宇宙刑事ギャバン THE MOVIE

宇宙刑事ギャバン THE MOVIE(2012年:日本)
監督:金田治
配給:東映
出演:石垣佑磨
  :永岡卓也
  :滝裕可里
  :森田涼花
  :大葉健二
 
メタルヒーローシリーズの元祖として有名な宇宙刑事ギャバンが30年ぶりに復活。新世代のギャバンを中心に、かつて壊滅させた悪の組織の首領の復活を阻む特撮ムービー。実写とCGを交えた日本オリジナルのヒーローが活躍を魅せる。
幼少の頃、宇宙刑事ギャバンのデザインは衝撃的だった。銀を基調とした機械的なデザインでありながら、躍動感あふれる激しいアクションを繰り広げる姿は、それまでのヒーローとは一線を画していた。光を受けて眩しいくらい輝き、各所には計器のようなコンパネ。バイザーの奥には眼が光る。シンプルながら奥深い造形は30年経っても色あせていない。今作はよりシンプルに配色を抑えてはいるが、かつてのデザインへの敬意を感じさせるカッコよさ。輝きはさらに増している。そのスーツが躍動し、攻撃を受けると激しく火花を散らし、敵に立ち向かっていく姿には感動する。
物語はTVシリーズで壊滅した悪の組織が復活。打ち倒された首領を復活させるため、地球にある特殊な隕石とワームホールの研究を強奪するが、さらにある狙いもあった。かつて地球の宇宙飛行士だった主人公は幼なじみを助けるべく二代目宇宙刑事ギャバン(見習い)として地球に帰還する。そして首領復活をもくろむ悪の組織の新リーダーはある秘密があった。二代目ギャバンの奮闘と成長が描かれる。が、ストーリーはやっぱり弱い。王道的な特撮ストーリー。小さなお友だちが視聴することも考えれば無理やりな展開に茶々を入れるのは野暮だろう。
主演の石垣佑磨はがんばってると思う。体張ったアクションに挑んで、ずぶ濡れになったり、一斗缶の山に投げ飛ばされたり。手に革のドライバーグローブをきちんと履いてるところに過去の特撮ヒーローへのリスペクトを感じた。オレも子供の時欲しかったな、グローブ。熱さの中に迷いやためらいを感じさせる。そこはあの有名なオープニングテーマを連想させる。ただ、幼なじみの女性研究者と今の相棒との三角関係は演出的には無駄だった。
その主演を喰ってしまうのが初代ギャバンの大葉健二。溌溂とした身のこなしと未だ衰えないアクションがカッコいい。素顔でも戦うが所々にギャグパートが挟まれ、その時の笑顔がさわやかで愛嬌がある。昭和のアクションスターは輝きがひと際違う。デスクワーク中心の年代なのに「まだオレは現場でバリバリやるぜ!。」っていう感があって頼れるパイセン。オレもこんなイカしたアニキになりたいなぁ…。無理かなぁ…。
その二人が一緒に変身してWギャバンが現れた時はトリハダが立った。もちろんあの有名な「蒸着プロセスをもう一度見てみよう。」のナレーションが泣ける。必殺技ギャバンダイナミックへの「レーザーブレード!。」掛け声とアクションもTVシリーズを観ていた大きなお友だちには感涙モノ。その他、相棒の「レーザーヴィジョン」の掛け声や龍型メカ、ドルギランがCGで滑らかに動くことや空飛ぶサイドカー、サイバリアン、敵側にはマクー空間と設定が懐かしくて思わず顔がにやけてしまう。まぁ、暑苦しい懐古主義と言われれば、その通りなんだが。
観終わって、特撮は日本が世界に誇る映像コンテンツだと感じる。確かにハリウッドのような潤沢な予算を使った迫力あるCGやアクションのクオリティとは言えないが、随所に爽快感あるアクションを見せつけてくれる。ヒーローと敵のスピード感ある戦闘や、主人公や敵クリーチャーの独創的なデザインは海外のヒーローにはない魅力が詰まっている。今の特撮は視聴層ががっちり固まってしまっている。なら若者の成長や人間のドラマを描くことができるメタルヒーローはブラッシュアップをかければ、全世代、全世界通用するコンテンツになると思う。
 
追記 今年、音楽を担当した渡辺宙明先生がお亡くなりなった。宙明サウンドはいろんな特撮やTVドラマで盛り上げた。偉大な巨人の冥福をお祈りします。

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