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みんなで作るプレミアリーグ通信簿 〜ニューカッスル編〜

はじめに

開幕から最終節まで史上最も長丁場となった今季のプレミアリーグ。リヴァプールが圧倒的な強さを見せ早々に優勝を決めた一方で、チャンピオンズリーグ出場権や残留争いに関してはラストマッチのホイッスルが吹かれるまで熾烈な争いが繰り広げられる、エキサイティングな1年となった。


この1年間、日本のフットボールファンを取り巻く環境で変わったことと言えば、プロアマ問わずこの“note”なる媒体に寄稿するライターが急増したことだろう。私の周囲でも続々とnote利用者が増えており、特に仕事が減った4月以降はかなりの頻度で一読者としてお世話になっていた。

5月頃だったろうか、リヴァプールのサポーターであり、メディア活動にも力を入れている小津那氏から興味深いお誘いをいただいた。プレミアリーグ各チームを応援するファンが集まって、20クラブでプレーする選手の通信簿を作らないか、と。

正直全プレイヤーについて事細かにあれこれ言うにはなかなかの労力が必要だ。スタッツも全て頭に入っているわけでも無いし、下調べからとなると相当な時間がかかるのは目に見えていた。しかしお話をいただいた以上基本的には断らないのが私のスタンス。プライドが許さないのである。

こうして私は今、手を出してこなかったnoteについに初めての記事を投稿しようとしている。“みんなで作るプレミア通信簿”――私が担当するのはもちろん、心のクラブ、ニューカッスル・ユナイテッドのパートだ。

この企画では、選手1人1人について評価をつけ、レビューすることになっている。評価基準は次の通り。

S 代わりが利かない選手

A 素晴らしい活躍をした選手

B それなりに活躍した選手             

C あまり活躍できなかった選手

D あまり振るわなかった選手

また、活躍した中でも特に印象に残った選手にはMVPをつけている。

それでは選手個々について書く前に、まずはチームがどのようなシーズンを送ってきたのか振り返ってみようと思う。

著しい準備不足と選手達の奮闘

ニューカッスルの19-20シーズンは、明らかな準備不足の中でスタートした。昨季の時点でマイク・アシュリーを筆頭とするオーナーグループはクラブの売却に本腰を入れ始めていたが、それが思うように進まない中でシーズンを終えると、ファンに愛された指揮官ラファ・ベニテスの引き留めに失敗し、リーダー不在でプレシーズン・アジアツアーに臨んだ。お金を使わないことで有名なアシュリーのイメージもあって優秀な監督を連れてくるのは難しくなっており、7月下旬にやっとの思いでアポイントしたスティーブ・ブルースは候補者リストの上から11番目だったと言われている。

ブルースは生粋のマグパイズサポーターであり、トップレベルでの指導経験も豊富な人物だったが、地元の宿敵であるサンダーランドを率いていた経験や、“ケアテイカー”としての印象が強い彼の消極的なフットボールを理由に、開幕前からサポーターの怒りは頂点に達していた。

そんな重苦しい雰囲気の中で迎えた19-20シーズンだったが、チームが見せたパフォーマンスは予想をいい意味で裏切ることになる。リーグでは7月上旬に残留ラインの40ポイントへ到達し、一時はトップ10フィニッシュすら見えてくるほどだった。ゴールをこじ開けることに苦労はしたものの、失点を抑えて堅実に勝ち点を稼いだ結果であり、超守備的なマネージャーの戦術はある程度“ハマった”と言っていい。

彼が展開する“ネガティブ・フットボール”がクラブの哲学と合わないのは明らかであり、テイクオーバーも実現しない中で、サポーターの不満は最高潮に達している。しかしブルースがチームを残留に導いたこと、そしてFAカップでも05-06シーズン以来の準々決勝進出を達成したことは紛れもない事実であり、決して最悪のシーズンではなかっただろう。

