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論理型と直感型のお話

「焦ってます。」
入社2ヶ月以上が経ち、上長との面談で出た言葉だった。

正直、入社するまでどんなサービスを扱っていてどんな性格の会社なのか解像度は高くなかった。面接官(今の上長)からのメッセージで心が動いたこと、同じチームの先輩が語る仕事の面白さが魅力で決めた。入社前の宿題で代表の想いを読み、なんて私のやりたいことぴったりな会社なんだろうと思いワクワクが止まらなかった。

入ってみてからはとにかく情報量が多かった。研修期間にたくさんの人の講座でどんな価値のあるサービスなのかを知った。SlackやらNotionやらツールに馴染むのは早かったけど、どんな機能を何のために開発中なのかを理解する、導入先のお客さんがどんな目的で使っていてどう業務に役立つのかを掴むことは苦労した。

友達と遊んだりすると、仕事どう〜?という話になったりするけど、うまく話せなかった。まずサービスの説明が難しい。そして私の職種の説明が難しい。サービスに馴染みがなかったりするときょとんとされるのが想像できるし、同じ業界職種の人と話しても仕事の範囲や難しさが違ったりするし、父親とも同じ業界だけど会社規模によるスピード感が違ったりするので、同じ目線で共感してもらうのは難しいだろうなと思い伝えることを諦めてしまっていた。無難に、フルリモートめっちゃ楽だよ〜という意識が低すぎる会話ばかりしていた。

仕事では常に気を張っていた。優しくて優秀で、効率とロジックで仕事をテキパキ進めていく先輩たちと働けることが本当に嬉しく思いながらも、どこかまだ馴染めなくて、引け目を感じていたし、自分から発言することが本当に苦手だった。

元々数人しかいないチームに毎月人が入り、入社から半年後には倍くらいに増える見込みだった。後から入ってくる人が本当に優秀で、行動に移すスピードも質も敵わなかった。このままだと私はお荷物になってしまう、上長も私を採用したことを後悔しているんじゃないかとだんだん思うようになってしまった。

カスタマーサクセスという職種の特性上、機能に詳しく、お客様の課題を特定でき、適切な施策を打つことができ、解約や縮小を阻止する必要があった。質問が来たら返す、新機能が出たから周知する、という単純なものではなかった。初回でお客様のサクセスな状態を握り、現状の課題となっていることを特定し(お客様自身も気づいていないこともある)、利用データを分析しながら、機能をどうやって使っていくとベストなのか、業務でどう使ってもらえたらベストなのかを提案して定着させていく。導入部署ミッションも様々だし、導入目的も課題も様々だし、出力できるデータも様々だし、提案も使い続けてもらうための交渉も様々で頭がいっぱいいっぱいだった。

そんな中、上長との面談で、最近どう?現時点で上手く回っていないことがあれば早めに解決したい、という問いかけに対し、「焦ってます」という言葉が出たのだった。

「そう思って、伊藤さんはどんなふうに動いた?〇〇さんは考える人、伊藤さんは覚える人だと思う。HOWを教えてくださいって言っているように見えるんだよね。伊藤さんの課題ってなんだと思う?」

「伊藤さんはずっと肩に力が入っているように見える。一言一句取りこぼしてはならないと、全部を覚えようとしていると思う。もっと行動してほしい。伊藤さんも、今のチームも、まだまだ未熟だから失敗したっていいんだよ。意見を言ったことに対して周りから何か言われたとしても守るから大丈夫。安心して背中を預けてほしい。」

私が周りからどう見られるかを過度に気にしすぎて動けないこと、失敗するのが怖いこと、全部見抜いた上でアクションするハードルを下げる言葉をかけてくれる。でも安心させるだけじゃなく、どうアクションしたのかを確認する問いかけや、違うことは違うとはっきりと言ってくれて背筋が伸びる時もある。感情面での寄り添いと、思考面での働きかけとがこんなに上手い上司にはあったことがないかもしれない。

いっぱいいっぱいで気づいたら泣いていた私に、泣かせちゃってごめんねーと笑う上司。もう!やめてください!と言うと、大丈夫?って心配する方がキモくない?と。このあたりのふざけるバランスも上手くて、手のひらで転がされている感覚が抜けない。ちゃんと結果で返したいなと身が引き締まる思い。

この日は力が抜けてしまったのと、コップの縁ギリギリまで溜まった水が溢れかけていたので、友にいつでもいいから話聞いて!と言ったら、今から会う?と連れ出してくれた。その人は元々IT界隈で働いていてとてもロジカルで、かつ感情にも寄り添ってくれるだろうと思ってお願いした。

今の会社はロジカルな人が多い。私は一問一答で答えがほしいのに、質問するといつも、なんでそれを聞きたいのかと問い返される。なんでも何もAがわからないからAを質問しているのに。何をするにも、考えてと言われるけど何を考えたら良いのかわからない。論理的思考力が低すぎて本当にやばい気がする。先輩と会話ができない。

そんな愚痴のような泣き言のような話をうんうんと聞いてくれた友。
「いとちんは直感型で、その先輩は論理型で、対極にいるんだろうね〜。私もその先輩と近いタイプだけど、ひとつ質問をされた時に、それってAが知りたいのかBが知りたいのか、どれを聞いているのか確認しないと進められないんだと思う。でもそのAとかBを言語化するのってパワーがいるよね。」
これを聞いて目から鱗だった。先輩と話が噛み合わないのは、自分が足りてないからだとばかり思っていたから、感性が違うからと言ってくれたのはすごく救われた。先輩に責められているわけではなくて、先輩もわからなくて困っていたんだと気づけた。

それを聞いて、なんとなく私が採用された意味もわかったような気がした。論理型の組織で、直感型の私がどう動くのか。まだ型化されていない中で新しい視点を入れて欲しい、だから恐れずに行動してほしい、そういうことなのだろうと思った。

とはいえ、まだまだ論理的思考はまだまだ苦手なので試行錯誤あるのみ。私の今までのHOWを集めるやり方(知る)から、理解する、考える、というところに進化したい。グロービスで論理的思考はこうやるんだよと知れたことはよかったし、イシューからはじめよを理解できたのも成長。あとは実践で活かせるようにすること。要素分解と課題設定頑張っていきたい、、!

弊社のプロダクトを使って見つけたこの記事が今の私にクリティカルヒットだったので(古)、紹介して終わります。



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