SlackやSNSをどれだけ駆使しても教授のメールは簡単には減らない

あくまでも「僕のメールは減らない」という話題であって「教授のメール」というのは主語がでかすぎかもしれないことをあらかじめお断りしておく。

正月が来ると毎年やっていることの一つに「1年間の送信メールを集計する」という件がある。大学教員になってからの15年間の送信メールの本数の推移はこんな感じである。

コメント 2020-01-02 124954

准教授(当時は助教授)として赴任して6年後に教授に昇進したのだが、綺麗に7年目からメールが急増してそのまま減らないことがわかる。これをみると准教授のうちにもっと研究をしておくべきだった、なんなら准教授の期間がもっと長くてもよかったかもしれない(不謹慎発言かも)と思う。

そして特筆すべき点として、ここ数年はコミュニケーションの主軸がSlackやSNSに移行しているつもりなのだが、それでもメールは全然減らないという点がある。理由を考察する限り、以下の2つが圧倒的に大きい。

1) SlackにしてもSNSにしても基本的に組織内などの内輪のコミュニケーションが主体のツールであると考えてよい。学内活動にしても学外活動にしても、不特定多数の人に対する窓口になるような仕事をしていれば、メールをはじめとする標準化された通信方法での連絡は簡単には減らないはずである。自分で言うのもなんだが、代表者らしい役割を任される立場にいる人にとってメールを減らすのは簡単ではないのである。

2) 業務の連絡をSlackやSNSに移行できる人は社会全体ではまだまだ限られている。僕の学内業務は人文系・社会系・芸術系を含む多彩な学術分野にまたがっており、アナログ主義をはじめとした多彩な習慣の中での仕事となる。それらの人たちを全員SlackやSNSに移行させるのが効率的だろうか?…というと現場の感想としては疑問が残る。また意外に思われるかもしれないが、僕の研究分野の海外(欧米豪およびアジア主要国)の情報系研究者は意外とSlackやSNSを使っていない人が多い。よって結局、メールでのやりとりから逃れられない。

こう書くと不満を述べているように見えるかもしれないが、見方を変えれば、コミュニケーションをSlackやSNSに切り替える速度よりも高速に自分の交流範囲が広がっているからこそメールが減らないのである。それによって受けている恩恵に感謝すべき点も大きいはずである。

なお僕が主導する研究室運営や学会運営では「Slack90%, メール10%」のコミュニケーションを希望している。Slackを支持する理由は、
1) 運営者側がIDを発行するのでSNSのプライベートアカウントとのつながりを要求する必要がない
2) PC版とモバイル版と両方ともアプリがそこそこよくできている
3) ある程度普及しているのでこちらが使い方を教える必要がない
4) 海外でも普及している
というところだろうか。
※逆に1)2)4)を満たさないという理由で僕はLINEを極力使わない。
一方で、あとで検索する可能性のある重要な情報、翌年度以降も再利用しそうな情報、などはあえてメールで共有するようにしている。90%の廃棄可能な会話がSlackに移行すれば10%の重要な情報がメール画面で検索しやすくなる、という考え方である。




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