この記事では、そんなアップダウンの激しい1年の中で、プレーヤー1人1人がどのようなシーズンを送ってきたのか振り返っていく。評価に関しては筆者の主観が大部分を占めているので、異論は広く受け付けたい。それでは、まずは誰もが年間MVPに名前を挙げるであろう、守護神から。

マーティン・ドゥーブラフカ

評価:S | MVP |

今シーズンのMVPは誰かと問われれば、サポーターは満場一致で彼を選ぶだろう。2018年1月に加入して以降、チームへの貢献度は常にトップクラスであり、超人的なセーブを連発するその姿はまさに“守護神”。今季記録したセーブ数は140であり、前半戦からトップの座を守り続けてのリーグ最多だ。もちろんこの数字はチームがそれだけの本数シュートを浴びている証拠でもある。比較的余裕を持って残留を決めたニューカッスルだが、ドゥーブラフカの活躍なくしてこの結果はあり得なかっただろう。最終節終了後、チームの年間最優秀選手賞を受賞した。

デアンドレ・イェドリン

評価:D

イェドリンにとって、加入4年目は厳しいシーズンとなった。昨季から鼠径部の負傷に悩まされており、ピッチに姿を現したのは11月。その試合で得点を挙げてチームの逆転勝利に貢献した。彼のスピード、全力プレーを象徴するシーンがこちら。

レギュラーにはマンキージョがおり、冬からラザロもレンタルで加わった右サイドの競争は激化しており、残念ながらイェドリンの存在感は薄れている。ドイツ方面からの関心も囁かれており、タインサイドでの将来は不透明な状況だ。

キアラン・クラーク

評価:A

開幕前、選手層の厚いセンターバック陣においてクラークの序列は決して高くなかった。実際に9月まではベンチを温める日々が続いていたが、10月6日のマンチェスター・U戦にスタメン出場してからはプレータイムを増やし、主将ラッセルズの負傷も重なってレギュラーの座を奪取。勝負強さが光り、重要な場面でゴールを決めることも多かった。

クラークが出場した14試合でチームは6勝5分3敗と、プレーしていない23試合の5勝6分12敗を大きく上回る成績を残している。足首の負傷で戦列を離れているが、来季開幕での復帰を見据えている。

ジャマール・ラッセルズ

評価:B

主将を努めるラッセルズは今季、膝を負傷した10試合を除き全てのゲームでフル出場してきた。プレー面ではミスもなく安定したパフォーマンスを見せているものの、印象に残るゲームが少なかったのも事実。とはいえ、失点直後にはチームを鼓舞し、勝っている時にも周囲の気を引き締めるなど、メンタル面での貢献度は非常に高い。レーティングを付けるなら、及第点のBが妥当なところか。

フェデリコ・フェルナンデス

評価:A

大きなインパクトを残した選手の1人で、集中力の高いプレーでブルースの信頼を勝ち取った。1試合あたりのクリアランスは5.9回でチームトップ(リーグ中断時点)。第10節のウルヴス戦以来スタメンの座をキープし続けており、2618分の出場時間はディフェンス陣で最も長く、リーグ再開後はチームでただ1人全試合フル出場を続けた。

ウェストハム戦では得意のヘディングでチーム2点目を奪い、サウサンプトン戦では87分に決勝ゴールをマーク。現状ではラッセルズと並ぶセンターバックのファーストチョイスとなっている。

ファビアン・シェア

評価:C

加入2年目のシェアは、開幕からスタメンに定着し安定したプレーを見せた。機敏な動きから繰り出されるインターセプトや時折見せる攻撃参加はお馴染みであり、ロングボールの精度にも定評がある。リーグ中断時点でのデータではあるが、サイドチェンジの数はリーグ3番目の62回と、ポゼッション率の低いチームにおいて貴重な攻撃の起点となってきた。ディフェンス面でも9月に見せたこのクリアが物語るように、集中力の高いプレーが持ち味だ。

