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はなのたべかた

祖父が終活をしている。


と言ってもここ5年毎年のことなので、もはやそれほど深刻に捉えている家族はいない。

それでも今年に入って膀胱癌の手術をし、人工膀胱を下げる生活になってからは「いよいよ」と云う気持ちがするので、本や服のお下がりをいただいたり、私が好きな味の出汁巻のレシピを聞いたりしている。

祖父は多趣味で、中でも日本料理を作るのが一番好きらしく、私は祖父の作る一品をいつも楽しみにしていた。

そんな祖父から「もう必要ないから」と言われてもらった沢山の本のうちの一冊に、料理研究家の中村幸平さん著;日本料理語源集がある。


国語辞典のような厚みの本の内容は全て料理に関するトリビアが多く、それほど料理が好きなわけでもない私にとっても面白い内容である。

一度だけパラパラと読んで以来見ていなかったので、運試しに真ん中あたりをパッと開いてみると、それは花の項目が並ぶページだった。



『花の食べ方〜はなのたべかた〜』

「花は何れも苦味を持っていますから茹でる前には酢を入れます。原色を損なわず、苦味もとれます。

一般に食べるものは、菊の花、牡丹、南瓜、蓮、藤の花、さくら、蘭、山椒、くづ、茄子、スミレ、胡瓜の花、サフラン。

たんぽぽは乳房未発育、生理不順、胃弱、冷え性、等婦人の美容健康に役立つことなど書かれた本さえ出版されています」




おじいちゃん、孫娘は巨乳になるべくたんぽぽを摘みに行きます。


合掌。

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