す可能性もある。みんなも調べてみよう。

《限りないもの、モロフォン/Morophon, the Boundless》

「多相」と「多相の戦士」についても注意が必要だ。
常にすべてのクリーチャー・タイプを持つという能力「多相」を持っていたとしても、クリーチャー・タイプの欄に書かれているクリーチャー・タイプはあくまで「多相の戦士」であるため、「多相の戦士」であるクリーチャー・カードはデッキの固有種族が「多相の戦士」でなければ採用できない。

《トヴォラーの猟匠/Tovolar's Huntmaster》

《トヴォラーの猟匠/Tovolar's Huntmaster》は「人間」「狼男」デッキどちらでも採用が可能です。第2面では「人間」をやめてしまうが、あくまで第1面では人間であるため人間デッキでも採用できる。

また、能力で生成されるクリーチャー・トークンは「狼」だが、能力で生成されるトークンが持ちうるクリーチャー・タイプは不問。《死者の原野/Field of the Dead》は誰でも採用可能だ。

《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》

《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》など、変身してプレインズウォーカーになるカードは第1面がクリーチャーなので人間・クリーチャーとして採用可能だ。(主催者に確認済)


コンボの制限

固有種族の絡まないコンボでの勝利は不可である。
例えば、《ブライトハースの指輪/Rings of Brighthearth》と《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》で無限無色マナを生み出し、《ゴブリンの大砲/Goblin Cannon》で無限ダメージを発生させるということはできない。

無限ドローや無限マナといった、それ自体はゲームの決着に直接かかわらないコンボであっても、固有種族がかかわらないのであれば発生させてはいけない。

一方で、固有種族をからめた無限マナ(《野生の心、セルヴァラ/Selvala, Heart of the Wilds》+《威圧の杖/Staff of Domination》など)を《ゴブリンの大砲/Goblin Cannon》につぎ込むのは合法である。


環境考察

さて、ここからが本番である。
もっとも、このイベントはカジュアルな催しだ。勝つことだけがすべてではない……が、「せっかく参加するなら勝ちたい」はずだ。僕もその一人である。


全てのデッキに25枚以上のクリーチャーが採用されている。これは一般的な統率者戦デッキとしては多いほうだ。

そして、コンボへの制限が敷かれている以上、コンバットでのゲーム決着が中心に――

――はならなかった。
多くのデッキはコンバット勝利を目指すフェアデッキであったが、決勝卓に残ったのはいずれもコンボデッキである。

《ドルイドの保管庫/Druids' Repository》などで無限戦闘となるナジーラ、《朽ちゆくゴブリン/Putrid Goblin》と無限頑強コンボを形成するミケウス、《世界樹/The World Tree》の能力でライブラリーからすべての神が戦場に飛び出すエシカ、そしてクロックコンボを擁する我がトラクソスが決勝戦に残った。

そもそも、マジックにはクリーチャーが強い色と弱い色がある。青はコンバット向きなクリーチャーが少ない傾向にある。

そもそも青の濃いデッキを選択するプレイヤーがいなかったのだ。16デッキ中、青を含むデッキは5つしかなく、うち4つは5色統率者だった。

つまり、「採用できるコンボには制限があるが、コンボを止めるカードに乏しい」わけで、「押し付け」力の強いデッキが勝ち残ることになったのだ。

《大群退治/Vanquish the Horde》

クリーチャーが主体のゲームになる以上、全体除去の採用数も多く、コンバットでの勝利は簡単ではなかったのだ。逆に言えば、全体除去に強いデッキはそれだけで大きな強みになる。大量にドローできて、再展開が可能だったり、全体除去をかわす手段を持つデッキだ。

そんな状況を危惧したのか、今回は前回よりもコンボの制限が明確になっている。

《川の殺し屋、シグ/Sygg, River Cutthroat》

固有種族マーフォークにし、デモコンタッサを狙うことも可能だ。

しかしそれで勝てるだろうか?

決勝戦のナジーラは1ターン目に着地した《クルーグの災い魔、トラクソス/Traxos, Scourge of Kroog》に3回殴られて敗北していることをお忘れなく。リーサルが5ターン目だとして、それまで耐えきれるだろうか。コンバット勝利が簡単ではない、とは言ったが、3人から殴られて負けるのは簡単である。

まとめよう。

  • 全体除去が多用されるため、単純なビートダウンだけでの勝利は難しい

  • 青いデッキが少ないため、コンボデッキや押し付けるデッキが有利

  • コンボ成立まで自分のライフを守り切れるデッキ、全体除去に強いデッキが有利

そして、当たり前だが勝ちたいなら練習が必要だ。このイベントに向けて新たにデッキを組む場合は特に。僕が前回トラクソスで勝利できたのは使い慣れたデッキだったということが大きい。


イベントの主旨を考えよう

わざわざ要旨に「みんな仲良く楽しく」と明記されている理由を考えよう。

マジックである以上、プレイヤー一人一人が勝利を目指してプレイすべきだし、かならず勝者と敗者に分かれることになる。

しかし、統率者ルール委員会も明言しているように、「統率者戦は楽しむためのフォーマット」だ。ゲームが終わった時にみんなが笑顔でいられるようなふるまいを僕は心がけたいと思う。

《太陽の化身、ギシャス/Gishath, Sun's Avatar》

メタゲームを真剣に考えて、勝つことに特化したデッキを組むことは、それはそれでよし。一方で、「勝てないかもしれないけれど、俺は恐竜が好きなんだよね!」という想いも十分「デッキ選択の理由」になりうるだろう。

主催者も「コンボ勝利よりもクリーチャーの軍勢で勝利する種族を見たい」と語っている。

《のたうつ嵐、ザイリス/Xyris, the Writhing Storm》

ザイリスが生み出した何十という蛇トークンが1人のプレイヤーに一斉に襲い掛かるところをまた見てみたいものだ。

開催まであと1か月。王座をめぐるこの物語、君もその登場人物になろう。

種族王の玉座でお会いしよう。


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