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子どもを愛せないと泣くお母さん達

いつからか、鍼灸マッサージ師なのに子育ての悩みを聞く時間が増えた。

というか、鍼灸マッサージは手は動くけど、口は暇。受けている人は寝るかぼおっとするか、しゃべるか。だから、2人で話す時間が増えるのは自然なことどし、お母さんなら子育てがメインの話題になるのも当たり前。

そんなわたしが知っているお母さんの秘密がある。

母親の子どもへの愛情は、枯渇する。
少なくとも自覚している「母親としての愛」は、心身が疲弊すると減退する。

「子どもを可愛いと思えない」
「早く1人になりたい」
「施設預けたい」

珍しいことではない。
本音を言っていい?実はね。で始まる割とありふれた言葉だ。

母親の愛は無条件ではない。

今までの数々の育児情報は、この起点で話をしない。愛がある前提で対策を提案される。

寝ない、食べない、友達を叩く。
いじめに遭う。
学校に行きたがらない。

子育てで味わうエンドレスな悩みに、もちろん支援は必要で適切なアドバイスも欲しい。

でも本当に悩んでいるのは、そこじゃないんだ。

「私は子どもを愛せない、親として失格かもしれないんです」が隠れている。誰にも言えない悩みはその分深刻。だけど言葉にできないから、アドバイスがもらえない。

で、わたしはそんなお母さん達と接しているから、ふだん少しだけ心掛けていることがある。

お母さんや子どもと接点がある時、タイミングが合えば伝える言葉がある。

赤ちゃん連れのお母さんが電車や病院で隣に来ると、それはもう至福の時で、私はスマホも本も全て片付けて赤ちゃんの相手をする(もちろん相手次第)。

可愛らしくて好奇心にあふれる子どもと接した時、私は必ずお母さんたちに「すてきなお子さんですね」を伝える。お母さんたちは胸をなでおろして、肩の力を抜く気がする。

子育ては15年前とも違う。

数年単位で子育て世代に優しい法整備が整っている。支援は手厚い。でも、子どもを育てる親は孤独になるし、不安になる。それは私の子育てスタート期と何も変わらない。

根拠のない「素敵なお子さん」であっても、受け取れるくらいには孤独。

孤独と疲労が重なった人が、我が子といえど愛せないと思うのは自然なこと。

その場でマッサージができないから、せめて「あなたは十分親としてがんばっている」を伝えていく。

母親の愛は無条件ではなく、母自身も愛を注がれる必要がある。

その起点の育児支援は、私のやりたいことの1つ。

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