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一日一個のQ&A その4 (酒販免許申請)

Q:
弊社はスペインに本社を置くアルコール飲料製造販売会社で、この度、日本に営業拠点(日本法人)を置くことが決まりました。それに伴い、スペインからビール、ワイン、果実酒、スピリット等を輸入、日本国内で販売するのに必要な酒類取扱免許についてご相談させていただきました。販売先は、日本国内の卸業者、小売店、飲食業者を予定しております。この場合、輸入酒類卸売業免許と一般酒類小売業免許の申請が必要と理解すればよろしいですか。

A:
今回のご質問をわかりやすく表組みを交えてご説明しますね。次の表を見てください。

スペインに本社を置く法人が、日本国内に日本法人を設立。
輸入した日本法人が、日本国内の『酒類卸売事業者』、『酒類小売事業者』、『飲食事業者』に対して酒類を販売をする、ということを表しています。

日本にある法人(個人でも同様)が酒類を輸入して国内で販売する場合、考えなければいけないポイントは、日本国内のどういう人(個人・法人)に対して売るつもりなのかをはっきりさせる事です。

酒類卸売業免許
 酒類卸売業免許とは、酒類販売業者又は製造者に対し酒類を継続的に販売(以下「卸売」という。)することが認められる次の酒類販売業免許をいう。

国税庁法令解釈通達

販売先が酒類の『卸売業事業者や小売業事業者』である場合、上記の引用の通り、事業者に求められるのは卸売業免許です。

さらに、

酒類小売業免許
 酒類小売業免許とは、消費者、料飲店営業者(酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供する営業を行う者をいう。)又は菓子等製造業者(酒類を菓子、パン、漬物等の製造用の原料として使用する営業者をいう。)(以下「消費者等」という。)に対して酒類を継続的に販売(以下「小売」という。)することが認められる次の酒類販売業免許をいう。

国税庁法令解釈通達

このように、飲食事業者に対して販売する場合に、事業者に求められるのは小売業免許です。

つまり、販売相手先が誰であるかによって、求められている免許の種類が異なっているのですね。
よくある勘違いとして、小売業免許より卸売業免許の方が位置づけが高いので、卸売業免許さえ持っていれば小売もできる、と思っている人がいる事です。
これは大きな間違いであり、卸売業免許と小売業免許では販売できる相手先が異なるという違いがあるのです。

卸売業免許しか持っていない者は小売りはしてはいけないし、小売業免許しか持っていない者は卸売りをしてはいけないのです。

ですから今回の場合、スペインから日本に酒類を輸入してくるところまでは全て同じなのですが、その後、卸事業者と小売事業者に対して販売するためには卸売業免許が必要であり、飲食事業者に対して販売するためには小売業免許が必要です。
つまり、『輸入酒類卸売業免許』と『一般酒類小売業免許』の両方が必要になると考えられます。



次に、今回の質問とは直接関係はありませんが、全く逆の例だとどうなるのか考えてみましょう。

どういうことかというと、日本からスペイン、、に限らず外国へアルコールを輸出・販売する場合に必要な免許は何なのかということです。

日本への輸入の時は、
国内の販売相手先が誰なのかで取得する免許の種類が違うのでしたね。

卸事業者と小売事業者に対して販売するためには輸入酒類卸売業免許が必要であり、消費者・飲食事業者に対して販売するためには一般酒類小売業免許が必要でした。

じゃぁ、日本から外国への輸出の場合はどうなるのかというと、
結論から先に言えば、

輸出先(外国での販売相手先)が誰であっても、つまり相手国の販売先が卸売業者であろうと、一般消費者・飲食店であろうと、

申請する免許の種類は

「輸出酒類卸売業免許」

です。

輸出した後の、その各国において小売りされるのか卸売されるのかについてどのように取り扱うのかは、その当事国の所管庁が決定することであって、輸出元を管轄する日本の国税庁が口を挟むべきことではありません。

また、日本の酒税法においては輸出酒類卸売業免許はあっても、輸出酒類「小売業」免許と言う免許そのものが存在していません。

ついては、
日本から外国へアルコールを輸出・販売する場合に必要な免許は

輸出酒類卸売業免許”

と言うことなのです。

どうでしょうか。参考になったでしょうか?


お酒の販売免許を取得する上でわからないこと、困ったこと、聞きたいことなどがありましたら、「クリエーターへのお問い合わせ」からお問い合わせくださいね。

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