善悪と巧拙

答えがまだ見つからない話をしたい。

まずはこれを書き始めるきっかけとなったツイートを見てもらうと話が早いけれど、一応Twitterに飛ばなくてもざっくり話がわかるようにスクショを載せます。IDはわざと消していますがすべて同じ方のツイートです。

「こうやってツイートすることが止めることに繋がればとも思うんだけど、それっておかしいし、止めようとすることもまたエゴですかね…？」

どういう理屈で自分のフォロワーにLINEのやりとりを晒す行為が止めることに繋がるのか？それっておかしいとわかっていながらなぜそうしたのか？止めようとすることがエゴかどうかを悩む前に省みるべき小さなステップがいくつもあったのではないか？

「友達にキモくなって欲しくないから全力で止めてる」らしい方が、ドライブに行くという話だけで突然「車でキスするなよな」「車でキスしたいなー」と言い出すLINEのスクショはグロテスクなので、ここには載せません。見たい方はこちらの元ツイートからどうぞ（https://twitter.com/gurumemakihara/status/1413411745784156165?s=20）。

1.7万人のフォロワーがいる自分のアカウントで、ご丁寧に「これって俺がおかしいのかな…？」と完全にあなたは間違ってないヨ待ちの言葉まで添えて友達を貶めることが「こうやってツイートすることが止まることに繋がれば」という思考から為されているという状況が、個人的にはかなりグロい。

さて、先にあげたツイートのように、恋をしてしまっている人間に対して「やめなよ」だの「よくないよ」だのという言葉をかけること自体は、一概に良いとも悪いとも言い切れないかもしれない。ただ明らかに悪手ではあると私は思う。 下手くそだ。

ではこの場合の上手な対応とは？

私の中でのベストアンサーは、別の男性の「友人としてできることは事前のアドバイスではなく、その女の子が痛い目見た後のヤケ酒に付き合ってあげることです」というコメントだった。本当にそう。何を言っても無駄なので、自分がゆるしがたいと感じるような恋愛の沼からその友達が這い上がってくるのを待つのが良い。そういう友達を大事にしたいなとも思う。

友人の悩ましいLINEをあのような形で公開する人が、本当に友達を心配して全力で止めようと思っているかどうかは一度置いておくとして。本当に友人を心配している人がいるとき、その人に対してただ「彼女が泣かされる前にできることはないから諦めろ」と言うのは場合によっては酷かもしれない。個人的には、そういうときは「やめなよ」と言わず「へえ、好きにすれば」とあえて突きはなすような言葉の方がまだ効く可能性があるような気がする。でも人によるか。私には後者の方が効きます。

恋する人間に対する「やめなよ」は無意味で終わればマシで、大抵の場合は助燃剤になってしまう。間違った方向に進もうとしている友達を止めたいと思う気持ちそのものの是非はさておき、その気持ちを起点として動くときの作法として「やめなよ」は下手すぎるのだ。善悪ではなく巧拙の話。

「やめなよ」は他人の恋愛を止めるための言葉としては効果が薄く副反応が大きいので、おそらく言わない方がいい。これがここまでの私の答えである。

このノートの最初に「答えがまだ見つからない話をしたい」と書いた。見つけられていない答えは、友達に「やめなよ」を言うべきか否かの境目だ。

恋愛に限って言えば、男女問わず友達のそれに「やめなよ」を言う意味も効果も権利もないというのは私の中で一貫している。今回と同じような話をブログで書いたこともある。ほぼ完全に答えが出ている。

でも恋愛以外であれば、私の中で「本当に友達なら『やめなよ』って言うべきだと思うし言ってくれる友達を大事にしたい」と思うような状況もあった。たとえばツイッターで匿名アカウントAが、匿名アカウントBに腹を立て、Aが“Bの個人情報を公開すると予告した上で”Bの名前や顔を公開し、Bの経歴や容姿を貶め、A自身はアカウントを凍結されるという流れを見たときとか。Aが予告したのを見たAの友人はなぜそれを止めず、寧ろ煽り立てながら見ていたのか、お前それはやりすぎだよとなぜ言わないのか、それを言ってもらえずにただ面白がられるのって本当に良い関係なのかと、知らない人同士のトラブルを見ながら考えていた。

友人がやっていいこと悪いことの境界線を越えようとしたとき、それでその場が気まずくつまらなくなったとしても「やりすぎ」「間違ってる」と言えるのが良い友達かなあとわたしは思う。わたしは自分の友達に、言って欲しいなと思う。恋愛以外の間違いに関しては口を挟まれたいかもしれない。

つまり、わたしは恋愛とか結婚を他の問題よりも軽く見てるということなのかしら。ツイッターで他人の匿名性を奪い侮辱することは越えてはいけない一線を越えているが、既婚者と一戦交えることはこえてはいけない一線を越える行為ではないと考えているということ？だから前者は友達なら止めるべきで、後者なら友達としてあとで全部笑える日が来るのを適当に待てば良いと感じるということ？そういうことになってしまう？

まあ結婚したい私には不倫をしている余裕はないので、友人各位は私を止めるかどうか考えてくれなくて良いのだけれど！

とりあえず他者の恋愛に関して、それが対既婚者の上司だろうが対バンドマンとかいうフリーターだろうが対ハイスペとかいわれる会社員だろうが、目がハートになってしまっている人間に対して「やめなよ」は一番効かない。一番焚き付けてしまう。明らかに下手な止め方。

不倫しかけている友達のことを心から心配して全力で止めたいとき、LINEで「だめだよ」「会うなよ」と言うのはおかしくはないけれど下手だし、それで友達が自分の助言どおりに動いてくれなさそうだとわかったときにそれを自分の大きなアカウントで「これって俺がおかしいのかな…？（相手がおかしいよね？）」と公開するのはおかしい。

本当に止めたいならもっと上手いやり方があるはずで、ただ何をしても止められないのは友人とはいえ他人だから仕方なくて。それはもう一線を越えたあとの相手とも友達でいたいか、友達だったけれど一線を越えてしまったらもう気持ち悪くて許せないのか、自分で判断して離れるなり一緒に笑い飛ばすなりを選ぶしかないよなあと。友達って他人なんだから、自分の思い通りに動いてくれなくて当然。「普通そっちには行かないよね」の感覚が近い人と自然に仲良くなるというのはあるけれど、それは仲良くなれば「普通そっちには行かないよね」を押し付けることができるということではない。

「こうやってツイートすることが止めることに繋がればとも思う」等と言われていた御友人の方へ
既婚者と恋愛するのは自己責任で好きにしたら良いと思うけれど、そのツイッタラーに相談するのはもうやめた方がいいです
わたしより