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人生に百点はあるのか

日の名残り カズオイシグロ

良い小説だった。

執事が、自分の仕事を思い返しながらイギリスを車で旅行する話。

執事スティーブンにとって、仕事は人生そのものだ。

執事の仕事に対する姿勢を品格と名づけ、それに自分の人生の全てをささげてきた。

品格を高める具体的な方法は、盲目的に、良き主に仕え、私生活で何があろうと仕事を優先する。何があろうとだ。

犠牲にしたものが大きければ大きいほど、プライドは満たされる。正しい判断だと確信していく。

そうして行動した結果、仕事による最高の満足を味わい、しかるべき得がたいものを永遠に失った。

生き方は美しいけど、とても哀しい。


人生に100点というものがあるような気になるけど、今の自分とそことの距離に愕然とすることがあるけど、

言葉として、「人生に100点はある」という、単語の羅列は存在するが、この世界にはそんなものはないのだ。きっとそうだ、そうだ、と思った。

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