一方で2020年に入ると、安定したプレーを見せるフェルナンデスやクラークの影に隠れベンチウォーマーに成り下がってしまった。リーグ再開後は不用意なミスや怠慢プレーを連発してファンから批判の集中砲火を浴びており、ブルースも彼を慣れないボランチで起用するなど迷走。第36節スパーズ戦で肩を負傷しシーズンを終えた。

ポール・ダメット

評価:C

開幕から先発出場を続けていたが、競争の激しいディフェンスラインにおいて12月以降はベンチ外になる試合も多く見られた。1月にはアキレス腱の怪我を負ってシーズン絶望を言い渡され、プレミアリーグのスカッド25名から外されている。シーズン延期により、残りの数試合に復帰できる可能性も浮上していたが、彼がピッチに姿を表すのは来シーズンに先延ばしに。シーズン初勝利を挙げた8月のスパーズ戦でクリーンシートに貢献しマン・オブ・ザ・マッチを獲得したが、それが年間通じて唯一の印象的なパフォーマンスとなってしまった。

エミール・クラフト

評価:D

スウェーデン代表でも豊富な経験を持つクラフトは、夏の新戦力としてシーズン当初から右サイドのファーストチョイスとなったが、プレミアリーグへの適応に苦しみ、スピードのあるアタッカーに振り切られる場面もしばしば見られた。攻撃面の貢献も少なく、その後はマンキージョの台頭もありスタメンの座を奪われてしまう。序列はイェドリン、レンタル加入中のラザロに次ぐ4番手。シーズン終盤には負傷者が続出したセンターバックのポジションで出場機会を掴んだが、プレミアリーグのストライカーとの空中戦ではやはり分が悪かった。

イェトロ・ウィレムス

評価:A

フランクフルトから1シーズンのローンでチームに加わったウィレムスは、負傷したリッチーの穴埋め以上の役割を果たした。特に左サイドにおけるサン=マクシマンとのコンビネーションは抜群で、マンチェスター・U戦ではマティ・ロングスタッフの決勝弾を2人でセットアップ。左利きながら両足で質の高いコントロールが可能で、リヴァプールやマンチェスター・シティとのゲームでは右足の強烈なシュートでネットを揺らした。

前十字靭帯断裂に見舞われ、1月以降は療養に専念することとなったが、サポーターからは完全移籍での獲得を求める声が相次いでいる。

フロリアン・ルジューヌ

評価:D

シーズンを跨いだ大怪我を乗り越えて、グラウンドへ戻ったのが12月のこと。そこから数試合チャンスを与えられたが、失点を招くミスを犯すなど不安定なプレーが多く、試合勘の鈍りを露呈した。1月のグディソン・パークでロスタイムに2ゴールを挙げ、土壇場でチームに勝ち点1をもたらしたのは獅子奮迅の活躍であったが、そのゲームを最後に出場機会はゼロ。6月以降も腿の負傷によりプレーできず、シーズン終了後の放出も現実味を帯びてきている。

マット・リッチー

評価:B

前半戦の大半を足首の治療に費やした。1月からチームへ戻り、それ以降は主に左サイドでコンスタントに出場しているが、ウィレムスの活躍と比べると印象の薄さは否めない。それでも、チーム随一のガッツを武器にリーダーシップを発揮しており、仲間への“ビンタ”もすっかり彼のトレードマークに。優れたポリバレントであり、彼が高い位置でプレーすることによってアルミロンを中央で起用する選択肢も生まれた。前線で起用されたリーグ再開後は2つの印象的なゴールをマークし、攻撃面でもチームに貢献している。

ハビエル・マンキージョ

評価:B

リヴァプールやアトレティコ・マドリードでプレーしていたマンキージョは、2017年にタインサイドへと活躍の場を移した。イェドリンのバックアップとして2シーズンを過ごしたスパニッシュにとって、今季は飛躍の1年と言っていい。クラフトから数試合でポジションを奪い去り、負傷中のイェドリンを尻目にレギュラーの地位を固めてしまった。今シーズンで契約が切れるため、スペインへの復帰も囁かれていたが、6月に新たな4年契約を結び来期以降の残留を約束している。

