マトリックス レボリューションズ

マトリックス レボリューションズ(2003:アメリカ)
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
監督:ラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟
出演:キアヌ・リーヴス
  :キャリー・アン・モス
  :ローレンス・フィッシュバーン
  :ヒューゴ・ウィーヴィング
  :ジェイダ・ピンスケット・スミス

とうとう物語が終わる。長かった闘争の果てに人類は解放されるのか。それとも機械が管理する世界が続くのか。脅威と化した異物プログラムの存在は。マトリックス最終章は答えを出すべく進んでいく。
今作は1・2作以上に独特な用語や言葉まわし、暗喩・隠喩が使われ理解するのがなかなか難しい。2回3回と視聴して、ストーリーと背景を理解した。その分アクションは1・2作よりは控えめ(とは言ってもいつものバレットタイムをふんだんに使っているが)。
登場人物の苦悩がクローズアップされる。導かれマシン・シティへ向かおうとするが、その先の未来は見えない、途切れてしまっている主人公。主人公を愛し、彼のために死ぬこともできる覚悟はあるが、そのためには死して別れなければならないヒロイン。二人の葛藤が交わる。残念なのが前2作ストーリーを引っ張ってきたローレンス・フィッシュバーンの演出が少ないこと。前作で預言を裏切られたはずなのに苦悩が見られなかった。反面その元カノ役、ジェイダ・ピンスケット・スミスの好演が光る。ホバークラフトをぶっ飛ばして、機械の猛攻をしのぎ、ドックに突っ込んでいくシーンはなかなか見ごたえがあった。
人類の解放を目的とした救世主のシーンと都市の防衛のシーン、二つのシーンが交錯しながらストーリーが進むことで、緊張感とひっ迫感が効果的に出ている点も今作の見どころ。「急いでくれ。」という呟くセリフでシーンが転換することで人間側の切実感が現れていた。
興味深い点は映画の中、様々な人種が入り乱れていたこと。主役・ヒロインはコーカソイド系だが、ネグロイドのリーダーやメンバー、モンゴロイド系やフレンチラテン・アーリア系の姿をしたプログラム等々、見ようによっては人種によって役どころ・役割が明確になるという効果がある。人種のバイアスは避けなければならないが、雑多な人種が複雑に絡み合うことでより奥行きのあるストーリーに仕上がっていた。大柄な白人が現地人を撃ち殺しまくるという古の映画よりいい。
ストーリーが終盤になったころ機械の神が現れるが必然性がわからない。脅威となったスミスを倒すため取引したのはわかるが、スミスが作られたプログラムである限り、創造主の脅威にはなりにくいのではないか。また機械の神と設計者・預言者との関係がわかりにくい。救世主の必要性もぼやけてしまう。
映像で言えば、1作目はフィルム処理。2・3作はデジタル処理されているため映像が鮮明。1作目のざらついた画像と見ると仮想世界と現実世界が対比されたような表現で、通しで観た視聴者にあえて違いを感じさせるようにさせたのかも。
3部作通じてやはり大作。ありとあらゆるポップカルチャーを取り入れたエポックメーキング的作品。80年代以降ステレオタイプだったアクション映画が変わった。そして主役であるキアヌ・リーヴスはスターダムにのし上がり、その後の地位が築かれた。先進的かつ革新的な記念すべき作品。

もうすぐ公開の新作「マトリックス レザレクションズ」のために3作見返した。ついでに長い間離れていた映画を見るという行為もリハビリがてら再開。今後きちんと映画を観よう。

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