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やさしいひとびと



今朝ぼんやり、差別や正義感について考えていた。

私と、私の好きな人は、正義感が強い方である。
ただ、私はしないけど、あの人は差別するな、と記憶を辿った。外国人うるさいから嫌い、と彼が言った時のことを。

若い頃は私も言っていたのだ。何人が嫌いだとか、そういうことを。いろんな世界を見て、そういう差別意識は大分薄れたと認識していた。

他人について

今朝、電車で立っている時、前に座っていた女の人の話。

「ワクチン3回接種済」「ワクチン」の缶バッジを何個もバッグにつけて主張していた。それを見て、特に不快でもなんでもないのだけど、「そういう人なんだな」と私は思ってしまった。

目の前にマスクをしていない私がいたら気にするだろうな、とマスクを取り出そうと思ったけど、カバンの奥だったので、まぁいいかと。ないとは思うが、もしも何か言ってきたら、着けてあげよう、なんて考えながら。

彼女が咳をした。マスクの上から、タオルハンカチで抑えながら。
「あれ?これはもしかして、私にマスク着けろアピール?いや気にしすぎか。まぁいいや。」と私。
嫌悪感とかではないけれど、変な髪型、なんて関係ないところにまで「違う」と評価をしてしまう自分。

なんとなしに、お腹が張って、さする私。
その少し後、徐ろに立ち上がって私を見る彼女。

「すみません気づかなくて…!」

私のカバンの、後ろ側についていたマタニティマークを見たのだとすぐ分かった。

「あ…!大丈夫です!ありがとうございます!!」と笑顔で答え、どうぞ座っててください、というリアクションをする私。

あ、私、この人のこと勘違いしていた。

次の駅で、彼女は降りるようで立ち上がった。私は「あの、ありがとうございました。声かけてくださって!」と感謝を伝えた。
「いえ!気付かなくて!ごめんなさい」と彼女も笑顔で答えてくれた。


きっとこの人は、周りのことを人よりも敏感に、繊細に、気にかける人なんだ、と思った。
自分の保守や主張のためではなく。

素直に嬉しすぎる出来事だった。私はまだ他人をすぐに差別してしまうんだな、と反省。
反省というよりも、自分の見ている世界は自分の認識で作り上げているものだから、正しくないことが多いなと。

他人の感情は、想像の範囲外にあることが多い。



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