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カガンズおまつりの一日

生きもの? 生きてる? しゃべる? 意思がある?
影のようで影じゃない。
まるであなたの心をうつす鏡。
カガンズはそんな不思議な子たち。

なんだか賑やかな音が聞こえてきます。
カガンズたちはお祭りにやってきたようです。


1.「屋台には魅力がいっぱい」

お祭りで、広場にはたくさんの屋台とお客さんが大集合。
ああ、美味しそうな匂いがしますねぇ。

おや? コワイとセンがお店を出しています。
食べ物の屋台のようですね。

ふたりは汗だくになりながら、焼いたり売ったり忙しそう!
「まったく、忙しいったらありゃあしないぜ」
「たくさん売れるのは嬉しいけど、猫の手も借りたいくらいだ」

ふたりが作る食べ物はとても大人気!
たくさん作っても、たくさん売れていきます。

そこへモフがお客さまとしてやってきました。
「やぁ、コワイとセン。忙しそうだねぇ」
「おうよモフ!見てのとおり大盛況だ!注文はどうする?」

とても美味しそうな匂いに、モフのお腹がぐ~っとなります。
「決ーめた! 焼きそばひとつ、焼きトウモロコシふたつ…あと、たこ焼きは2パックください!」

「よーし! 焼きそば一丁! 焼きトウモロコシふたつ! たこ焼き2パック! ヘイおまちぃ!」

モフからお金をもらって、コワイが食べ物を渡しました。
「ありがとう」と言ってモフは受け取ります。

「わぁ、すっごくおいしそう! あれ、でも…」
いっぱい頼んだのはいいけれど、ひとりで食べられるかしら?
うーん、と困ったモフにセンが声をかけました。

「モフ、それ、ひとりじゃ食べきれないだろ? いつもの場所に行ってごらん」
「いつもの場所に?」
「マルやグナーも来てるらしいから、会えたら分け合えばいいよ」
「そっか! ありがとうセン!」
「転ばないように気を付けて行くんだよ」

「うん!」と返事してモフはいつもの場所へ行きました。
モフを見送りたいふたりでしたが、お客さんが待っているのですぐに持ち場へ戻りました。

気を付けないと、食べきれなくなっちゃいますね。
皆さんは、欲張りすぎて困ったことありませんか?


2.「金魚すくい」

水の中を、赤、黒、オレンジがゆらゆらすいすい。
ここは金魚すくいの屋台。

お客さんの中にフロッケ、ホーン、ロクメがいます。
みんなポイを片手に、金魚すくいに挑戦中。
お、ロクメがとっても真剣なご様子です。

(コレクターの名にかけて! 研究した技で金魚をすくいます!)

いざ!金魚すくい!

「あら? あれあれ?」
あらら、ロクメは金魚に逃げられてしまいました。
そんなロクメを横目に、フロッケとホーンは金魚をすくっています。

「ふたりとも、すごい! むむむ! もっと何かやり方があるのか?」
ふたりを真似て、ロクメはあの手この手と工夫します。
ですが、ロクメはなかなかすくえません。

「ホーン!どうやったらそんなにすくえるの!?」
「ロクメさん、そうですね。まずはポイの裏表を確認しましょう。ポイにも裏表があるんです」

ホーンのアドバイスを聞いて、再チャレンジ。
ロクメはうまくすくえるでしょうか?

……ちゃぽん!

「やったぁ!」

ロクメ、やりましたね!お椀の中に一匹いますよ!

「ロクメさん、おめでとうございます! 金魚さん、すくえましたね!」
「ありがとう、ホーン! でも、ポイが破れちゃったし…一匹だけだ…」

そんなロクメを見て、フロッケは言いました。

「ロクメ。金魚すくいで一番大事なのは、その子を大切にできるかどうかだよ。この子たちも生き物だからね」

フロッケの言葉に、うんうんとうなずくロクメとホーン。
おっと、ここでフロッケのポイが破れました。

「ちぇっ、さすがにポイひとつで、ここにいる金魚全員お迎えするのは難しいかぁ」
「金魚全員!?」
「お迎えする!?」

なんと! フロッケは全ての金魚をすくうつもりだったようです!
金魚すくいの店主さん、周りのお客さんもビックリです!

「お迎えの準備は万端なんだけどなぁ。しょうがないね。
よし、この子たちのお世話をしっかりやらなくちゃ!」

水の中で、赤、黒、オレンジがゆらゆらすいすい。
三人はお迎えした金魚をうっとり眺めます。

皆さんはお迎えした生き物のお世話、きちんとできますか?


3.「ワイワイガヤガヤ要注意」

お祭りで広場はとってもにぎやか。
たくさんのお客さんでぎゅうぎゅう。
これは気を付けて歩かないと、誰かとぶつかってしまいそう。

おや? その中にブイとマーチ、そしてグナーがいますね。

「へいへいブイさんやい。これだけごった返してると、歩きにくいですなぁ」
「歩きにくいね。早くココから出たいよグナー」
「しょうがないよブイ。みんなお祭りを楽しみたいからね」

音楽や屋台の音で、ワイワイガヤガヤとってもにぎやか。
お祭りに来たみんな、ぎゅうぎゅうになりながらも楽しんでいます。

おやおや? グナーが少しずつ、ふたりから離れていきます。
あらら、大丈夫でしょうか?

