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わたしと五日市〜旬の野菜で料理を〜

 亡夫が化学療法を止めて自宅療養中、身体に優しい料理を考えて作っていたので、旬の野菜が重宝した。亡夫は食べることも料理することも好きで、「必ず元気になって、お散歩しがてら地元野菜を買って、また料理をしたい」と言っていた。思い出すと未だに涙が滲む。

 長男はお父さん子だった。お父さんとよく一緒に台所に立ち、料理のアシスタントをしていた。「素材の味がよく分かるなあ」と褒められて、喜んでいた顔が懐かしい。お父さんが亡くなった後は、ひどく落ち込んで台所に立つことすらしなかった長男が、時が経つとともに気持ちも前向きになり、将来の道を考え始めた。『料理の道』だ。おぼろげながらでも夢を持って進み始めたこと、お父さんとの思い出を肯定できるようになったことに母としては安堵している。

 7月は私の誕生日、近年は兄弟で夕飯作りをしてくれる。夫が亡くなってから5回目を数えるなんて信じられないけれど、子供たちは確実に成長している。亡夫もきっと喜んでくれているに違いない。よし、今年は旬の野菜を使った料理をリクエストしよう!


長男作『回鍋肉と青椒肉絲』、次男作『サラダ』

藤原 景子:子育てを機に五日市に暮らし始めて10年。2020年2月に最愛の夫をがんで亡くすが、五日市の豊かな自然、暮らす人々の温かな心、滋味深い食べ物などに癒されながら、長男、次男、柴犬(オス)と共に暮らしている。

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