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 昨日のこと。
 急に玄関が騒がしくなったので扉を開けたら、大きな荷物を抱えた妹と姪っ子がいた。いつも通りの突然の訪問。ヤッホ〜という声と一緒に、暗かった部屋がちょっとだけ明るくなった気がした。

 大きな荷物の正体は、私へのプレゼントだった。灰色のヨガマットと濃い灰色のヨガタオル。ここ2ヶ月くらい毎日筋トレとストレッチをしている私にぴったりのプレゼントだった。
(これにより、妹に借りていたヨガマットをやっと返せた。早く返せという意味のプレゼントだったのかな〜)

 おしゃべりをしたりお昼を食べた後、ちょっと出かけてくるから見てて〜と置いていかれた姪っ子。
 この間まで母の姿が見えないだけで泣いていたのに、へっちゃらそうな顔で手を振っていた。
 一緒にお絵描きをしたら、いつの間にか人間の全身を描けるようになっていた。この間まで丸も描けなかったのに。

 ほんと、私ときたら去年とほとんど変わっていないのに子供の成長は早いものである。

 

 そうして今日も普通に起きて、洗濯物を畳んで、買い物に行ってたまごの値段に慄いて、期限切れの割引券を手にレジで打ちひしがれて……
 家に帰ってネームを考え、請求書を作り、清書をして……
 ベランダに出て洗濯物を取り込んで、花粉が身体に入って本日何度目かわからないくしゃみをして……

 いつも通りの一日を過ごしていたから、
 今日が誕生日であることは、友だちからLINEがきて思い出した。

「花粉が飛んでいつもみゆきの誕生日思い出す」という言葉で、まさに私も今花粉症でくしゃみしたとこだよって笑った。

「出会って10年経ったんだね」という言葉で、10年前にもらったプレゼントのことを思い出した。

10年前の、高校生だった時の私。ひどい授業態度である。

 ちょうど10年前にもらったスクラップブック。
 はっと思い出して、収納の奥の段ボールを引っ張り出したら、今でもちゃんと残っていた。

 クラスメイトとか、仲良しの友だちや教員からのメッセージと写真がたくさん詰まったスクラップブック。

 その最後に、10年前の私の一日が書いてあった。
 一日観察されていて、色々準備されていて、一日の終わりに教室で渡されたんだったなあ。当時は何も思っていなかったはずなんだけど、今こうして改めて見ると楽しそうに毎日を過ごしているなあ。
 10年後の私は毎日アパートにこもって漫画を描いているよ、それか車であちこち旅しているよ、って言っても信じられないだろうなあ。

 スクラップブックには、今でも仲良い友だちや今では会わなくなった人がいっぱいいた。今でも頻繁にやり取りをする人は少ないけれど、その全てが今の私に繋がっているから、どうしたって特別で、大切だ。

 高校を卒業した時、周りのみんなが行きたいところに進学をするのを見て、ちょっとだけ羨ましかった。どんどん素敵になっていくみんなの隣にいるためには、私も成長していかなきゃなって強く思ったんだった。

 みんなに会って10年以上が経って、今の私はどうなんだろう。
 仕事も増えて、毎日やることいっぱいだけど、ちゃんと素敵な人になれているかは別問題だ。
 去年の目標の一つに、学びがあったけど、ちゃんとできたかな……? どうかなあ。むしろ学びに至らない悩みばかりだった気がする。



 おととい、長らく返信をしていなかった友だちにやっと返信をした。あんまりにも時間があいていて、しかも小説みたいな長さの文章になってしまって、文章もぐちゃぐちゃで……送るのを迷いつつそれでも送ったら、すぐに返信が来た。

『Thank you heaps for your beautiful email. I’m so glad you are alive!!!』

 その一文が光っていて、私の心の奥の方にすうっと届いて、とても嬉しかったんだ。いい友だちだなあって。
 うん、よかった。
 迷うことも悩むこともたくさんあるけど、この25歳もちゃんと全うできてよかった。生き延びれてよかった。
 メールをくれたニュージーランドの友だちにも、LINEをくれた10年来の友だちにもまた笑顔で会えるように、今年も真っ直ぐでいよう。


 色々なことに触れて、学んで、自分のことも周りのことも自分が過ごしている場所のことも大切にできますように。
 誰のことも殺さず、誰にも殺されず、生きていけますように。

 25日、自問の26歳、今年の目標は、健康と旅です。



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2月25日(土)8:30 起床

音楽、BLUE GIANT(サントラ)・A Gaze Lost in the Crowd(Tobias Wilden)
本、沈黙の春(レイチェル・カーソン)
ゲーム、原神
最近あったいいこと、パーマカルチャーデザイナーの資格を取れたこと
今日がんばったこと、6話のネーム
お気に入りのお酒、白龍(吉田酒造)
 

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