絲川三未

詩、SF・ファンタジー短編、エッセイの執筆✒︎ 目に見えないものたちのことばを物語に織り…

絲川三未

詩、SF・ファンタジー短編、エッセイの執筆✒︎ 目に見えないものたちのことばを物語に織り交ぜ、 光のことばを紡いでいきたい✒︎🦄🌙🎪 https://linktr.ee/mimi_itokawa

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  • ショートショート

    詩のような、そして空想的な短いお話たち。

  • 随想録

    日記とはまた違った形で。 回想録であったり、決意を残すためであったり。

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届かない手紙

葡萄色(えびいろ)に染まる空の下、 少女は、手紙がたくさん詰まったカバンを手に、 流れゆく世界のなか立ち止まる。 目に映ることはいつだって 捕まえられないことを知っている。 それでも、 宵が訪れると同時に、 往き交う人々から顔が消えていくことに、 こころの奥で焦りを感じずにはいられない。 そんな現実は、泡のようだと思う。 ぱちんと弾け、消えていく。 かりそめのもの。 きっと、 世界の中にシャボン玉があるのではなく、 無数のシャボン玉の中に、世界があるのだと。 でも、

    • あなたも幻

      わたしがお気に入りのドレスに 袖を通したある日の午後、 あなたは居なくなった。 太陽が頂点に昇った時刻、 あの人はたしかに満面の笑みでわらっていた。 そして、 日が西の地平線へゆっくり沈んでいくなか、 彼の姿も消しごむで消されていくように 徐々に徐々に消えていった。 わたしの元には あなたがいいねと言った緑のドレスと そのときの笑顔の残像だけが残っていた。 あなたが消えた日の夜、 わたしは、自分の足元に広がる影を見つめながら、 あなたが消えてしまった世界との接点だと

      • 消えゆくものたち

        いつか終わる そう 知っている そして始まるんだ でも 忘れてしまうの 何度も何度も  そよ風が横切ったとき 身体のなかをかすめていく いつかの光景や思い出 フラッシュバック 出来事も 気持ちも  まるで風のように通過してゆく なみだが作った海に 両足が捕らわれそうになった夜 消えたくなった朝 だれかと共によろこんだ夕暮れ 初夏 まだあかるい宵だった 眠れないとき 天井を空に見立てて 願いを放った日の境目 夜の真ん中 なのにまぶしかった こうやって思い返す

        • まあるい夜

          そこを誰かは ちいさな宇宙と云った わたしはそこへ落ちて 目が覚めた わたしはひとつの ちいさな意識 わたしはひとつの ちいさな目玉 わたしは  わたしが見えないけれど わたしは  わたしを自覚している わたしは  わたしをしらないのに わたしは 愛  というものをわかっている わたしは  わたしの点をさがす それは  わたしが降ろされた入口 ねえそうしたら 北極星のようにうごかない点が こちらをみていた 点は標だから 誰もがすぐに見つけられるのだ まあるい夜

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        届かない手紙

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          人生がつまらないんじゃない。 つまらないのは私の乏しい感性だ、 そう思った。 あたまはその役割に応じた 使い方に留めて、 心は広く、やわらかく、素直に。 感性を研ぎ澄まし 魂の純度を高めていこう。 まだまだ出来ること 出来ていないこと いっぱいあるなあ ありがたいことだ🙏💫

          人生がつまらないんじゃない。 つまらないのは私の乏しい感性だ、 そう思った。 あたまはその役割に応じた 使い方に留めて、 心は広く、やわらかく、素直に。 感性を研ぎ澄まし 魂の純度を高めていこう。 まだまだ出来ること 出来ていないこと いっぱいあるなあ ありがたいことだ🙏💫

          帰路、夜空の月や星を見上げるのがとても好きだ。 月からは癒しの光をまとったヴェールが降りてきて、ふわりと身体が軽くなる。 西の空の金星、プレアデスからは恍惚とするような美しい瞬き。 いつも、ずっと、月や星々が見守ってくれている。 あたたかさに包まれる夜をありがとう。

          帰路、夜空の月や星を見上げるのがとても好きだ。 月からは癒しの光をまとったヴェールが降りてきて、ふわりと身体が軽くなる。 西の空の金星、プレアデスからは恍惚とするような美しい瞬き。 いつも、ずっと、月や星々が見守ってくれている。 あたたかさに包まれる夜をありがとう。

          2023年「溢れることばを光に変えてゆく」 そんな思いが実現できるように、人となりを高めながら、今年もたくさん書き続けたい✒︎ 皆さま幸多き1年を💫

          2023年「溢れることばを光に変えてゆく」 そんな思いが実現できるように、人となりを高めながら、今年もたくさん書き続けたい✒︎ 皆さま幸多き1年を💫

          自分の中心から逸れてしまうことをしていると、 引き戻されることは必ず起きてくるけれど、 でも、だからといって、 無駄なことは何一つない。 その時そこでしか経験できないこと、誰かと出逢えた奇跡、 感じた心のすべて、 ぜんぶぜんぶ、 “生きている” ものだから。