ダニー・ローズ

評価:C

欧州コンペティションでの経験も豊富であり、サポーターの期待も高かったローズ。しかし、スパーズでジョゼ・モウリーニョ監督の就任以降ほとんどプレーしていなかったこともあり、フィットネスレベルは低く、チームの休暇の多さについてトッテナムと比較して言及したり、レスターへの移籍願望ともとれるコメントを発するなど、そもそものモチベーション自体を疑問視する声も多く聞かれた。一方で過密日程となった終盤戦では、ブルースからの信頼を勝ち取りレギュラーに定着しており、最低限の貢献は見せている。来期以降の完全移籍に向けた交渉も行われているようだ。

ヴァレンティノ・ラザロ

評価:B

同じ冬のレンタル組であるローズとは対照的に、一気にファンの心を掴んだのがラザロだ。サイドアタッキングではアルミロンにも匹敵するテクニックを有しており、途中出場が多いにもかかわらず公式戦2得点をマークするなど、存在感を示してきた。

SNSの投稿でサポーターを喜ばせたり、現代っ子らしき方法でチームに適応し、完全移籍やローンの延長を求める声も挙がっている。チームにフィットすれば攻撃面でより脅威になる予感はあり、もう1年見てみたい選手の1人だ。

アイザック・ヘイデン

評価:B

チャンピオンシップを戦った16-17シーズンから在籍しているヘイデンだが、加入当初は彼がここまで重要な戦力になると誰も想像しなかった。アーセナルユース出身の25歳は今季カップ戦を含めた29試合に出場しており、不動の地位を確保したと言っていい。持ち前のタックルはブルースのチームにおいて欠かせないパーツとなっており、時に不用意なファウルでカードを貰うこともあるが、周囲からの信頼は揺るぎないものとなっている。チェルシー戦、後半アディショナルタイムに沈めたヘディングの決勝点はシーズンハイライトだ。

マティ・ロングスタッフ

評価:A

プレシーズンマッチでインパクトを残し、アーロンズやステリー、コルバックらを抑え最後の出場枠に滑り込んだマティは、予想を超える活躍を見せている。10月のマンチェスター・U戦で先発メンバーに抜擢されてプレミアリーグデビューを果たすと、エリア外からのミドルシュートでネットを揺らし、勝ち点3をもたらした。

中断時点でカップ戦を含め11試合3得点をマークしており、トップチーム昇格初年としては申し分のない出来だろう。シーズン終了までの短期契約を結びひとまず籍を残しているが、夏以降の居場所は未だに定かとなっておらず、チームは慰留に躍起となっている。

ショーン・ロングスタッフ

評価:C

兄のショーンは、対照的なシーズンを送っている。開幕前はイングランド人若手選手の中でも注目を集める存在だったが、昨季のようにゲームで目立つことは少なくなり、ウェストハムのデクラン・ライスが大車輪の活躍を見せているのと比較しても物足りないように感じてしまう。10月にはウルヴス戦で退場し、3試合の出場停止処分を受けたりと、苦い経験もした。とはいえ、トップチーム2年目の22歳がリーグ22試合でプレーするまでに定着したことは、一定の評価に値するだろう。もう一皮むけ、近い将来チームの大黒柱になることをファンは期待している。

キ・ソンヨン

評価:D

イングランドでの実績十分な韓国人MFは、新指揮官のもとで定位置確保に苦労することとなった。プレミアリーグでは前半戦でわずか3試合の出場と、同じアジア出身の武藤嘉紀とともにメンバー入りすらできない苦境を味わう。1月、チームと合意のもと契約を解除してスペイン1部マジョルカへと移籍しており、評価をつけるのは難しい。

