マトリックス リロ-デッド

マトリックス リローデッド(2003:アメリカ)
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
監督:ラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟
出演:キアヌ・リーブス
  :キャリー・アン・モス
  :ローレンス・フィッシュバーン
  :ヒューゴ・ウィーヴィング

前作から更にアクション・特殊効果をスケールアップした第2作。今作も派手なアクションに目を奪われがちだが、解放された人間たち、組織内の愛情や憎しみ、そして人類の尊厳にもクローズアップしている点も大きい。
ストーリーは一本道なのでそれほど難解ではないが、主役・主要人物へクローズアップしている場面が多く、組織での立場を描写した点も注目。機械側も対立があったり、ルールから逸脱した存在がいたりと、起承転結で言えば転に位置する作品になる。物語の最後まで脅威となる敵がさらなる力を得て立ち塞がる点は80年代の少年ジャンプ的展開を思わせる。しかし作品通じての特殊なセリフ、言い回し、用語が随所に出て、時々理解がとまることもある。展開にご都合主義的な場面も散見される。
今回は愛というテーマもあり、男女の間もたくさん描写されている。主人公とヒロインの愛、夫婦の愛、別れた男女との愛、裏切られた愛等々が描写されて、作品をアクション一辺倒ではないものにしている。濡れ場と祭りのシーンが長いのは観客へのサービスか。
この作品で最大の見せ所なのは先鋭的なアクションであり、今回は主要三人のアクションが楽しめる。以前より手数足数が増え、敵の数も増え、見せ場も増えている。カーチェイスも見どころ。車上の銃撃戦から、車内での密着戦、トレーラー上の格闘戦と盛りだくさん。ここがこの映画の一番のヤマ場だった。剣道経験者として日本刀をブンブン振り回すのは観て気持ちいいものではなかった。敵が増殖してワラワラと群がってくるのを、延々格闘で倒し続けるのを観て「飛んで逃げたら。」と心の中で何度も突っ込んだ。アクションシーンは諸刃の剣でもある。
今作「リロ-デッド」は前作では明らかにされていない事実が明らかにされる。主人公がマトリックスの世界では異物であり、排除とマトリックスの再構築のために吸収される存在であったこと。今回の救世主は愛することへ誘導されていたため、かつての救世主たちは人類存続を選んだが、今回の救世主は人としての愛を選択した。どちらも正しい選択をではあるが、選択に対峙した時、もう少し葛藤が見たかった。結果人類は機械の脅威にさらされることになるが、同じタイミングでマトリックス世界にもスミスという異物の脅威にさらされることに。両者の脅威は3作目へと大きく道筋ができているが、前作からストーリーとはつながりが希薄になってしまった感はある。
派手なアクションとそれぞれの群像劇を含んだ今作。見ごたえなら作品随一。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?