          自分の中心から逸れてしまうことをしていると、 引き戻されることは必ず起きてくるけれど、 でも、だからといって、 無駄なことは何一つない。 その時そこでしか経験できないこと、誰かと出逢えた奇跡、 感じた心のすべて、 ぜんぶぜんぶ、 “生きている” ものだから。

          海の中で

          太陽が沈んだ後、街は海の底へ沈んだ。紺色に染まってゆく空はそこに在ったはずのものを陰のなかへおくりこみ、わたしもわたしの周りのものたちも大きな海のなかに放り込まれ、気付けばとなりに居たはずの君もあなたの目の中のわたしも消えていた。 身体が暗闇へ吸い込まれてしまった今、記憶だけがわたしと思う。海中で朧げに映し出される映像を眺めていると、そこに何らかの印を持つじぶんたちを見つけるのだった。 ある朝、市場で買ってきたラベンダーの花を贈られ花言葉に鬱陶しさを覚えたこと、気に入らない

          海の中で

          白い部屋

          名前をなくしたあの子は カーテンのすき間から 夜空を見上げていました。 『明日は満月だ』 そういって、両手で月を捕らえると 彼女の細い指からひかりが溢れ 小さな氾濫が起きました。 それから 砂のようにスルスルと落ちながら ひとつの束になったのです。 ため息のようにゆるやかに、 部屋の中央へ向かって 暗い絨毯の草原をゆっくりとかき分けながら 流れ込んでいきました。 ひかりの川を目で追っていると ある人の笑った声が耳元で聴こえて 彼女のこころは途端に白く染まりました。

          白い部屋

          異教徒の恋人たち

          ぼくの恋人は、 銀食器のようにかがやく 4本の指を持っている。 右手と左手にそれぞれ2本ずつ。 針のように先端が尖っていて、 どんなドアも器用に開けてしまう 美しい指先を。 それから、彼女にしか見えない 扉というものがあって、 いつも突然、煙のように消えてしまうんだ。 月と星以外、 だれもが深い眠りのなかにいるような 真夜中、 彼女は淋しくて眠れないと言いながら ぼくの家のドアを開け、勝手にやってくる。 そして翌朝、 植物みたいな建物がみたいといって、 風のように消

          異教徒の恋人たち

          “悲しい”は雪みたいに思える時がある。 音を立てずに知らぬ間に降り積もっていたりするから。

          “悲しい”は雪みたいに思える時がある。 音を立てずに知らぬ間に降り積もっていたりするから。

          思い出す錆びた自販機

          わたしは殺風景な田舎で育った。田舎といっても自然豊かな場所ではなく、街でもなく、過疎化が進んでいて、取り立てて話せるようなことが何もない、何の特徴もない町。 中学まで地元の学校へ通っていたけれど、とても閉鎖的な人間関係で息が詰まる場所だった。誰かを傷つけるような発言でなくても、思っていることを口にすれば性格が悪いと言われ、可愛い服を着れば、自信過剰といわれてのけ者にされる。人とうまくやるには心に嘘をつき、四六時中体操着だけ着ていると、去った人たちが戻ってくるくだらなさがあった

          思い出す錆びた自販機

          行き先が見えなくなったら 霧が晴れるまで待てばいい。 光が差したら 自信を持って前に進む。 人生の舵取りはいつだって自分🚢 どんなルートを辿ろうが 辿り着く場所は自分にとってベストな場所。 そして振り返った時に、 いちばんたのしい時間は 航海中なんだと思う。

          行き先が見えなくなったら 霧が晴れるまで待てばいい。 光が差したら 自信を持って前に進む。 人生の舵取りはいつだって自分🚢 どんなルートを辿ろうが 辿り着く場所は自分にとってベストな場所。 そして振り返った時に、 いちばんたのしい時間は 航海中なんだと思う。

          夏の身体

          閉ざされた 誰からも見えない蕾のなか               黄昏を迎える前 ほんの束の間 太陽を孕んだ白熱の夢を引き入れる 眩しさに唆され わたしはその一部に齧りつき のみ込む うたた寝をしていた鼓動が飛び起きて そわそわしながら  もくもくする入道雲をこしらえた 胸に夕立 窓を叩くように 白雨が打ちつける そして ちいさな虹ができた のみ込んだ白夢が 身体の中で七色へと変わった 言葉を発しない夢は 何も語らない夢 身体を介して  ただ感じる その存在を

          夏の身体

          私にとって 私らしく生きるということ

          毎日大粒の雨が降っている。 でもなんでかな、この音が心地よくてたまらない。 雨の中にいると、 細胞ひとつひとつがフカフカの布団に横たわっているように 喜んでいるのがわかる。 気持ちよくて、 いつまでも聴いていたくなる。 7月、 ひとつの区切りがまたやってくる。 何かが終わる時、 嬉しさと同じくらい怖さもでる。 その2つは、常にセットだと思う。 どっちに視点が置かれるか、 どっちへ意識を置くか、 ただそれだけの違い。 無意識に コントロールされてしまうときもあるけれど、

          私にとって 私らしく生きるということ