フィッシュヘッドになったら新しい扉を開きかけて、あわてて閉めた話
VRChatでは、様々な趣味・趣向を持つ人達が多様な界隈を形成し、夜な夜な集まって活動していることはみなさんもご存知でしょう。そのような界隈の中に、「フィッシュヘッド」という不思議な界隈があります。
今回私は、そのフィッシュヘッドを体験してきました。VRCも3年近くやっているとすっかり慣れてしまい、感動が薄れてきています。そんな中、久々に衝撃を受けたので、「フィッシュヘッドとはなにか」というテーマについて、主観で記録したいと思います。
根っからのフィッシュヘッドの方にとっては不愉快な表現があるかもしれませんが、ご容赦いただけると幸いです。
(発祥や歴史、主催者、メンバーについてはよく知りません。今回そこは重要でないと思います。)
フィッシュヘッド?
フィッシュヘッドとはなにか。正直そのへんはよくわからないのですが、文字のとおり、「フィッシュ(魚)」+「ヘッド(頭)」で、「人間の身体」に「海の生き物の頭」が乗っているアバターのことを指すようです(例外はあります)。
そして、フィッシュヘッド界隈の人たちは、定期的にフィッシュヘッドアバターで集まり、ワールド巡りをしたり音楽会を開いたりと、交流会を開いているようです。
私のフレンドは、(なぜか)フィッシュヘッドが多く、前々から気になっていました。ただ、フィッシュヘッドの改変をするほどのモチベーションも湧かず、Twitterから「なんだこいつら…」と眺めているだけで1年近く経ってしまいました。 https://x.com/mebius_zero/status/1742576799090102704/photo/1
ついにフィッシュヘッドと邂逅
しかしなんと、この日はいつもより少し早くインをしたところ、フィッシュヘッドたちがインスタンスに集まっていました。これは好機!
しかし自分は美少女ヘッド…。混ざっていいのか不安があります。しかし、これでも私のハンドルネームは魚のイトヨ、頭は美少女でも、名に魚をたたえているなら許されるのではないかと奮い立たせ、joinしました。
joinしてすぐに心配が杞憂だと知ります。合うのは初めてでも、Twitterではお互い交流していたりすることが多かったので、皆さんフレンドリーに迎えてくださいました。
いろんなフィッシュヘッドアバターを見せてもらいました。あと、やたらと謎の食べ物をふるわれました。「食べたら元の世界に帰れなくなるやつじゃん…」と思いながら謎のマンボウスープを食べました(食べるとマンボウの幻覚が見えます)。
そのあと、フィッシュヘッド用のアバターワールド「KAYA Avatar World with FISHHEAD」に連れて行っていただきました。神聖な遺跡に大量のアバターペデスタルが並んでいます。
なんと、140近いFHPA(フィッシュヘッド・パブリック・アバター)が用意されているのです。きっとあなたのお気に入りのフィッシュヘッドアバターが見つかるはずです。
ついに私もフィッシュヘッドに
「いとよさんも是非」とおっしゃっていただき、最もオーソドックスな「泉のマンボウ」というアバターを着用することにしました。
正直、あまり気乗りはしませんでした。というのも、普段から来ているアバターに精神がフィットしているので、海外ワールドなどによくあるアバターペデスタルに着替えても、「ふ~ん」という感じしかしないからです。
そして私も泉のマンボウになりました。なるほどなるほど、まあこういう感じかと。そして鏡を見ると…
これが私!?
何だこれは…
喋るとリップシンクが…口の中が…
アニメ系の「美少女」的な価値観からすると、決して美しいとは言えない。いやもうグロい。すごい速度で精神が疲弊していく。
「うわぁぁ」とか言ってしまう。鏡に映るマンボウも「うわぁぁぁ」と言っている(笑)
あ、これは私か…
いやこれは…
そんなことを言ったり思ったりしながら遊んでいるうちに、気づいたらそれほど気にならなくなっている自分がいました。
そしてその後、「長魚頭村山口」というワールドに行き、みんなで探索しました。そうやって遊んでいるうちに、最初泉のマンボウを試着したときの違和感はすっかり消えていることに気が付きます。
むしろ、非常に居心地が良くなっていることに気が付きます。
そんな感じで一通りワールドを探索したあと、解散したのでした。
フィッシュヘッズと別れたあと、色々と考えました。
最初に試着をして鏡を見た際、非常に気持ちが悪かったのに、なぜ今はこんなに心地よいのだろうと。
多分、私はVRChatで自身も美少女アバターを使い、意識して美を表現していますし、周りも美少女だったり整った容姿のアバターの人が多いです。それは、誰しもが素朴な価値観として「美しいものは良い」と考えていたり、または人を不快にさせない容姿にすることでより円滑に他人と交流できるという実利を選んでいるからです。
しかし、フィッシュヘッドの顔は魚です。魚として見たときは美しかったり可愛かったりしますが、人の身体の上に顔として魚がついているのはやはり不気味ですし、人の顔として考えると醜いです。
ところが、何も気にすることはないのです。なぜなら、周りもみんなフィッシュヘッドだからです。
「なりたい自分の姿になれる」と言われがちなVRChatですが、先に述べたような事情から、我々はどうしても美しいアバターに籠りがちです。でも、みんなでフィッシュヘッドになることで、そういった世界から自由になれます。そこにフィッシュヘッドの魅力があるのではないか、そんな事を考えてVRCから落ちました。
???
寝る前に鏡を見ると、当たり前ですが、「いとよ」ではなく、生の自分の顔が映っています。ただなぜかその時、直感的にこんなことが頭をよぎりました。
「あ、我々って、究極的にみんなフィッシュヘッドなんだな」
自分でも何を言っているのかよくわからないのですが、HMDを外しても自分がフィッシュヘッドから戻れなくなる、そんな気がして「これ以上はまずい」と思い、考えるのをやめました。
皆さんも是非、フィッシュヘッドを体験してみたください。
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