プロジェクトの運営環境

プロジェクトが実施される環境

プロジェクトは、組織の中で実行される以上、周りの環境に大きく影響を受ける。A社とB社でプロジェクトのやり方には思った以上の違いがあり、その違いを生み出す原因を、PMBOKでは2種類に分けている。

組織体の環境要因（EEF：Enterprise Environmental Factors）
組織のプロセス資産（OPA：Organizational Process Assets）

EEFは、プロジェクトを実施している組織、はたまた、社会の慣習や法律などからくるものだ。つまりEEFには、内部からくるものと外部からのものに分けられる。OPAは、組織の内部にあって、組織での決まったルール、やり方、組織がためてきたノウハウというのがその要素になる。

組織体の環境要因（EEF)

EEFは、プロジェクトで実施するプロセスに大きな影響を及ぼすため、プロジェクトマネージャーはここをしっかりとらえることに注意を払い続ける必要がある。すでに長く付き合いのあるお客であったり、その組織に長くいる場合は、ほとんど気にならない当たり前のことだが、新しい会社や組織、業界の中でプロジェクトを始めるときは、この部分で大きく戸惑うだろうし、それは仕方のないことだ。

組織内のEEFには以下のようなことがある。

組織の文化、構造、ガバナンス（やり方やこだわり）
施設や資源がどこにあるか（となりの部屋から海外まで）
インフラ（部屋やネットワーク、会議室がないなど）
情報技術ソフトウェア（どんなツールをつかっているか）
資源の可用性（使える機器や人的資源とその制約など）
従業員の能力（一緒に作業するうえでも引き継ぎときでも）

組織外のEEFには以下のようなことがある。

市場の状況（競合他社、シェアなど）
社会的、文化的な影響と課題（政治情勢やルール、見識）
法的規約（セキュリティ、データ保護、商取引など）
商用データベース（業界標準のやりかた、見積り方など）
学術研究（業界研究や、ベンチマーキングの結果など）
国家標準、業界標準（製品の規制や、品質基準など）
財務上の考慮事項（社会や国際環境）
物理的な環境（天候や労働条件など）

組織のプロセス資産（OPA）

OPAには、組織で使われる特有の計画やプロセス、手続きなどや、過去のアセットなど。基本的には、プロジェクトはOPAに含まれるプロセスに従って作業を進めるが、組織によってはプロジェクト側に裁量を認め、やりやすいように変更することを受け入れてくれる場合もある。OPAの中でのもアセットについては、プロジェクトの結果がフィードバックされ新たなアセットとして更新されて次のプロジェクトなどに活用されていく。

組織のシステム

システムといっても、パソコンやサーバー上で動くシステムではなく、組織がもっている、ルールや力関係、仕事の進め方などのことを言う。組織のシステムの中には以下のものが含まれる。

カバナンスの枠組み
マネジメント要素
組織構造のタイプ

それぞれの中身を把握して、注意を払わないと、虎の尾を踏むことになりかねないので、プロジェクトマネージャーは注意をする必要がある。通常これらのシステムを最適化していくのは、組織のリーダーでありプロジェクトマネージャーではない。

ガバナンスの枠組み

組織のシステムの一つであるガバナンス。これはは、ある目的を果たすために、メンバーに課すルールで、メンバーがもれなくそのルールにのっとって行動し、ある目的が果たせている状態をガバナンスが効いている状態と表現したりする。ガバナンスには以下のものが含まれる。

マネジメント要素

組織のシステムを構成する、マネジメントの要素としては以下のものがあげられる。

専門スキルをもった人の活用
権限の分配
適任者の割り振り
行動規範
支持の一本化
組織の目標の優先
公正さ
透明性
士気の向上

プロジェクトマネジメント・オフィス（PMO)

PMOは、プロジェクトに関連するプロセスを標準化し（どのぷろジェクトでも適用できるくらい本質的で重要で効果のあるものにまとめること）し、資源、方法論、ツールの共有を促進する組織。以下の3つのタイプに分けられる。

支援型：ガイドの提供など実施
コントロール型：ある程度強制力をもって標準化をすすめる
指揮型：プロジェクトを直接マネジメントする

PMOの力が強くなるほど、プロジェクトに及ぼす影響が大きくなるが、その目的は、より上位の意向を正しくプロジェクトに落とし込むことにある。そのため、上位レベルの戦略目標と、プロジェクトの橋渡し役となる。PMOは以下のことを行うことがある。

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知識を共有する
プロジェクトを中止する
必要な措置を講じる