ジョンジョ・シェルヴィー

評価:A

今シーズンのシェルヴィーを、“キャリアハイ”のパフォーマンスと称賛する声も少なくない。得意のロングパスは健在で、チームでは唯一無二の存在価値を築いているほか、ゴールに絡むことも多く、プレミアリーグで6点を挙げチーム内得点王を獲得。中でもマンチェスター・シティとの一戦でエリア外からネットを揺らした同点弾は芸術性の高いシュートだった。選手としてピークを迎えており、人としてもかつての荒々しいイメージが嘘のように落ち着いたシェルヴィーは、クラブと新しい3年契約を結んだばかり。中盤の舵取り役はしばらくこの男が務めることになるだろう。

ナビル・ベンタレブ

評価:D

冬のレンタル組で最もインパクトを残せていないのが、元スパーズでシャルケからローンされたベンタレブだ。ドイツではシーズン二桁ゴールを記録したこともあるほど得点能力に長けたプレーヤーだが、マグパイズではシェルヴィーらのバックアップとして中盤の底で起用されることが多く、特徴を発揮することができなかった。パフォーマンスを見るに、次のマーケットでのパーマネント・ムーブは実現しないだろう。

クリスティアン・アツ

評価:C

タインサイドでの4年目を迎えたガーナ代表ウィンガーは、サン=マクシマンら新加入選手の影に隠れ出場機会を大きく減らしてしまった。シーズン前半はコンスタントにプレーしており、ジョエリントンの移籍後初ゴールを御膳立てするなど、計3アシストを記録している。パフォーマンスは決して悪くなかったが、ブルースの“お気に入り”になることはできず、1月以降ピッチに姿を現したのはわずか3試合のみ。ターンオーバーを好まない指揮官のチーム作りの犠牲者となってしまった。次の移籍市場でクラブを去る可能性が高まっている。

ミゲル・アルミロン

評価:A

2019年1月に当時クラブ史上最高額の移籍金で加入したアルミロンは、長らくゴールを決められない日々が続いていたが、12月のクリスタル・パレス戦で遂に初得点をマークする。左足の鮮やかなボレーシュートがネットに突き刺さったとき、ガロウ・ゲート・エンドのサポーターは歓喜の渦に包まれた。

それからは肩の荷が下りたのか、得点に頻繁に絡むようになり、中央で起用されるようになったここ数ヶ月はさらに相手DFの脅威となっている。来シーズン開幕からミギーがこの調子を維持できれば、チームも勢いづくだろう。

アラン・サン=マクシマン

評価:S

フランスからやってきた22歳の若者は、背番号「10」に恥じない活躍を見せ、わずか1年でチームの最も重要なパーツとなった。類稀なテクニックとフィジカルコンタクトの多いイングランドでも通用する体幹を武器にすぐさまスタメンに定着すると、彼のドリブルはプレミアリーグの名だたるディフェンダー達を翻弄。シーズンが進むにつれその存在感は増していき、7月には3試合連続で二桁のドリブルを成功させるという快挙を成し遂げた。(欧州5大リーグでは今季リオネル・メッシ、アダマ・トラオレに続き3人目)チームの攻撃は彼の突破力頼みと言っても過言ではなく、ドゥーブラフカと並びMVP級の活躍だったと言える。

ジョエリントン

評価:C

ブンデスリーガで頭角を現し、イングランドへと活躍の場を移した23歳の若武者は、プレミアリーグの壁にぶち当たってしまった。チームは積極的にロングボールを供給し、ジョエリントンはそれをしっかり収めたが、超守備的戦術を敷くブルース・フットボールの中でサポートをもらえずに孤立するシーンが多く、8月のスパーズ戦で決めた決勝点を最後に長らくネットを揺らすことができなかった。

最終的なリザルトは38試合2ゴール。ファンからは批判されることも多かったが、一方で得点以外のスタッツで貢献度が高いことも証明されており、周囲との連携が深まる来季は、クラブが4000万ポンドを支払ったその実力をお披露目したいところだ。

