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重要判例改正(憲法編)東京都議会島部特例選挙区の合憲性(最3小判平成31年2月5日判時2430号10頁)

判旨

1 島しょ部は,自然環境や社会,経済の状況が東京都の他の地域と大きく異なり,特有の行政需要を有するため島しょ部から選出される代表を確保する必要性が高い一方、他の市町村の区域との合区が地続きの場合に比して相当に困難であるから、配当基数0.249(=最大較差5.46倍)であっても、特例選挙区として存置することが許されない程度にまで至っているとはいえない
2 公職選挙法15条8項ただし書を適用して人口比例の原則に修正を加えるかどうか及びどの程度の修正を加えるかについては,当該都道府県議会にその決定に係る裁量権が与えられているところ、その較差が都道府県議会において地域間の均衡を図るため通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしはぬてもなお一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達しており,これを正当化すべき特段の理由が示されないとき,あるいは,その較差は上記の程度に達していないが,上記の制定時若しくは改正時において同項ただし書にいう特別の事情があるとの評価が合理性を欠いており,又はその後の選挙時において上記の特別の事情があるとの評価の合理性を基礎付ける事情が失われたときは,当該定数配分は,裁量権の合理的な行使とはいえない。

(参考条文)公職選挙法
(地方公共団体の議会の議員の選挙区)
第15条(略)
8 各選挙区において選挙すべき地方公共団体の議会の議員の数は、人口に比例して、条例で定めなければならない。ただし、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。

ポイント

最高裁によれば、憲法14条により投票価値の平等が保障されているものの、公職選挙法は、地方議会については、「地域間の均衡を考慮」し、人口比例原則の例外を定めることを許している。

本判決は、最大較差5.46倍であっても合憲であるとしたが、①格差が一般的に合理性を有するとは考えられない程度に達しており、正当化すべき特段の理由がない場合に限らず、②たとえ格差がその程度に達していなくとも、特別の事情があるとの評価が合理性を欠いており、その後に合理性を基礎づける事情が失われたときにも、投票価値の不平等が違憲となる可能性を示唆したことに意義がある。

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