欲望の代償 | ソロモン王と金の冠を望んだ雀たちの教訓
ソロモン王はユダヤの最も有名な王である。
賢者の王は鷲の背に乗って空を飛び、国内の隅々まで視察して回ったと言われている。
ある日ソロモン王が鷲の背に乗ってエルサレムからはるか彼方の国を目指して飛んでいた時、たまたま体調が悪くて、鷲から落ちそうになった。
それを見ていた雀たちが何百羽と寄ってきて、ソロモン王が鷲の背中から落ちないように支えた。
これに感謝したソロモン王は雀たちに「お前たち雀になんでも欲しいものを与えよう」と言った。
雀たちは巣に戻り何をもらうか大議論した。
しかしそれぞれ勝手なことを言って、なかなか一つにまとまらない。
「いつでも身を隠しておけるブドウ畑」
「いつでも水が飲める池」
「いつでも食べ物に困らないように野ばらに食べ物をばら撒いてもらう」
という意見もあった。
そんな中である雀が「ソロモン王と同じような金の冠をかぶって飛んだらさぞかし誇らしくカッコいいだろう」と言ったところ雀たち全員が「そうだ、そうだ」と賛成し、意見がまとまった。
雀の代表がソロモン王のところに行き「王様と同じ金の冠を雀全員にください。それが私たちの願いです」と申し出た。
それを聞いたソロモン王は「それはあまりいい考えではないな。もう一度考え直してきたらどうだ。」と助言したが雀たちは「ぜひ冠をください」と繰り返した。
「それ程言うなら仕方ない」とソロモン王は雀たちの願いを叶えた。
金に冠をかぶったイスラエルの雀たちは喜々として大空を飛び回った。
今まで猟師たちは雀などに目をくれてなかったが、金の冠をかぶっているために全国で雀が狩られるようになった。
仲間たちはみんな撃ち殺され、イスラエルの雀はとうとう5羽になってしまった。
最後の5羽はソロモン王のところに命からがら駆けつけ「私たちが間違っていました。金の冠はもう要りません」と言った。
雀からは金の冠が取り外され、少しずつ雀たちは平和を取り戻し、何年かのうちにまた元の数に戻ったということだ。