ナイスガイズ!

ナイスガイズ!(アメリカ:2016年)
監督:シェーン・ブラック
脚本:シェーン・ブラック、アンソニー・バガロッツィ
出演:ラッセル・クロウ
  :ライアン・ゴズリング
  :アンガーリー・ライス
  :マーガレット・クアリー
  :キム・ベイシンガー
 
暴力示談屋とアル中探偵の二人が奇妙な掛け合いとドタバタで、アメリカの暗部を暴き出すコメディタッチのミステリー。相棒(バディ)モノはテンポよくストーリーが進むのがいいんだが、所々訳の分らないノリを見せられて、( ゚д゚)ポカーンとなることも。
ある夜アメ車が民家に飛び込む事故が発生。直前少年が隠れて観ていた雑誌のグラビアに載ってたポルノ女優が、グラビアと同じ格好で死亡してしまう。アル中探偵はそのポルノ女優の叔母から彼女の捜索を依頼される。彼女は事故死していたが、叔母は死亡したはずの彼女を彼女のアパートで見かけたと訴える。アル中探偵は捜査の上ある女に行きつくが、その女は暴力示談屋を雇いアル中探偵を襲わせて、依頼から手を引けと忠告させる。しかし暴力示談屋も自宅で二人の殺し屋に襲撃を受け、この依頼の背後に不信を抱き、先ほどのアル中探偵に女の捜索を逆依頼。二人で奇妙な関係を作りながら、事件の背後に隠されたアメリカ社会の陰謀に関わっていくこととなる。
ラッセル・クロウとライアン・ゴズリングというビッグスター二人の掛け合いがおもしろい。通じ合っているようで、まったく通じていない。意外と真面目な暴力示談屋と有能なのか無能か分からないアル中探偵の二人が、お互いの強みを活かしつつ事件をひも解いていくのが痛快。ラッセル・クロウいかつい外見でいかにも荒事が得意と思わせる迫力でアクションを担当。殴られたら痛いんだろうなと思わせる暴力に説得力がある。その昔ローマの剣闘士やってた頃からこの人の暴力の迫力はこの人にだけしか出せないと感じていた。あの頃と違いお腹が出て貫禄あるのはご愛嬌。その相棒であるライアン・ゴズリングは今まで見た作品の中イチ弾けてたのが意外。しかもなかなかのクズっぷりで、アルコールに眼がなく、ちょっとした色仕掛けになびき、お調子軽すぎて窮地に落ち込んだりといいところがない。かと思えば、メモからヒントを導いたり、証言から推理したトリックを発見したりと見せ場は多い。さすが今熱いスターの一人だ。
なかなかいいキャラクターなのがアンガーリー・ライス演じるアル中探偵の娘。問題多い二人の間に挟まって、利発さとしっかり者の本領を発揮。パーティーに忍び込み聞き込みしつつ、危険な目に遭うが悪漢が現れるきっかけを作ったり、自宅にやってきた殺し屋に感づいて拳銃を構えたりと要所で光る。ゴネるアル中探偵の父に悪態をついて叱咤したり、やりすぎる暴力示談屋に「口きかない」と怒って寸でのところを思いとどまらせたりとなかなかの活躍。二人をつなぐバイプレーヤーとしてもっと活躍してほしかったのだが、出番を出し惜しむような使い方が残念。
キャラクターはしっかりして観せ方もよく考えているなとは思うが、ストーリーは間延びして飽きてくる。コメディ部分を中心にし過ぎてミステリーの謎解きは物足りない。確かにアル中探偵が頭脳を使って見せ場を作るが推理には苦しい。聞き込みも単調で登場人物の奇矯さに頼って事件を複雑にしているように見える。彼らが引っ張り廻すので、事態がガチャガチャとややこしくなり、ストーリーの本流が見えなくなる。なんでこの人は悪人に追われているんだ、殺し屋が出てくるほど深刻な事態なのか等々観終わって疑問に思うことがある。
ウィキ先生によれば、あの有名なバディ刑事映画の製作・脚本を手掛けた二人が作り上げた21世紀(舞台は77年のアメリカだが)のバディムービーとのこと。確かにノリや雰囲気は酷似してる。軽い笑いに悲惨な殺人事件、良識的な男と無軌道な相棒等々対比対象で作品を盛り上げている。古き良きアメリカの過剰気味な文化、習俗をキラキラと魅せて懐かしいものを感じる。エロと暴力が多めなので家族での鑑賞には堪えないが。でも昔の日曜夜のTVロードショーを思い出す。懐かしを感じさせつつも新しさを取り入れている意欲作かもしれない。もしかしてシリーズ化を目論んでる?。

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