哲学学

これまで寡聞にして哲学の知識はなかったが、ニーチェのニヒリズムをきっかけに哲学に興味を持ってしまった。そう、哲学に興味を持って「しまった」のである。哲学と聞くとなにかお堅いイメージだし、今の社会では全く実用的ではないから、ほぼ役に立たないと思われているらしい。結論を先に言うと、その認識でほぼ正解だと思う。というか、哲学にそのような認識を持つ人は哲学が不要な人なのだから、その認識を無理矢理改めてまで哲学は必要な学問だと認識しなければいけない理由はない。だから、哲学が不要な人は不要なままでよくて、必要になったときに必要な人に届けばそれで良いのだと思う。私は哲学を生き方を考える学問だと思っているし、わかりやすく例えるなら哲学とは人生の毎日迷った人に対する処方箋みたいなものだと思っている。

私の哲学に対する認識はその程度のものだった。だから、これまで興味を持ってこなかったし、ここに来て初めて哲学に頼ってみるのも悪くないと思えるぐらいに人生の道に迷ってしまったのである。ただ、実際に哲学に頼ろうとしたら全く頼りにならなかったというのが結論だ。正確には学問としての哲学は全く頼りにならなかった。なぜなら、学問の体をなしているのかすらわからなかったからだ。学問を学ぶにあたって、入門書から入るのが常識だと思っていたのだが、哲学には入門書というのがあるのかどうかすらわからなかった。それに哲学の中の小さな分野ごとに体系的にまとまっているような入門書を期待したのだが、哲学では哲学者ごとにまとまっていることの方が普通のようで、ニヒリズムについての入門書というよりはニーチェの考えをまとめた入門書がほぼすべてだった。そして、そのよう本の著者はニーチェについて研究をした成果を本としてまとめていることがほとんどで、ニヒリズムそのものについての研究というよりは、ニーチェが考えるニヒリズムの解釈を学問として研究しているように見受けられた。つまり、ニーチェが研究してきた哲学をさらに研究対象として学問を展開しているようにしか見えなかった。つまり、哲学を学問しているのである。

哲学とは生き方を考える学問であり、歴史上の人物がなにを考えてきたのかをどうのように解釈くるのかという学問ではない。それは「哲学学」であり「哲学」とは別だ。だから私はゆっくり確実に哲学を学んでいきたい。

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