プロジェクトマネジメントフレームワーク2

自分のPMPの勉強のために、今得た知識をさも自分のもののように開陳しています。

プロジェクト、プログラム、ポートフォリオの関係

プロジェクトはとにかくあるものを作ればいい、というような単体でやればいいものと、”いろんなこと”をなしとげてやっと目的が達成されるような場合の”いろんなこと”のひとつにプロジェクトがある場合があります。例えば、期末テストで学年上位50番以内に入ることが目標だとすると、国語、数学、理科、社会、英語、家庭科、音楽、美術、それぞれの勉強をすることが、細かい目標になることもあります。この例では全部一人でやるので、50番以内に入ることを目標とした、プロジェクト の形にしてもよいですが、50番以内に入ることがプログラム、それぞれの科目を勉強することがプロジェクトという考え方もできます。(複雑なことをやろうとするとき、このように分割するというのは大切です。)そうすると、点数で50番以内に入るためには、あるタイミングで数学の勉強をストップして、美術や家庭科の勉強に人(この場合では時間)を投入するほうが、全体としての順位(ベネフィット)が上がるケースがあります。国語が98点とれるところを100点にするよりも、数学の20点を60点にするほうが、全体順位があがる(ベネフィットがある)というケースは起こり得るからです。このように、プログラムはプロジェクト(単独の教科の学習)だけでは得られないベネフィットを得るために必要な考え方ということになります。これは個別のプロジェクトを頑張っている範囲では得ることができないものを得るための活動で、そのために目標や範囲を調整することを、調和をとる、と表現します。プログラムマネジメントは、ベネフィットを得るためにプロジェクトの調和をとるわけです。ポートフォリオというのは、プログラムとはまた異なります。上記の例でいうと、50番以内をとるというベネフィットだけではなく、スクールカーストで上位10%に入るといった野望のためにたてた戦略を実現するためのものです。戦略とは、例えば成績はよくしておこう、スポーツではかっこ悪いところはみせないために体育祭ではリレーの選手にはならないが応援団には入る、音楽は大して影響しないので捨てるといったように、ある種ずるがしこく、目的を達成するために何をし、何をしないかを決めることです。なので、ポートフォリオマネジメントをする際に気にするポイントは、すべてを正しくすることではなく、目標に直結するために正しいこと(影響が大きいもの、やっておかなければならないもの)をやっているかどうかを常に自問することです。このことから、プログラムマネジメント(プロジェクトの集まりでベネフィット追及)とプロジェクトマネジメントは、”正しくやって”成功に導くことが重要です。対してポートフォリオマネジメントは、”やっていることが正しいか(正しいことをしているか)”が重要、ということになります。

プログラムマネジメント

プログラムマネジメントは、プロジェクトマネジメントより上位でものごとを判断します。なので取り扱う範囲としては、複数プロジェクト(プログラム構成要素)間で共通する問題の対応や、プロジェクト同士でぶつかりあってしまう場合の調整を行い、プログラム全体としてベネフィットを確実にしていくことが役割になります。

ポートフォリオマネジメント

ポートフォリオマネジメントでは、プロジェクト、プログラム、サブポートフォリオ、定常業務といったものが管理対象になります。サブポートフォリオというのは、非常に大きな戦略目標があるのでそれを分割して(困難は分割する)すこし小さい戦略に落とし込んだものです。定常業務は、期間は決まっていませんが何かを維持していくために必要な日々の作業です。学校で例えれば、毎日の掃除や朝の会、給食の配膳などがそれにあたります。そういうものがあって学校生活がなりたつ、それ自体に期限はなく、明確になにかを作るという目標もないので、プロジェクトではない、維持していくのに大事な活動、そういう活動が定常業務だと思ってよいでしょう。ポートフォリオマネジメントでは、そういうものも、プロジェクトやプログラムと合わせて管理対象にしているというのがポイントです。ある組織の活動全体を管理しているものになります。範囲が広いので、ポートフォリオが管理するプロジェクト、プログラム、定常業務は作業としては関りがなくてもよく、ある戦略目標(なりたいものになるために何をするかを考えた結果)を共有する個別の活動ということになります。

なぜポートフォリオマネジメントを行うのか

ポートフォリオマネジメントを始めると、結果としてどういうものが活動に反映されていくのでしょうか。次のようなことが考えられます。

・どこにどれだけ力をかけるか決める(投資判断を導く)
・実施するプログラム、プロジェクトの最適な組み合わせを選択する
・なぜそう考えたかわかりやすい(意思決定に透明性をもたらす)
・結果正しく努力できる(望ましい投資収益率を実現する可能性を高める)
・管理対象のプログラム、プロジェクトで問題が起きた時の対応を検討できる

あるものになろうとするとう戦略目標がクリアになることで、何が無駄で何が有効か、共通の土台で議論できるようになります。それによりどこにどれだけ力をかけるとなにに効くのか、そう考えた理由は何か、問題がおきたとき対応の優先度をつけられるという効果があります。

OPM(組織のプロジェクトマネジメント)

ポートフォリオマネジメントが力を発揮するのは、明確な戦略目標がある場合です。その戦略に従うことで、ポートフォリオマネジメントをうまく実施できているかどうか、評価、判断ができるようになります。では、その戦略目標はポートフォリオマネジメントで実施するのでしょうか。答えはNoです。いまいる組織がこうありたいという目標を定め、それが正しくポートフォリオ、プログラム、プロジェクトに伝わっているかを評価し、適切な行動をとる(つまり管理する)のはOPM(組織のプロジェクトマネジメント)の仕事になります。

定常業務とプロジェクトマネジメントの関係

定常業務はプロジェクトではありませんが、プロジェクトを実施した結果、組織の仕事の進め方に変化が生じることはよくあります。例えば、給食を校舎の4階に運ぶ方法として、いままで人が階段を使って運んでいたところを、給食専用エレベーターを校舎に取り付けるプロジェクトが始まったとします。そのプロジェクトが成功してめでたくエレベータが動き出したら、給食をワゴンにのせて、エレベータまで運ぶ作業と、上ってきた給食をタイミングよく受け取る作業、といった今までとは違った作業が生まれます。またそのエレベータが機能アップして人も運べるようになったとしたら、そのタイミングで定常業務にも変化が生まれます。このようにプロジェクトを実施した結果定常業務に変更が生じることはよくあることで、そういうケースではプロジェクトマネジメントの中で、作業の伝達、道具の使い方の説明という形で、定常業務との接点が生まれてきます。

縦方向の分割のまとめ

イメージとして縦方向と呼んでいますが、これまでのOPM、ポートフォリオ、プログラム、プロジェクト、定常業務の関係をまとめます。

画像1

こちらはPMBOKからの抜粋の図ですが、この背景にある薄い楕円が、OPMの範囲です。戦略も定常業務もすべてが管理対象として存在しています。一方ポートフォリオは、影響を及ぼす範囲はプログラム、プロジェクトだけです。そしてポートフォリオは戦略をインプットに、プログラム、プロジェクトの状況を観察して行動(管理)をしていきます。定常業務は、プロジェクトとの接点を持ちつつ、独自に戦略に対して状況を伝えます(フィードバック)。ということは、定常業務というのは、OPMが管理しているといえます。

プロジェクトの分割

縦方向に分割すれば、ポートフォリオやOPMでの難しさが見えますが、足元のプロジェクトが簡単かといえば、もちろんそんなことはありません。よくあるプロジェクトでも、チームメンバーや関係する人、準備するものが必要であれば、複雑でありしっかり管理する必要があります。その場合は、縦のときと同じく、プロジェクトの進行(横)方向を分割するべきです。

つづきます。


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