コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団(2016年:アメリカ)

コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団(2016年:アメリカ)
監督:ケヴィン・スミス
配給:インヴィンシブル・ピクチャーズ
出演:リリー=ローズ・デップ
  :ハーレイ・クイン・スミス
  :ジョニー・デップ
  :ヴァネッサ・パラディ
  :ハーレイ・ジョエル・オスメント
 
正直何を見せられているのか理解に苦しんだ。B級映画大好きな連中がはっちゃけて作ったようにしか思えない。ダラダラとした展開に、JKが暴れまわり、目的もはっきりしない敵が襲ってくる迷作。ただキャストは光るものがあり、映画は何がウケるのか分からない。
カナダは田舎町にある家族経営のコンビニ。娘のJKと親友は態度悪く店番をしている。二人とも同じ名前をもつ仲の良い親友同士で、店のバックヤードで歌って騒いだり、ヨガ教室で訳の分らんヨガを習っていたりといつも二人一緒。いつもスマホを片手にしており、取り上げられたら失神する始末。ある夜、二人は男子たちからパーティーの誘いを受けていたが、経営者の父と店長で愛人の女に店番を押し付けられ渋々店番をしていた。いっそのこと男子たちを呼びよせて、コンビニでパーティーしようということとなり、男子たちを誘うがやってきたのは二人だけ。その二人も悪魔崇拝とか名目をつけて、彼女たちをできもしない悪魔への生贄に捧げようとするが、そこに奇妙なソーセージのチョビ髭をした小人の集団が襲ってくる。JKとミニサイズのナチ軍団との不毛な戦いがおっ始まる。
序盤からダラダラとした展開が長く、観ていて辛い。JK二人の日常と友情や恋愛、とりまく家族・人物関係まで過剰に出てくる。いちいち説明せんでもええやろ、とうんざりしてしまう。コメディタッチなのでノリやクドさも必要だが、もっと展開を進めてほしい。肝心の敵が現れるのは中盤を過ぎてから。恐怖の盛り上げがしょぼかったので唐突さを感じた。
その中で主演の一人、リリー=ローズ・デップの存在感はなかなか。父のようなエキセントリックさがありながら感情表現に力があり、母のような凛とした美貌を持ちながら粗削りさのある佇まい。演技としては発展途上だろうが、これは楽しみな逸材に見えた。若いながらキャリアを積んできており、これからの飛躍を期待したい。こういう親の七光りは大歓迎。もう一人の主役、ハーレイ・クイン・スミスは監督の娘。印象に残る存在ではないが、コメディリリーフとして活躍してくれたので、この子も面白い。スマホ取り上げられて気絶するシーンは笑ってしまった。作品は今一つだが主演二人が仲良く頑張っているのが感じられてなんか微笑ましい。部活の顧問のような気持になった。
父兄参観のように主役二人の親が出ていたのも印象に残る。探偵役で出ていたのがジョニー・デップ。娘のリリー=ローズ・デップと共演。チョイ役でメイクや衣装で分からなくしていたが、やっぱりジョニデはジョニデ。存在感ではっきり分かる。その母親のヴァネッサ・パラディはハイスクールの歴史教師。年齢を重ねても美人は美人。佇まいから歩く姿に神々しさを感じる。でもやっぱり前歯は特徴的。フランス人の美的感覚は未だに分からん。
久しぶりに見たのがハーレイ・ジョエル・オスメント。先日引退したスキンヘッドの名優と並んで出演していたあの映画から30年近く。なんだ、このデ〇は。あれほどかわいらしかった子役がこんな姿になるなんて。カナダのナチ党の指導者という役どころだったが、力込めて演説するのは上手い。
しかし制作サイドの悪ノリ、おふざけや日本人には分かりづらい言い回しなどが頻出して、物語に面白さはまったくない。アル・パチーノやシルベスター・スタローンの物まねって言われても似ているのかどうか分かりにくい。敵のソーセージ人も気持ち悪いが脅威に感じない。JK二人のキレの悪いアクションでやられるって、今までこいつに殺された人間は何なんだったんだと理解に苦しむ。何でヨガで戦えるのかもさっぱり意味が分からない。エンディングで二人がカナダ国歌をハードロックに乗せて歌うのはちょっと面白いけど。B級ノリを気楽に楽しむのにはいいんだけど。

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