そこの女子!自分のことなんて呼んでる? ~女性ボーカルバンドの一人称を調べてみた~
突然ですが女子のみなさん、
自分のこと、なんて呼んでますか?
「わたし」か「うち」が大多数なんじゃないですかね。「あたし」って呼んでるaiko女子もわずかにいる…? いない…?
男子はほぼ「俺」「僕」ですよね。よっぽどかしこまった場でもなければ「私」なんて呼ばないのがスタンダードなんじゃないかと。
そんなことを考えながらなんとなく音楽聴いてたら気付いたんですよね。
あれ、Hump Backって自分のことめっちゃ「僕」って呼んでない…?
『拝啓、少年よ』で神様をハナから信じちゃいないのも、『星丘公園』でロックンロールが死んで飛べなくなったのも、「わたし」でも「うち」でもなくて「僕」なんですよ。
そういえばyonigeも、結構自分のこと「僕」って呼んでない?勘違い?
少なくとも「うち」って呼んでるバンドなんて絶対ないよね?
気になってしまっては眠れない。
女性ボーカルバンドの一人称、いっちょ調べてきますか。
一人称が気になり始めたきっかけの記事はコチラ (一人称以外のことも調べている超おもしろい記事なので是非読んでみてください)
女性ボーカルバンドの一人称を調べてみた
女性ボーカルバンドって少ないんですよね。でも、歌詞を全部調べるとなったらメチャクチャ多いんですよね。皆さんも経験があるんじゃないでしょうか。
今回は、METROPOLITAN ROCK FESTIVAL (通称:メトロック) 出演経験のある女性ボーカルバンドを調べ上げました。ROCK IN JAPAN FESTIVALにしなかったのは、数が多すぎて女性ボーカルバンドが嫌いになってしまう気がしたから。メトロックならまだ7回しか開催されてないし、いけるっしょ!という強い気持ちを持っていました。この時は…。
〈調査対象バンド〉
赤い公園
きのこ帝国
ジェニーハイ
Shiggy Jr.
SHISHAMO
チャットモンチー
パスピエ
Hump Back
FLOWER FLOWER
FLiP
the peggies
ミオヤマザキ
yonige
lovefilm
リーガルリリー
緑黄色社会
The Wisely Brothers
和楽器バンド
惑星アブノーマル
以上19組。
ちなみに「Wikipediaにバンドと表記されているか」というガバガバな基準で絞ったので、メトロックに出演しまくっていらっしゃるPerfumeや山本彩氏などは外れました。ごめんね。恋する円盤は(一応)男女混声ボーカルなので迷ったんですが、趣旨とかなりズレる気がしたので除外しました。
余談なんですが、この19組のうち、メインステージ(大阪 : BAY FIELD 東京 : WINDMILL FIELD)に立てているバンドって、チャットモンチーとSHISHAMOだけなんですよね。一番大きいステージに女性ボーカルの声が響くのってすごい珍しいんだなあ。
さあということで19組。19組…。19組……?
え、多くね?
19組のバンドの全楽曲の歌詞調べるの?途方もなくね?
完全に心が折れました。だってSHISHAMOとかもうベストアルバムだけで6枚も出てるじゃん。諦めて自宅待機します。
(ここで約5時間経過)
調べました!それでは調査結果をご覧ください!(まじで頑張って調べたので見てください)
ちなみに一応の基準として
・「私たち」「僕ら」など複数のものも一人称としてカウントする
・同一楽曲に複数の一人称が登場する場合(リーガルリリー『ぶらんこ』など)は、登場回数の多い一人称を採用する
・バンド外の人の作詞曲は母数に含める
・インスト曲(きのこ帝国『24』など)は母数に含めない
・カバー曲(チャットモンチー『かわいいひと』など)は母数に含めない
・ボーカルが男性の楽曲(Shiggy Jr.『you are my girl』など)は母数に含めない
・インディーズ時代の楽曲や自主制作アルバム、デモ版などの見落としは余裕で黙認する
というルールを設けています。
調査結果
19組、計945曲の一人称はコチラ。
「私」の勝利。ってか、疲れたー!疲れた!まじで日本女性ボーカルバンド協会の会長から直電くるくらい曲聴いた。このあとめちゃめちゃWANIMA聴いた。完全に「いっちょ調べてきますか」の量じゃなかった。SHISHAMO、曲作りすぎじゃね?
(本題に戻って)
「わたし」「私」「ワタシ」など表記はいろいろありましたが、結局君と夏フェスに行ったのも、風吹けば恋しちゃうのも、片目で異常に恋してるのも、みんな「私」なんですよね。
いくら「僕」に彼女ができようと、君にアボカド投げつけまくってる「私」には敵わなかったみたいです。
ちなみにアーティストごとの集計結果はこちら。
バンドごとにめちゃくちゃ特徴出てますよね?????
Hump Backとかthe peggiesとかリーガルリリーとかめちゃくちゃ「僕」のこと歌ってそうだし。
SHISHAMOとかチャットモンチーが「私」多いのもなんとなく納得。
FLOWER FLOWERが自分のこと全然呼んでないのもめちゃくちゃしっくりくる。
ちなみにShiggy Jr.とFLiPとlovefilmの「それ以外」の多さは英語の一人称「I」です。英語詞多いよね。
和楽器バンドの「それ以外」は、そうです、「我」です。世界観ゴリゴリに出してきてる。
意外なところで言えば、ミオヤマザキが「私」ばかりなのには驚きました。「あたし」のイメージ強かったんですが、『水商売』1曲だけなんですね。
困ったのはジェニーハイ。『ジェニーハイラプソディー』では、一人称がまさかの「俺」。「それ以外」に出そうか迷ったんですが、このパート歌ってるの川谷絵音なんでやめました。それにしても彼、すごいな。バンド4つ掛け持ちして作詞もしてるんですもんね。よく不倫してる暇あったな。
「それ以外」で目を引いたのは、赤い公園の「おいら」(『西東京』)。惜しくも「僕」の登場回数のほうが多かったので「おいら」での採用はされませんでしたが、945曲の中で唯一、自分のことを「おいら」と呼んでいる曲でした。
かくいう私も西東京に住んでいたのでマジ超同意。新宿下北原宿のお洒落なカッフェで必要以上に写真撮ってるヤツらはだいたい西東京だし、お台場赤坂汐留ギロッポンのお洒落なビルで誰かに会えそうな気がするのもだいたい西東京。ロックなギターリフに西東京のっけるなんて、おそるべし津野米咲。
集計しながら気付いたんですが、チャットモンチー、初期はほとんど全部「私」だったんですよ。でもある時から (アルバム『変身』あたりから) あんまり「私」って呼ばなくなった。結構はっきり変わってたんです。
不思議だなーと思って頭を悩ませてたら、気付いたんです。そうだ、チャットモンチー、この時「変身」してるわ。「クミコン」こと高橋久美子が脱退したタイミングだわ。
変身前はクミコンが結構作詞してたんですよね。今は小説家として活躍してるくらいだし。彼女が抜けて、歌詞のテイストも少し変わった。そうすると自ずと、一人称も変わってくるんでしょうね。
僕はこういうデータを見ながらいくらでも酒が飲めるタイプなんですが、皆さんはいかがでしょうか。音楽でも映画でも小説でも、ただ楽しむだけじゃなくデータを取ってみると、意外な発見があるかもしれません。外出できないGWの暇つぶしに是非。
最後に、外に出られないゴールデンウィークにピッタリな曲を。
そういえば、ミオヤマザキ『Hのすゝめ』だけ、一人称が「うち」でした。さすがです。感服。
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