アンディ・キャロル

評価:B

9年ぶりにセント・ジェームズ・パークへ帰還したキャロルは、得点こそ決めることができなかったが、その圧倒的な高さから試合終盤の切り札として重宝された。彼の頭での落としからゴールが生まれるシーンが多く、今季は5アシストを記録している。1年契約での加入だったが、6月に1年の契約延長にサインし、クラブが貢献を評価していることが証明された。かつてはピッチ外での行動が話題に上ることも多かったが、現在は良き兄貴分的存在で、若手選手からも信頼されている。

武藤嘉紀

評価:D

プレミアリーグの出場はわずかに207分。開幕前に猛特訓した英会話も虚しく、監督の構想から外れてしまっている。プレシーズンや序盤のカップ戦では得点をマークしており、好調をアピールしていたものの、リーグで出番が回ってくることはほとんどなく、先発した2試合ではチームが10人での戦いを余儀なくされるなどツキもなかった。中断期間に行われたミドルズブラとのフレンドリーマッチでゴールを決め、サポーターから彼の起用を望む声が聞かれたが、ブルースは試合終了間際の数分間、フレッシュな足で守備をさせるのみ。夏に別のクラブを探すべき選手の1人だ。

ドワイト・ゲイル

評価:B

WBAでの輝かしい1年を経て、再びニューカッスルのシャツに袖を通したストライカー。開幕直後はキャロル、武藤らより低い4番目のチョイスであり、わずかな出場機会においてもゴール前で致命的なミスを犯すなど、セント・ジェームズパークでの未来は長く無いように思われた。そんなゲイルにチャンスが訪れたのは終盤戦、8試合で4ゴール1アシストをマークしてブルースの信頼を勝ち取る。最後の4試合ではジョエリントンをベンチに追いやり、最高の形で1年を締め括った。このフォームを維持できるのであれば、夏以降もチームの重要なピースとなるだろう。

おわりに

このように選手個人個人に焦点を当ててみると、それぞれがアップダウンの激しい1年を過ごしており、それに伴ってチームの調子も左右されていることがよくわかる。その中でも安定してハイパフォーマンスを見せたドゥーブラフカ、サン=マクシマンは本当に見事だった。

ファンからすれば決して楽しいシーズンとは言えなかったが、そもそもこのクラブは1955年以来国内主要タイトルを獲っていないのだから、“楽しいシーズン”なんてそうそうあるものでもない。

年始から噂されたサウジ・テイクオーバーはいつになっても決まらず、ブルースは今もゴール前にバスを何台も止め続けているが、それもこれも全て“ニューカッスル・ユナイテッド”のサポーターとして生を受けた宿命なのだろう。こんなことで挫けているようじゃ、タイトルの無いこの半世紀を生きてきた先人達に失礼だ。

クラブの売却が頓挫した今、来シーズンのストーリーは決して楽観的なものではないだろうが、サポーターの1人としては、もう少し魅力的なフットボールが展開されることを願ってやまない。ジョーディは“勝つ”チームより、“トライ”するチームを求めている。この1年を振り返れば、始まる前から負けているようなゲームも多くあった。リヴァプールをはじめとするビッグクラブとの間には大きな実力差があるのも事実だが、我々も127年の歴史を誇る名門であることをもう一度思い出して、選手はピッチに立って欲しい。

最後に、プレミアリーグのサポーターが集まり、こうして1つの作品を完成させるのはとてもいいものだと感じた。このような機会を設けてくれたリヴァプール・サポーターの小津那氏には感謝申し上げたい。そして、優勝もおめでとう。次は、うちの番だ。

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次回はノリッジ編!!

お楽しみに🦁

ライター紹介

WASSY (@Damon_Yoll )
ニューカッスル・ユナイテッド・ジャパン中の人
マグパイズとスワローズとF1が好き。

僕の昼食がちょっとだけ華やかになります