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流石に靴は忘れねえだろ

12時、教室で友達と弁当を食べていた。
最近、学校の裏に人のあまり来ないコンビニがあると知り、よく利用している。
今日のお昼も、そこで買ったものだ。
弁当というのは不思議なもので、人が食べているのを見ると、そっちのほうが美味しそうに見えてくる。
友達の食べている唐揚げ弁当が、自分の食べている鮭弁当より美味しそうだった。
我慢できなかったので唐揚げ一個ちょうだいと頼んだら、鮭一切れと交換してあげると言われた。
弁当には鮭は一切れしか入ってないのに。理不尽すぎる。

弁当を食べ終わると、この友達はいつも授業が始まるまで寝ている。
とりわけ今日は、マヌケな顔でぐうぐうと眠っていた。
最近の弁当の件と相まって、何かいたずらをしてやりたい衝動に駆られた。
起こさないように、そっと彼のスマホで写真を撮ったり、頭をはたいたりしたのだが何をやっても起きない。
いよいよ僕は調子に乗って、彼の靴を脱がすなど高度ないたずらをしたのだがそれでも起きなかった。
授業が始まっても、起きることはなく変わらずぐうすか寝ていた。
きっと疲れていたのだろう。
これ以上睡眠の邪魔するのも可哀そうなので、そっとしておいてあげることにした。

授業が終わると、彼はようやく目を覚ました。
目を覚ましても、まだボーっとしていて次の教室に移動するときのフラフラしていた。
移動した後、段々と目が覚めてきたらしくさっきの授業の板書を写しはじめた。
板書を写してる最中に、彼の動きが止まった。
どうかしたのか尋ねると、何で俺靴はいてねえんだ?と呟いた。
そういや、あのあと脱がした靴を履かせるのを忘れていた。
経緯を説明すると、爆笑しながらあほやん俺、と言い靴を取りに行った。
普通な起こるところだろうに、笑って水に流す彼を見て心が広いなと感じた。
唐揚げはくれなかったけど。

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