マガジンのカバー画像

釣り暮らし

29
自分で釣ったり採ったりした魚介たちを、あの手この手で食べます。たまに釣りと関係のない料理も登場します。釣りと暮らしの話です。
運営しているクリエイター

#釣り

いろんな魚のひれ酒を飲み比べて喜ぶ

旅行に出かけてちょっとした旅館なんかに泊まると、夕食のオプションで「ひれ酒800円」とかがあったりして、旅の開放感から、いいね、ひれ酒、旅行ぐらいでしか飲まないもんね、ちょと高いけどせっかくだし、と調子づいて人数分頼むと、たいてい運ばれてくるのはちっちゃい器で、「え、少なっ」と悲しくなるものです。 それでも、まあこんなのは雰囲気雰囲気、となんとなくうやむやにしてきた結果、結局ひれ酒って美味いんか?値段と合ってるんか?実は雰囲気だけの奴じゃないんか?と、よく分からないまま、こ

イソガニを捕まえて素揚げにする

秋はファミリーフィッシングのベストシーズン。堤防からのチョイ投げでハゼやキスが簡単に釣れる楽しい季節です。ところが温暖化の影響なのか、近所の海では年々魚が釣れなくなっており、秋だというのにハゼが数匹釣れる程度の悲しき状況。そんな時の奥の手がイソガニ捕りです。大人も子どもも夢中になるイソガニを捕りをして、食べて喜びます。 ハゼもキスも絶滅してしまったのか 子どもと一緒に釣りに出かけたのにな~んにも釣れない。数ある釣りの中で、釣れないファミリーフィッシングほどハイプレッシャー

秋イカ胴体詰め物語

秋です。秋イカが釣れるシーズンです。 夏に生まれたアオリイカたちが生長し、数釣りが楽しめる秋は、イカ釣り師たちが竿を振るう季節です。 江戸時代からの漁具「餌木」とは? 秋に釣れるイカは、まだこの世界に興味津々な好奇心旺盛なキッズイカたち。動くものにはつい近寄って抱きついてしまうので、初心者にも釣りやすいとされています。 イカ釣りには、「エギ」というイカ専用ルアーを使う釣りや、生きたアジに針をつけてエサにする「泳がせ釣り」など、複数の釣り方があります。比較的年配の人は泳

マゴチのフォー|魚のあら出汁を堪能する

昨今、サステナブル、エシカル、アップサイクル、などのカタカナが花盛りですが、イマイチピンと来ない、という人は、身近な例に置き換えて考えてみましょう、と賢そうな人がぐいぐいとナビゲートをしてくれまくる世の中です。 ということで、自分の場合は釣った魚の「あら」(=頭や骨などの捨てられがちな部位)を起点に、資源活用、環境配慮、そしてなにより私利私欲を満たすための持続可能な方法を考えていこうと思います。では始めます。 魚の「あら」を正確に評価する方法 自分は釣り人です、というと

夏のイサキで塩焼きを見直す

塩焼きを忘れた私たち 魚の塩焼き。なんと素朴で原始的な食し方なのでしょう。あまりに原始的で私たちは塩焼きを軽んじてきたのではないでしょうか。 やれカルパッチョだ、やれアクアパッツァだなどと浮き足だったことを言って、基本の基本、塩を振って焼くというシンプルな魚の食べ方をいつのまにか忘れて、私たちはどこを目指し、何を得たのでしょう。 ムニエル、ポワレ、それもいいかもしれない。しかし時に自分には、そんなキラキラしたレシピの全てが、味玉・海苔・メンマ・焼き豚その他全部のせ12

鯛そうめんという食べ方

鯛が家中にあふれている 尾頭付きの鯛を6匹も在庫している一般家庭がどれぐらいあるのでしょうか。全国で100軒ぐらいはあるのでしょうか。その人たちはどのように鯛を消費しているのでしょうか。 というのも、我が家には土曜に自分が釣った真鯛4匹、日曜夜にお向かいさんから頂いた真鯛とヘダイ各1匹ずつ計6匹があり、週末にかなり食べたとはいえ、まださばいてない真鯛が冷蔵庫で出番を待っており、そのプレッシャーたるやえげつなく、仕事に支障をきたすレベルだからです。 寝かせるといっても3

なんでもかんでも炙ってみる

「(株)週末釣りに行かせていただきます」の定例会にて 株式会社というのは、当然株の所有数が多い人の発言権が大きくなるもので、事業の方向性なども株主の意向に沿う、または理解を得られるものにしていかねばなりません。 我が「株式会社週末釣りに行かせていただきます」の持ち株比率はというと、奥さん60%、自分30%、息子10%でありまして、週末釣りに行けるかはもちろんのこと、釣れた魚の調理法にまで筆頭株主の奥さんのご意向を仰がねばならないわけです。 しかし、時に経営者は株主の反

