あのとき

会いたいと思っている人がいる。
正確には人たち。
あの時代の同じ時間を同じ場所で過ごした人。
あのときの私は今よりもずっとずっと狭い世界の中で色んなものに感情を揺さぶられながら過ごして何より一生懸命だった。

記憶はあの頃で止まったまま。
いつも夢に現れるのもあの頃のまま。
あれからずいぶんと時間が経ってそれはもう遠い過去の思い出で、未練も無い。そこに戻りたいか?と言われても戻りたくない。
でも、そしたらじゃあどうして?
あの時代が私の人生において強烈な影響を与えたのは確かだ。でもそこで立ち止まったまま繰り返し繰り返し前に進めていない理由が、深層心理的なものがあるのか。何となく腑に落ちる。はやく抜け出したい。「そんな頃もあったよね」と、本当にふとした瞬間にたまに思い返すだけで良い。どれだけ時間が経った?
今を見たい。現実を見たい。

「あぁもう私たちあの頃とは違うよね、大人になったよね」過去を塗り替えて立ち止まっている私にさようならをしたい。

会えるだろうか。
もしかしたらもう交わることの無い縁なのかもと何度も思う。でも、いつか、いつの日かもしまたどこかで会える縁だとしたらきっとこの先どこかで交わるから、無理に繋げようとしても上手くはいかない気がする。どんなに会いたいと思っても私にできることはただ粛々と生活をしながらそのときを待つだけ。

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