#22小さな事業者向けマーケティング「仮想ライバルには、なぜ、異業種や大手企業を入れないといけないのか?」
仮想ライバルの設定については、#20の「3Cを使った事業の方向性(立ち位置)は『ライバル』と『お客様』を固定化して考える」で、仮想ライバルを設定する際には、ペルソナで設定したターゲットとするお客様が、自社の商品やサービスを購入しようと思った場合、どの商品やサービス、そしてお店と比較して購入するだろうかを、視野を広げ想像していくことが大切で、また、仮想ライバルには、「間接ライバル」と「直接ライバル」があることを紹介させて頂きました。
仮想ライバルの設定については、不眠治療を強みとする鍼灸治療院の例でも示したように異業種なども考慮して、繰り返しになってしまいますが、お客様が自社の商品やサービスを購入を検討して頂く段階で、どの商品やサービス、そして、お店を比較候補とするかを想像し、ライバルを特定することが重要となります。
異業種については、不眠治療を強みとする鍼灸治療院の例で、仮想ライバルに医者やドラッグストアー等を挙げましたが、ターゲットのお客様が自分の悩みを解決するにあたり、医者やドラッグストアを選ばない場合の理由や異業種のライバルができないことで、こちらの強みが発揮できることは何なのかを想像することが大切になります。この場合ですと、医者やドラッグストアーは主に薬を処方することでお客様の悩みを解決していきますが、お客様の中には、薬は嫌だという方はいるはずです。そして、その中でも、鍼灸で不眠を解決したいという方もいますので、それらから出てくる強みのキーワードとしては、「薬を使わない、不眠治療としての鍼灸」ということになります。
で、ここで注意しないといけない点としては、間接ライバルについては、異業種と共に、いわゆる業界内の大手もライバルに加えることが大切になります。
大手企業については、良くあるケースで、うちの商品やサービスは大手と比べてもライバルではないので意味がないと言うご意見を頂くことがあるのですが、比較を通じて自社の商品やサービスの立ち位置を知る意味でも大手もライバルに加えて検討しなければなりません。
大手のライバルとの比較について、大手のライバルは、需要の大きなところに商品やサービスを供給してきますので、基本、マーケットの標準値になっていることが多いことからも大手との比較は大切になります。ですから、大手と自社の商品やサービスが比べられた場合、お客様から見てどうなるかを想像し、自社と大手が何が違うのかを明らかにする必要があるということになります。
また、小さな事業者が、単純に考えて大手の標準値と同じようなスペックと価格であれば、比較されれば、ブランド力と信用力、そして販売力や価格力のある、大手にお客様が流れてしまうこと考えるのが妥当です。
小さな事業者は少なくとも大企業の商品と比べ何らかの差異性や優位性がなければ、いくらお客様のニーズを満たしたとしても選ばれる可能性は低いと言えます。
ですから、お客様が、小さな事業者の皆様の商品やサービスを、直接ライバルと間接ライバルの商品やサービスと比較した場合、あなたの商品やサービスを選んでくれる自信はあるかを比較を通じて「客観的」に見極めないといけないと言うことになります。
そして、この「客観的」と言うことについては、大きな企業の場合、一つの商品やサービスを世に出すにあたっては、様々な人間や部署が関与し、様々な部署や多くの階層の人々が関与し、そして、テストマーケティングなどを経て、お客様の視点を取り入れ「客観的」な視点でチェックを受けていきますので、当然マーケティングの企画は洗練されていきます。
一方、専門家として事業を営む小さな事業者は、代表者を中心とした小規模な組織です。商品サービスについては、代表者の想いの詰まったものですので、どうしても「主観的」な部分が強くなってきます。主観的な強さと言うことについては、心理学で「確証バイアス」という理論があるのですが、人間、誰しもお金と時間をかけてきたものは思い入れが強く主観的になり易く、客観視するというのは難しく、いつの間にか自分の都合の良い情報ばかり集めてしまい先入観を抱いてしまうという理論です。
小さな事業者の商品やサービスにおいて、特に代表者の思い入れが強い商品やサービスの場合、確証バイアスが発生し易くなり、いつの間にかお客様のニーズとギャップが生じてしまう場合があります。ですから、余計に、仮想ライバルとの比較を通じて、商品やサービスの差異性や優位性、自分の立ち位置を客観化してマーケティングを考えないと、マーケティングの精度が高まらないと言えます。
次回は、今回のブログで紹介した「確証バイアス」について解説しようと思います。
今回もブログをお読み頂きありがとうございました。
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