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歴代日本ダービー馬の子孫は、どれほど現存するのか?③(第41代~第60代ダービー馬編)

はじめに

過去に日本ダービーを勝った馬たちが、現在の競走馬の血統にどれほど残っているのか検証する記事、今回がpart3です。
今回は第41回~第60回ダービー馬(1974年コーネルランサー~1993年ウイニングチケット)編です。

前の記事を読んでいなくても理解できる内容にはなってますが、検証方法が記載されているpart1の冒頭だけでも読むことをおすすめします。


検証結果(第41回〜第50回ダービー馬)

それでは、早速検証結果に移ります。まずは第41回~第50回ダービー馬まで。

前回と同じく低調な数字が続きますが、ミスターシービーが31頭と意地を見せていますね。
三冠馬の血は、他のダービー馬に比べて現在でも多く残っているように思われます(参考までに、セントライトは27頭、シンザンは28頭)。

この31頭の中には、サニーサフランウインステイトリーといった中央勝ち馬や、南関クラシック戦線で活躍中のブルマリンシェールなどがいます。

続いて、バンブーアトラスについて見ていきます。
2020年に生まれたバンブーアトラスの子孫の中には、2022年ホープフルSで2着などの実績を持つトップナイフがいます。

ここまでの重賞戦線で抜群の安定感を見せて日本ダービーにも出走予定のトップナイフですが、サンデーサイレンスもキングカメハメハも祖先に持たない、内国産馬としては珍しい血統背景の馬でもあります。
なんとか種牡馬入りして、その血を繋いでほしいものです。

続いて、サクラショウリについて。
2020年に生まれて血統登録された子孫8頭のうち、3頭はホッコーメモリーの牝系から生まれています。

ホッコーメモリーは2014年天皇賞・春3着馬ホッコーブレーヴや障害重賞3勝馬ホッコーメヴィウスの母であり、その牝系はこれから広がりを見せようとしている最中です。

因みに、この牝系はサクラショウリの血を継ぐと同時に、日本国内で100年近く続く星旗系の末端でもあるため、非常に貴重な存在となっています。

次に、カブラヤオーについて。
2020年に生まれて血統登録された子孫は2頭であり、まさに血が途絶える寸前と言って良いのかもしれません。

近年生まれたカブラヤオーの子孫としては、2014年の紅梅Sを制したアドマイヤビジンがいます。
タマモクロスの妹であるミヤマポピーを三代母に持つアドマイヤビジンは、引退後繁殖入りしましたが、初仔の牡馬を出産した後に亡くなってしまったようです。

2020年にはアドマイヤビジンの妹にあたるスマイルポピーが生まれていますが、この仔が母のラストクロップ。
また、スマイルポピーの他の姉たちが繁殖入りしたとの情報も見当たらなかったため、この仔の進退がカブラヤオーの血の行く末を左右するかもしれません。


検証結果(第51回〜第60回ダービー馬)

次に、第51回~60回優勝馬の子孫について見ていきます。

全体的に、徐々に数字が盛り返してきましたね。
そんな中でも目を引くのが、シンボリルドルフの50頭。やはり三冠馬の血は強いですね。

表を見ても分かるようにシンボリルドルフの子孫は現在、息子のトウカイテイオーを介したものと介していないものが半々で生まれています。
2020年に生まれたトウカイテイオーを介した子孫としては、ヒサトモのときにも紹介したようにレーベンスティールなどがいます。

一方、トウカイテイオーを介していない子孫としては、近年では2020年小倉SJ馬のスプリングボックスや、2022年オールカマー2着馬のロバートソンキーなどがいます。

続いて、ダイナガリバーについて見ていきます。
2020年に生まれた子孫は10頭と少なめですが、その中にはエリヌダスビービーグラーテスといった中央勝ち馬もいます。

また、ダイナガリバーの娘である桜花賞馬ファイトガリバーの牝系が現在でも伸びており、ここから毎年3頭ほどの子孫が生まれています。

続いて、ウイニングチケットについて。
2020年に生まれた彼の子孫9頭のうち、約半数にあたる4頭が自身の娘であるオイスターチケットの牝系から生まれています。

このオイスターチケットの牝系からは、2021年大阪杯馬レイパパレを代表に近年多数の活躍馬を輩出中。2020年にも中央勝ち馬ガレストロなどがここから生まれています。
また、有力な繁殖牝馬も多数属しているため、今後急速に拡大していく期待が大いに持てる牝系です。

従って、ウイニングチケットの血が途絶える可能性は、しばらくの間は低いと言っても良いでしょう。

最後に、アイネスフウジンについて触れます。
2020年に生まれた彼の子孫5頭のうち3頭が、自身の娘である東京大賞典馬ファストフレンドの牝系から生まれています。

その中でも、ファストフレンドの娘であるルックアミリオンは、これまでの産駒から中央勝ち馬が5頭出るなど、目立った繁殖成績を残しています。
この仔を中心に上手く牝系を広げていけるか、注目です。

なんだか、前述したダイナガリバー→ファイトガリバー、ウイニングチケット→オイスターチケットと似たような話になってしまいましたね。
自身の子孫を末永く残すためには、毎年コンスタントに子孫を産んでくれる牝馬が鍵になってくるのかもしれません。


おわりに

第41~第60回ダービー馬たちは、年代も現在に近くなってきたおかげもあってか、現在も子孫を残せている馬が多かったですね。

今回は牝系に関する話題が多くなってしまいました。ただ、子孫を末永く残すうえで、娘を介した牝系の存在は非常に重要です。
子孫数を急増させるには、子孫から有力種牡馬を輩出する(ボストニアン→メジロマックイーンなど)のが一番の方法ですが、そういったホームランを打てるケースは稀。
毎年1頭ずつですが着実に子を産み、牡馬と比べて繁殖に上がる確率が高い牝馬こそが、子孫を持続的に残す鍵となるようです。

今回はここまで。第61回以降優勝馬については、また後の記事で触れていきます。

なお、本記事の内容はあくまで私個人で調査、分析したデータに基づくため、提示した情報には誤りが含まれる可能性があります。何卒ご容赦ください。

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