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釣り暮らし

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自分で釣ったり採ったりした魚介たちを、あの手この手で食べます。たまに釣りと関係のない料理も登場します。釣りと暮らしの話です。
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#つくってみた

いろんな魚のひれ酒を飲み比べて喜ぶ

旅行に出かけてちょっとした旅館なんかに泊まると、夕食のオプションで「ひれ酒800円」とかがあったりして、旅の開放感から、いいね、ひれ酒、旅行ぐらいでしか飲まないもんね、ちょと高いけどせっかくだし、と調子づいて人数分頼むと、たいてい運ばれてくるのはちっちゃい器で、「え、少なっ」と悲しくなるものです。 それでも、まあこんなのは雰囲気雰囲気、となんとなくうやむやにしてきた結果、結局ひれ酒って美味いんか?値段と合ってるんか?実は雰囲気だけの奴じゃないんか?と、よく分からないまま、こ

アラフォーがアラフォーを食べて喜ぶ

四十路に差し掛かった人のことを「アラフォー」、五十路の人を「アラフィフ」なんて呼ぶ時代がありましたが、今でも使う言葉なのでしょうか。自分はなんとなく恥ずかしくて堂々と使ったのは今が初めてです。 ではなぜ今アラフォーという言葉を使ったのか。恥知らずなのか。やけくそなのか。老害というやつか。否。 どうしてもアラフォーと言わなければいけない事情があるのです。なぜならアラでフォーを作ったことを書こうと思ったからです。誰が?それはアラフォーの僕が。ダジャレ言うようになったらいよいよ

父子車中泊釣り旅〜赤い魚を釣りにいく

突然ですが、赤い魚がブームです。 赤い魚はいい。なんといっても大体の種類が美味しい。大抵の海の足元で釣れる、そして小さくても引きが強い。そして目がつぶらでかわいい。ちなみにここで言う赤い魚は根魚たちのことです。 そんないいところだらけの赤い魚たちを、息子くんと初めての男二人車中泊で釣りに行ってきました。 男二人車中泊釣り旅へ 10月のとある週末、5歳になる息子くんと二人でちょっと遠くの海まで車中泊釣り旅に出かけました。目的は彼が好きな「赤い魚」を釣ることです。 「赤

エソで竹輪を自作して喜ぶ

釣り人から嫌われる魚には「毒がある」「小骨が多い」「まずい・臭い」「ヌメヌメ」する、などのネガティブ要素があり、外道と呼ばれ釣れてもすぐに海に戻されます。 代表的なところでは、フグ、エイ、ゴンズイ、ボラなど。そしてルアー釣りの外道代表といえばエソです。 今回はルアー釣りの外道「エソ」で竹輪を自作して喜びます。 貪欲な捕食者。悪魔の顔つき エソは貪欲に小魚を捕食するフィッシュイーターです。ルアーにもよく反応しますが、鋭い歯で糸やルアーをボロボロにされたり、凶悪な顔つきで

イソガニを捕まえて素揚げにする

秋はファミリーフィッシングのベストシーズン。堤防からのチョイ投げでハゼやキスが簡単に釣れる楽しい季節です。ところが温暖化の影響なのか、近所の海では年々魚が釣れなくなっており、秋だというのにハゼが数匹釣れる程度の悲しき状況。そんな時の奥の手がイソガニ捕りです。大人も子どもも夢中になるイソガニを捕りをして、食べて喜びます。 ハゼもキスも絶滅してしまったのか 子どもと一緒に釣りに出かけたのにな~んにも釣れない。数ある釣りの中で、釣れないファミリーフィッシングほどハイプレッシャー

ぶりっ子を食べる

出世して銭をかせぎ、人からすごいと言われたい。課長部長はあたりまえ、できれば専務常務あたりまで出世して、九分九厘できあがっていたプロジェクトを鶴の一声で白紙に戻したりしてみたい。 そう思うのは人だけではありません。スシローなんかでおなじみのブリ、ハマチも、そうした野望を持って出世街道をひた走る魚です。秋の青物シーズンに、出世魚「ブリ」について考えつつ釣って食べて喜びます。 ブリ族の出世ランク ブリ族には、ブリを頂点とするサイズ別の名前がいくつかあります。80cm以上がブ

秋イカ胴体詰め物語

秋です。秋イカが釣れるシーズンです。 夏に生まれたアオリイカたちが生長し、数釣りが楽しめる秋は、イカ釣り師たちが竿を振るう季節です。 江戸時代からの漁具「餌木」とは? 秋に釣れるイカは、まだこの世界に興味津々な好奇心旺盛なキッズイカたち。動くものにはつい近寄って抱きついてしまうので、初心者にも釣りやすいとされています。 イカ釣りには、「エギ」というイカ専用ルアーを使う釣りや、生きたアジに針をつけてエサにする「泳がせ釣り」など、複数の釣り方があります。比較的年配の人は泳

