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ゲーマー歴35年のダンジョン紀行#16 『ダンジョンの嫌われる部分を解析』

▼ローディング。繊細な作業を始めます。

 今回は、ダメなダンジョンとして世で語られるダンジョンに触れ、何がダメなのかを考えたいと思います。
 普段は季節の挨拶から初めておりましたが、今回は慎重に精査させて頂いたことを申し上げたいと思います。そもそも、名作と呼ばれる作品から多く挙げられていました。ゆえに、ダメなダンジョン=価値がないと言う訳ではありません。
 それを前提に、真摯に意見と向き合うことで、ダンジョンは何かが見えてくるものと思います。
 知らない所で楽しみが生まれ続けている時代。当アナログゲームマガジンも発展的な思考で物事に触れていきたいと思う所です。

 『アナログゲームマガジン』は、アナログゲームに精通した執筆陣が集まり、ジャンルを詳しく解説する記事から、ゲームの攻略記事、ルール記述の記事、はては第一線で制作している方々の最新記事まで、多角的にゲームを語っているマガジンです。
 私の記事は『ダンジョン』を焦点にコラムを書かせてもらっております。マガジンの中でも異色のコラムとして、楽しんでもらえたら幸いです。

 本日は、電源ゲームから非電源ゲーム問わず、インターネットや数々の評価から、良くなかったと声の上がった部分に向き合い、何がダンジョンにおいて嫌われているかを解析します。
 特に、#03で名ダンジョンを訪ねた記事や、#04でゲームブックを全パラグラフ読み解いた記事などから引き合いに出して考えることも多くありました。未読の方は、お時間ある時に合わせてご一読いただけると、違いを感じられ、よりダンジョンについて深く考えられることと思います。

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▼B52F:クリスタルタワー(FF3)

 最初の噂は、有名作品の一つFINAL FANTASY3より、ラストダンジョンとされる『クリスタルタワー』です。

 『クリスタルタワー』は8階構成のダンジョンながら、その地下には伝説の武器などが眠る『エウレカ』と言う階層があります。その後、クリスタルタワーを登り最上階のボスを倒すと、想定外のフィールド『闇の世界』が待っている。三段構成のダンジョンで、非常に困難なダンジョンです。
 そもそも、道中に出てくる敵も、それまでに出てきたボスモンスターなみの強さで、ひとときも油断できません。『エウレカ』で手に入る武具、ジョブを使うことでようやく落ち着いて進むことができます。そうして到着する最上階のボス『ザンデ』は、育成が甘いと一撃でパーティが壊滅するクエイクやメテオと言った強力な魔法を連発してきます。
 この激しい戦闘も、”勝利すればエンディング”と思えばこそ頑張りますが――『闇の世界』と言う場所へ連れて行かれます。そこはさらに強力な敵が襲ってくる場所――そればかりか、消耗した体力を回復する場所もなければ、引き返すこともできません。
 また、一縷の望みに掛けて宝箱を開けると、先ほど苦労して倒したザンデと同じようなモンスターが襲い掛かってきます。不用意に開けた場合、そのまま全滅も十分に考えられ――いえ、むしろ全滅させられてしまうのが良くあることでした。この苦い思い出を持つ人の方が大半かもしれません。
 そして、ここまで厳しいダンジョンと紹介しましたが、さらに当時はファミリーコンピューターで発表されています。セーブポイントがダンジョン内にありませんでした。闇の世界まで人によっては二時間近く掛けて進んだのに、全滅してしまい、”クリスタルタワーに突入する時点からやり直し”が起こっていました。
 そんな経験を多くの人がしたからこそ、”ダメなダンジョン”として人々の口に上がるようになっています。


 確かに、これはダンジョンの要素の一つである『障害と報酬』に対して、つり合いが取れていないと言えそうです。
 特に、障害の部分が大きすぎるのは、ダメダンジョンと言われるポイントとして、他のダメダンジョンでも頻繁に上がる意見でした。実際、『名ダンジョン』やゲームブックを調査した際、面白いかどうかについて、障害と報酬のバランスが重要と言う風にダンジョン紀行でも書いています。
 このクリスタルタワーを攻略するにあたり、報酬の一つ”自身の成長”は、『エウレカ』と言う事前の階層に集約しており、最初に獲得します。報酬と障害を受け取るタイミングを振り返ると、報酬が先で、障害が後です。順番を考えると、ザンデを倒すと言う大きな障害の後、ゲームをクリアなどの大きな達成感(報酬)が欲しいところでしたが、実際に得たのは『闇の世界』と言う絶望的な状況(さらなる障害)でした。
 この順番が、良くない点の一つだったのではないかと考えられます。

 また、『最終目的だと思われていたザンデとの決戦が、実は最後ではなかった』と言う部分、ダンジョン紀行としては見逃せないポイントです。
 ダンジョンの基本要素である『大目的=クリスタルタワーでザンデを倒すこと』が、透かされてしまったのです。ダンジョン攻略の目的がずらされてしまうと、頑張った努力が裏切られたと言う感覚もあったかもしれません。

 この二点が重なったことで、ダンジョンとしての楽しさに強くマイナス要素として印象に残ったのでしょう。

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▼B53F:ダンジョンクエスト

 続いては、ボードゲームから『ダンジョンクエスト』を挙げようと思います。ダンジョン紀行の#2でも取り扱いましたが、やはりその難易度に難色を示されていることは多く言われている為、改めてとりあげていきます。

ダンジョンクエストとは、最大四人のプレイヤーがそれぞれダンジョンに潜り、宝を手に入れ、無事に戻ることができたら報酬を得る。その報酬の金額を競い合うというゲームです。
 しかし、道中はあまりに危険で、即死級のトラップやモンスターがわんさかと出てきます。
 ダンジョンと言えば切っても切り離せない『戦闘』の要素もしっかり登場します。ただし、このゲームでの戦闘はプレイヤーとキャラクターが『一体感』を得る為だったり、『臨場感』を伴って戦うものではありません。生還率10%などと揶揄され、運ゲー・パーティゲーム・バカゲー・アメリカゲー……等、親しみを込められながらも、ゲームバランスに難があることは周知となっております。”報酬を競い合う”と言いながら、持ち帰れずにダンジョン内で死んでしまうこと多数。それがダンジョンクエストです。

#02『ダンジョンの多様性を比較する』より

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