「ふぃーー!やっと抜け出しましたわん。マーチたんはくたくただょ~」
「やれやれ。やっと身軽になった。やっといちご飴と自撮りできる」
やっとぎゅうぎゅうの中から抜け出しました。
マーチはベンチに座り、ブイはスマホで可愛いいちご飴と自撮りタイムです。

「せやせや、グナーくんよ」「そうだ、グナー」

その時です。
ふたりはとっても大切なことに気が付きました。
「「グナーがいない!!」」

急いで来た道を引き返すマーチとブイ。
グナーとはぐれて大慌て。

「グナーさぁーん! グナー氏~~いずこ~~!?」
「グナー! 聞こえたら返事して!」

大きな声で呼びかけますが、グナーは見つかりません。

「どうしよぅ。マーチさんのせいでグナーが迷子さんにぃ」
「マーチのせいじゃない。ブイも、グナーから離れたから」

不安と後悔でいっぱいになったふたりは今にも泣きだしそうです。

「もしや、いつもの場所にいるかしらん?」
「そうだね、いつもの場所に行ってみよう」

いつもの場所は、大きな大きなガジュマルの木が目印。
みんなで木の上や下でお茶会などで集まるところ。

駆け付けてみましたが、誰もいなくてブイとマーチは涙目になります。

「ブイ? マーチ?」

おや?後ろから、聞きなれた声。
振り向くと、グナーと、たくさんの食べ物を持ったモフがいます。
「あぁ、よかった。ちょうどモフと会ってね」
「うん。それで一緒にいつもの場所に向かっていたの」

マーチとブイは、半べそをかきながらグナーに駆け寄りました。
「グナー!」
「ごめんよ!」

おいおいと泣きながらグナーに抱きつくふたり。
グナーはヨシヨシとふたりを安心させます。
「大丈夫。僕はここにいるよ。不安にさせてごめんね」

無事にまた会えてよかったよかった。
皆さんも、お祭りを楽しむときは周りに気を付けてくださいね。


4.「射的の露店にて」

夜も更けてきて、提灯の明かりが広場を彩り始めました。

おや? 射的の露店にマルとバーツがいますね。
何やら…空気がピリピリしています。

マルはコルク銃を構えて的を狙っていますが、肩に力が入って腕がプルプル。
狙っているのは"大当たり"と書かれた小さな的。

「うぅぅ、緊張する…」
「マル! ワガハイの分まで頼むのだ!」

先に順番を終えたバーツはマルを応援します。
マルが撃てる弾は、これが最後の一発。
ふたりともドキドキです。
 
(外したらどうしよう、いや当てるんだ!)

マルは覚悟を決めました! 引きがねを引きます。

パン!

マルが放った弾は的と的の間をすり抜けて…奥にある垂れ幕にポンとぶつかりました。

「は、外れちゃったー!」
「マルはよくやった! 無念だが…ここまでである…!」
ふたりはあまりの悔しさにガックリしました。

「あれ? マルさんとバーツさんじゃないですか?」
聞き覚えのある声がふたりを呼んだので、声の方を見ました。
そこにはカラフルなチョコバナナをもぐもぐ食べているテイルがいました。

「そんなに落ち込んで、どうされました?」
しょんぼりしているふたりは、当てられなかった"大当たり"の的を指さします。

「ああ、なるほど。ワタシに任せてください」
射的の店主にお金を払って、テイルはコルク銃を借りました。
きりっと構えて、迷わず引きがねを引きます。

パン!コン!

なんと、テイルはたった一回で"大当たり"の的を倒してしまいました!
カランカランと店主がお祝いの鐘を鳴らします。
テイルの腕前に周りのお客さんも拍手喝采です。

「すごい! すごいよテイル! 大当たりだ!」
「やるなテイル! そんな特技があったとは! ありがとうなのだ!」
褒められてテイルは照れくさそうにはにかみます。
「こう見えてワタシ、射的得意なんです」

さて、店主から"大当たり"の景品が渡されました。
景品は一体なんでしょうか?

受け取ったのは…巷で人気のボードゲーム、お菓子の詰め合わせ。
そして、何かのチケットのようですね?

「えーと…"隣のクレープ屋さんで好きなクレープが頼める券"?」
「好きなものを頼んでいいのか!?」
「"3名様まで有効"って書いてあるね」
「やったー!」

ドキドキを乗り越えた"大当たり"。
3人は"大当たり"を当てたことで景色がキラキラして見えます。

皆さんは景色がキラキラして見える瞬間ありますか?


5.「花火」

わぁっと歓声が上がりました。
お祭りに来たお客さんはみんな空を見上げています。

ひゅるるるる、どどん。

みんな、花火を見上げています。

屋台の横で休憩しているコワイとセン。

すくった金魚を、水槽に移す準備をしているロクメ、ホーン、フロッケ。

ガジュマルの木の下で、屋台グルメを食べているモフ、グナー、マーチ、ブイ。

景品を抱えながら、クレープを食べているマル、バーツ、テイルも。

ひゅるるるる、どどん。

どのくらい空を眺めていたでしょうか。

ひゅるるるる、どどどん、ぱちぱちぱち。

最後の花火が上がり、お祭りに来ていたみんなが歓声を上げて拍手をします。

「みんなも花火、観れたかなぁ?」

それぞれ違う場所にいるカガンズが誰ともなしに、ぽつりとつぶやきました。

皆さんは、どんなお祭りがお好きですか?



絵・監修:いぜむ
シナリオ:小鳥遊悠司

SpecialThanks:にこらん


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