バトルシップ

バトルシップ(2012:アメリカ)
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
監督:ピーター・バーグ
出演:テイラー・キッチュ
  :浅野忠信
  :ブルックリン・デッカー
  :リアーナ
  :リーアム・ニーソン

正月だからキャスティングが豪華な映画が観たいと思ってDVDを手に取った。タイトルと説明で期待したが、感想はイマイチ。いわゆる、内容は薄いのに金をふんだんに使った国策映画といったところ。
主役の扱いがひどい。お話には多い、命令違反しまくる破天荒なヤツが、身内の死を経てアクシデントに立ち向かい障害を打ち倒すという設定だが、いい加減飽きる。自分をコントロールできない人間が駆逐艦で重要なセクションのトップにはなれないだろう。しかもこの艦にはこいつしかおらんのかというくらい出っ張ってくる。
さらに助演の浅野忠信の扱いも悪い。映るのはいつも一瞬。ちょっと卑怯な役どころで、乗っている護衛艦は早々に沈められ、手柄は主役が持っていく。本当にかませ犬的存在。今の日本を代表できる俳優なのに、まったくいいところが出せていない。非常に残念だ。
艦隊提督役のリーアム・ニーソンの配役も間違っていると思う。なぜか還暦を過ぎてからアクションスターとして認知されるようになった俳優なので、いっそのこと戦闘の前線でボロボロになりながら陣頭指揮を執る雄姿を見たかった。
ヒロイン的なブルックリン・デッカーも本当に必要な配役なんだろうかと考えてしまう。活躍するものの、どうしても画面の賑やかしにしか見えず、やたらセクシーさを強調してくる。もっとスマートな活躍が観たかった。あとリアーナは軍人にしては華奢すぎる。
敵の存在もなんとなく倒されることを前提に作られた感もあり、絶望的な強さはなく、ちょっとがんばれば倒すことができる、というご都合主義的な面がある。超巨大な機械兵器が三台もあって絶望的なのに、使う兵器はちょっとみみっちいし、この程度で侵略するの?と疑問に思うほど装甲は弱弱しい。もっとバンバン攻撃せんと地球を征服できんぞと突っ込んでしまう。
CGや実際の艦船を使用した豪華な映像は見ものだが、そういった演出は俳優の演技の説得力があってこそ映えるものなので、どうしてもこの作品では活かしきれてはいない。
終盤ではよくある引退したアナログ兵器で、古参の元水兵たちと協力して危機に立ち向かうという予想された展開。ただ、これがこの作品のハイライトで、CGではない本物の戦艦ミズーリが航行する姿はカッコいい。今では見ることはないだろう巨砲が火を噴く姿はCGでも迫力がある。
この作品に期待していたのは、強大な敵に対して駆逐艦と護衛艦が連携して撃破していく海戦的展開だった。それが序盤でひっくり返されて一人のヒロイックストーリーになっていたのが何とも残念。一人一人の俳優はいいのに、脚本や演出次第ではダメになってしまういい例かもしれない。

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