悲しいマゴチリ

昔は人気ものだったけど、今はそうでもない。芸能界だけの話ではありません。魚界でも食卓のトレンドは日々移り変わっています。 釣れすぎたマゴチの話です。 初めてマゴチを食べた日 ひと昔前、砂浜での釣りといえばキスの投げ釣り一択でした。ところがこの数年、ルアーでマゴチやヒラメを狙う釣り人が激増し、いまや夏~秋の砂浜にはターミネーターのように武装したルアーマンがずらりと並んでマゴチ釣りを楽しんでいます。 竿やリール、ルアー等の進化により、マゴチやヒラメといった砂浜にべた〜とし

ヤングカマスと中年ブリ

今から30年ほど前、10代の頃に小さなスーパーマーケットでバイトをしたことがありました。バイト初日に緊張しながら職場で挨拶をした自分に、パートのおばちゃんはひと目見て「あら、ヤングマン」とおっしゃいました。 今思えば、ヤングマンという愛称で呼ぶことで自分が職場に早く溶け込めるようにと気遣ってくれたのかもしれませんし、単に西城秀樹さんのファンだったのかもしれません。とにもかくにも、当時の自分は若いということだけで、パートのおばちゃんたちから結構ちやほやされた記憶があります。

マゴチのフォー|魚のあら出汁を堪能する

昨今、サステナブル、エシカル、アップサイクル、などのカタカナが花盛りですが、イマイチピンと来ない、という人は、身近な例に置き換えて考えてみましょう、と賢そうな人がぐいぐいとナビゲートをしてくれまくる世の中です。 ということで、自分の場合は釣った魚の「あら」(=頭や骨などの捨てられがちな部位)を起点に、資源活用、環境配慮、そしてなにより私利私欲を満たすための持続可能な方法を考えていこうと思います。では始めます。 魚の「あら」を正確に評価する方法 自分は釣り人です、というと

夏のイサキで塩焼きを見直す

塩焼きを忘れた私たち 魚の塩焼き。なんと素朴で原始的な食し方なのでしょう。あまりに原始的で私たちは塩焼きを軽んじてきたのではないでしょうか。 やれカルパッチョだ、やれアクアパッツァだなどと浮き足だったことを言って、基本の基本、塩を振って焼くというシンプルな魚の食べ方をいつのまにか忘れて、私たちはどこを目指し、何を得たのでしょう。 ムニエル、ポワレ、それもいいかもしれない。しかし時に自分には、そんなキラキラしたレシピの全てが、味玉・海苔・メンマ・焼き豚その他全部のせ12

鯛そうめんという食べ方

鯛が家中にあふれている 尾頭付きの鯛を6匹も在庫している一般家庭がどれぐらいあるのでしょうか。全国で100軒ぐらいはあるのでしょうか。その人たちはどのように鯛を消費しているのでしょうか。 というのも、我が家には土曜に自分が釣った真鯛4匹、日曜夜にお向かいさんから頂いた真鯛とヘダイ各1匹ずつ計6匹があり、週末にかなり食べたとはいえ、まださばいてない真鯛が冷蔵庫で出番を待っており、そのプレッシャーたるやえげつなく、仕事に支障をきたすレベルだからです。 寝かせるといっても3

なんでもかんでも炙ってみる

「(株)週末釣りに行かせていただきます」の定例会にて 株式会社というのは、当然株の所有数が多い人の発言権が大きくなるもので、事業の方向性なども株主の意向に沿う、または理解を得られるものにしていかねばなりません。 我が「株式会社週末釣りに行かせていただきます」の持ち株比率はというと、奥さん60%、自分30%、息子10%でありまして、週末釣りに行けるかはもちろんのこと、釣れた魚の調理法にまで筆頭株主の奥さんのご意向を仰がねばならないわけです。 しかし、時に経営者は株主の反

なんでもかんでも昆布〆にする

なにか物足りないな、または少し飽きたな、という魚が釣れた時は、なんでもかんでも昆布〆(こぶじめ)にします。頼りなかった魚や、倦怠期を迎えてときめかなくなった魚たちに、ハッとするような煌めきが加わり、改めて惚れなおすに違いないからです。 台風一過がもたらした真鯛 釣り人の間では、台風の後は海の様相が変わり魚が釣れるというの話が都市伝説のように語られます。 とはいえ、牛歩のごとくのろのろとした台風7号のせいで漁港でも被害が出ているかもしれないし、さすがに不謹慎かと自粛してい