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飛ぶ教室

クリスマス前に、子供と本屋にいったら、子供がトイレに行きたいというので連れて行った。
その時目の前の棚にあった本を何気なく見ていて出会った本。


表紙にひかれたのか、タイトルにひかれたのか、ひとまず手に取ってぱらぱらとみたところ読めそうで、しかもおもしろそうだったので購入。


海外ものあるあるで、登場人物の名前が覚えにくく、わけがわからなくなり、結局12月と1月はあまり読み進まない。

でも2月も終わりにに入って、仕事も少しめどがたったとき、ようやくもう一回登場人物のところから読み直したら週末で読み切ることができた。


この本、ほんとに中盤から後半が超絶よかった。

涙腺がもろい自分の涙の価値なんてほとんどないけど、でも読んでいて3回くらい涙を落した。

子供向けの本だけど、大人になってからのほうが楽しめるタイプのものかもしれない。モモやはてしない物語みたいに。こういう風に生きられたらすがすがしいだろう、とおもう理想がここに詰まってる。

心の表面の垢をきれいに落としてくれる、そんな感じの本だった。(垢はおとしてもすぐまたたまってしまうけど)


以下はあとがきにあった情報

この本は、ちょうどナチスが政権を取った時にドイツで書かれたものらしい。

著名人が亡命するなか、国に残って執筆をつづけたひとが作者のエーリッヒ・ケストナー。

人々が安きに流され、美しいものを見失っていく時代にこの本が書かれたと思うと、少し理想に振り切れているのも納得がいく。

これくらいの力がないと、当時の時流には逆らえなかったんじゃないかと思うし、この本の純粋さには、それに抗う力があったと思いたい。


以下あらすじ


この本は、最初は作者の境遇から書き始められる。怠け者の作者がクリスマスの話を夏の盛りに書くことになり四苦八苦している。立ち読みではこのシーンを読んで、これは面白そうと思ったとこだ。

すごく田舎に移動して、仔牛と仲良くなっているシーンが最高によかった。


そのあとは、中学生くらいなんだろうか、かれらの学校生活での冒険(他校とのけんかとか)が書かれていて、そこで登場人物のパーソナリティーが一通り描かれる。


圧巻なのはそのけんかの後始末から後だ。

出てくる人たちの、名誉や恥、勇気と行動力、これが崇高ですんばらしい。

仲間をおもいやり、それぞれに立派なところがあり、それぞれに弱さもある。とにかくいいやつらしか出てこない。


寮がある学校生活だが、先生もいい人たちばかりで、多少生徒に歩み寄りすぎて、実務は大丈夫だろうかとおもうくらい、子供にとって理想的な教師たち。ここは細かいことはわきにおいておくとよい。


だれが主人公なのか、よくわからないけど、メインストーリーは三人称で、それぞれの少年たちの心の高ぶりがストレートに心に響く。思い出しても目頭が熱くなる、良い話だった。


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