経済学者マリアナ・マッツカート

いとバイ通信 2-11

経済学者マリアナ・マッツカート

2020.12.19(土)

【イノベーションはどこがもたらしたか】

イノベーションとは「社会に大きな変化をもたらす技術革新」という意味です。最近ではインターネットやスマートフォンはこのイノベーションの代表的なものと言えます。イノベーションの専門家であるマリアナ・マッツカート女史はこれらのイノベーションの利益をどこがもたらしたものかを研究しました。

スティーブ・ジョブズでしょうか。彼女によると米国の国家機関がこれらの基礎技術の開発を行ったのです。世間では一企業人であるジョブズの功績と思いがちですが実は基本的な技術は米国のアポロ計画を推進するために行われた米国国家機関の研究によって生み出されたものだったのです。このようにイノベーションをもたらすための莫大な投資は国家が行うことが多いのです。その果実から生み出された技術は企業が特許を摂り企業だけの利益をもたらすものとなっています。

ここでいう国家のイノベーション投資とは国民から集めた税金(資金)がイノベーションを起こしたということです。問題なのはその果実が企業だけの利益になっているところにあります。国家が莫大なイノベーション投資によって生み出した果実は公共の利益のためにもなる必要があるとマッツカート女史は主張します。

【公共の利益をもたらすイノベーションにする】

リスクの高いイノベーションのための巨大投資は国家レベルで行われます。その投資から革新的な技術が生まれています。女史はこの革新的技術を企業に提供する時に「公共の利益に役立つ」という条件を付けるべきだと主張します。資本主義国家による莫大なイノベーション投資によって得られた革新的技術を特許によって企業の独善的利益にしてはならないのです。

【公共の利益に参加しない企業には国家投資はしない】

国家からの投資によって得た革新的技術を企業自社の特許として利益独占をした場合国家はその企業に対して国家投資をしないようにします。企業が利益を自社株買いに回したり、払うべき税金を払わない時はその企業への国家投資を行わないことにしたらいいと女史は考えています。

【女史の考え】

1. 国家は積極的にイノベーション投資を行うこと。その果実は公共の利益に役立つようにしなければならない。
2. 今後のイノベーション分野としては「環境」「医療」などのイノベーションが考えられる。

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