家族で守る自然の造形美『三ツ合鍾乳洞』〜緑あふれる山間で自然を満喫しよう〜
養沢川沿いの都道から三ツ合線林道に足を踏み入れると、夏鳥オオルリの声が響き渡り、あたりは初夏の陽気に包まれました。しばらく登っていくと、終点に木造の建物が見えてきます。迎えていただいたのは、竹縄伸子さんと息子の正人さんのおふたり、三ツ合鍾乳洞の管理人です。
ここ三ツ合鍾乳洞は、山林の持ち主であった竹縄佐助さんによって発見され、内部を整備し昭和50年5月にオープンしました。
その当時は、八王子実践高校の教師と学生が調査に入るなど関心が高く、ピーク時には年間2000人程のお客様が訪れていました。しかし観光地も多様になり、客足が徐々に減っていきました。平成4年に佐助さんが他界、奥様の竹縄トクさんが引き継いで営業を続けてきましたが、ご高齢になったこともあり、令和2年1月に閉業しました。
令和4年4月に鍾乳洞を再開するきっかけになったのは、孫にあたる竹縄正人さんが久しぶりにトクさんに会った際、あまりにも元気がなかったため、再度、お客様を鍾乳洞にお迎えして元気になってもらいたいと考えたからでした。
正人さんはこれまで勤めていた仕事を辞めて、現在は学校などで卓球の指導を行いながら、鍾乳洞を管理しお客様を受け入れています。
洞内はひんやりとして心地よく、少しかがみながら歩くとちょっとした探検気分、小さなコウモリを見ることも出来ました。鍾乳洞周辺は自然に囲まれ、管理棟でゆっくり過ごすのも気持ちがいいです。
取材に伺った日は、ひとりで車中泊しながら全国の鍾乳洞をまわっている山口県民の女性や、明治大学の地底研究部の学生、レンタサイクルで登ってきた女性二人組など、続々と見学者が訪れていました。
正人さんは、「お客様が、鍾乳洞だけでなく動植物やここの自然全体を見ていただけるように、ガイドツアーや、ゆっくり過ごせるような企画を考えていきたい」とおっしゃっていました。