なんでもかんでも昆布〆にする

なにか物足りないな、または少し飽きたな、という魚が釣れた時は、なんでもかんでも昆布〆(こぶじめ)にします。頼りなかった魚や、倦怠期を迎えてときめかなくなった魚たちに、ハッとするような煌めきが加わり、改めて惚れなおすに違いないからです。 台風一過がもたらした真鯛 釣り人の間では、台風の後は海の様相が変わり魚が釣れるというの話が都市伝説のように語られます。 とはいえ、牛歩のごとくのろのろとした台風7号のせいで漁港でも被害が出ているかもしれないし、さすがに不謹慎かと自粛してい

夏のハタ釣りで極上の清蒸(チンジャオ)を作る

需要のある魚を釣らねば 世の中は需要と供給で回っているのであって、欲しい人がいるからそれを作る仕事が成り立つ、というのを理解しないで自分の想い、情熱だけで、海で拾った流木でこけしを大量に作ったりすると、誰も欲しがらないどころか「これもう捨てていい?何に使うの?」などと鬱陶しがられるだけなので注意が必要です。 と、これは釣りにもいえることで、需要のある魚を釣って帰らないと「え、またカマス?もう飽きたんだけど」みたいなことになり、釣りに行くこと自体が歓迎されない風潮が家庭内に

初めてウナギをさばいて食べた顛末記 後編

さばいている最中に感じた異変 うなぎといえども所詮は魚、背骨に沿って刃を入れて、身を切り離すだけではないか、簡単簡単チョーかんたん。将来は激安うなぎとカレーとコーヒーとたこ焼きが一緒に楽しめる店でも始めようかな?とおごり高ぶっていた自分に、ある違和感がおとずれました。 ・・・なぜ身が2枚あるのだ うなぎは背中から刃を入れて背骨と身を切り分け、腹の皮一枚で身をつなげて切り開く「背開き」にするのが定番。つまり正解は下写真のように開いた身と背骨に分かれるはずです。 でも自

海のツチノコを食べつくす

ツチノコってこれのことでは? ツチノコ。日本に生息すると言い伝えられている未確認動物(UMA)のひとつ。胴体部分が膨れたずんぐりむっくりの蛇のようなアレ。 その神秘さと間抜けさが混在した存在感に、強く魅了された少年時代、山や池を真剣に探した時期もありました。 しかしそんな少年ももはや中年。ゴミ出しや風呂掃除など暮らしの苦行に追われるうち、いつしかその存在も頭から消えていたのですが、数十年の時を経てまさか海からあがってくるとは。  ツチノコって、多分これ、マゴチのこと

カメノテで朝食を

磯の非常食といえば カメノテです。磯が干潮になった時に、岩場に目をやれば彼らがいます。 たま〜に居酒屋なんかで目にすることもある珍味。名前の通り亀の手にそっくりで、岩場にびっしりと生えている様子はなかなかにゾワゾワするものです。人によってはヒィ〜ッとなりそうなビジュアルなので、この先閲覧ご注意です。 岩場にコロニーのようにひと塊になっているカメノテを見つけたら、嬉々としてナイフでこれをこそげ取ります。根元に刃を入れてグリグリとするとポロポロ取れます。 このカメノテを

息子と夏のキス釣りに

子どもの頃、日曜に父親が「釣り行くか?」というと、飛び上がるほど嬉しくて「行く!!」と言っていた記憶がある。 そして今、5歳の息子に「釣り行く?」と聞くと「行くー!」と返事が返ってきます。 夏はチョイ投げの季節。今も昔も、キスやハゼを父親と息子が釣る季節です。 息子と行くときは、車が横付けできる、足場の低い防波堤を選らぶ。ライフジャケットも着させるが、何しろ暑いので徐々に服を脱いでいき、最終的には大体パンイチアングラーとなる。 釣れない時は、双眼鏡でなにやら海の様子を

近所の夜釣りで極上刺身を調達

平日は息子が寝てからが勝負 基本、がっつり釣りをするのは週末、土日のどちらか1日ですが、平日でも潮周りが良かったりすると竿をだしたくなりウズウズ。そこで近所の海へ夜釣りヘフラフラと出かけます。 車で10分足らずのところにある海は、水がきれいなわけでも、魚種が豊富なわけでもないけれど、息子を夜9時に寝かしつけたあと、ライトロッドをもってぷらりと様子を見に行くのにちょうどいい場所。 7月8月といえば、サーフからマゴチやキスを狙う釣り人がずらりと並ぶ時期ですが、最近はとにか