#ロストアイランドコンピ のつくりかた
こんにちは!noteでははじめまして。
ITC STUDIOというサークル名・サイト名で、中学校時代からDTMで曲作りをしてきて15年以上(!?)、Itchaです。呼びやすいほうがいいよねってことで、最近はイチャローって呼んでもらっています。
noteは、実は有料記事でもよく買って読んでましたが、ようやく自分が書くときがやってきました。
今回は、自身8作目のプロデュースアルバムになる「 #ロストアイランドコンピ 」について、その制作のプロデューサーとしての背景を、少しご紹介させていただきたいと思います。
特設サイト : https://itcstudio.jimdofree.com/itc-selection-08-lost-island/
作曲チームは、EBIさん、風原さん、五十嵐傑さん、つばささん、清水 嶺さん、宮田涼介さんの6アーティストをお招きし、+自分自身で、全7曲、30分間の歌のないインストだけの音楽集となりました。私にとっては、全員、比較的つきあいが長い、仲間達です。
まずはフィールドワーク
22年5月、私は、四国に一人旅に行きました。仕事の関係で、体調不良による入院や、COVID-19の影響で全然旅行に行けていなかったのですが、第6波と7波の間隙を縫って、久々に旅にいけた瞬間でした。本来旅好きの私は、久しぶりに「全く自由に行動できる」こと、それだけに感動して、良い景色をみて、自然を楽しんでいました。
その旅のスケジュールの中で、前から気になっていた「島」に行くことにしていました。旅の計画の時点では、まだ「アルバムをつくろう」までは考えていなかったのですが、実際に行ってみて、6時間ほどの滞在で写真や動画を撮りまくっていたのですが、本当に創作意欲が刺激されたようで、その日の夜には、「半年間くらいかけて創るアルバムのテーマにぴったりだな」と思うようになりました。
今回、その島がどこの島なのかは発表するつもりはありません。
なぜなら、ストーリー後半で、空想の世界とはいえ、勝手にその島をロストアイランドにしてしまっているからです。なので、皆さんも、具体的にどこの島かという話ではなく、普遍的に、日本の「ありそうなどこかの島の風景」という風に捉えていただければと思います。
時の流れと音楽アルバム
さて、音楽は「時間芸術」です。ソナタ形式、Aメロ・Bメロ・サビ、など、昔から形式に関してセンシティブで、流れがあります。以前の「ITC KITCHEN」では、ディナーコースという形式と組み合わせて、食前酒からデザートまでの流れを追いました。今回は、そこからの発展で、島が発見され人が住み始めてから、空想の世界で再び人がいなくなり元に戻る歴史を、「アルバム」という形式で追ってみようと考えました。
実際に郷土資料館や論文、映像で、インターネットで島の歴史に関する情報を集めました。それに加えて、自分が観てきた生の感想、さらに、ここから先どうなるのかの空想の未来について、時代ごとの島のストーリーを、A41枚くらいの文章で作成しました。その上で、「この中から希望の時代を選んで創作を初めてね!」と、6名のクリエイターの皆様にお願いして、割り振ってから楽曲製作に入ってもらいました。
その甲斐あって、おそらく、M3でよく行われている「○○をテーマに曲を作って!」というやつとは異なる仕上がりになったと思います。もしも全員に「ロストアイランドについて作曲して!」といったら、きっと、全曲そろってやたら暗いCDができていたはずです。楽曲のジャンルがバラバラでも、特定のテーマのもとに集まって創作する、M3の、大好きな「コンピレーションCD」の良さを出しながら、時間芸術であり、時の流れを大切にする作品ができたと思っています。
同時に、前半トラックに明るく楽しい描写があるからこそ、後半の楽曲、未来パートにあたるTr.6 「清水 嶺 Now is here」 やTr.7.「宮田涼介 Umidori」で、言葉では表現しづらい寂しさ、退廃的な感覚が作品として引き出せたのではないでしょうか。
もしかしたらクリエイターから観るとすこし「コンセプト練りすぎ」と思うかもしれませんが、こうした「ただ集まればよい」ではなく、刃の切っ先を合わせる作業をしてこそ、プレイリスト時代、まだまだ「コンピレーションCD」の良さが出せるのではないかな?と思っています。なので、この作品はダウンロードカードなどではなく、CDで出すべきだな、と思いました。以前、「手ぬぐい形式」でアルバムを発表して以降、「何形式で出すか」も自分にとっては重要なのです。
オンラインイベントなども含めると、「クリエイティブ」より「プロデュース」の回数の方が多い私の、プロデューサーとしてのこだわりの場面でした。
地域社会と未来
今回は、このように島の風景を描く物語ですが、地域と交通という社会課題を背負っています。今回は定期船。でも、ローカル線や、コミュニティバスとかそういうイメージでも良いです。
いま、利用者が少ないから経費削減しなければならないが、一方で、地元の住民の足をなくしてしまうのは反対、ということで、結果、廃線にはしないで、1日2本とかにしちゃう作戦が行われていると思います。
今年のある日、夕方のワイドショーをあとからYouTubeで見れるようにしたやつで、「地域のコミュニティバスの運営事業者が、どうせ利用者がいないからと、所定の時刻表に従わず、大きくダイヤが乱れたり、時にはバスが来なかったりしている。取材班が車でバスを追いかけた結果、早々に引き返したりしてた!」が取り上げられていました。
その地域の人は、「へえ、しらんかった。特に困ってないよ?」とインタビューに応じていたのが印象的でした。
確かに事業者は、ずさんなのですが、「けしからーん!」とYouTubeのコメント欄で騒いでいるのは底に住んでいない人、という構図が生まれていました。
例えば、交通以外にも、祭りや伝統音楽。コロナをきっかけに、再開しないものもあると聞きます。ただ、少ない若い人に無理に役割をお願いして、ただ維持することがすべてとなると、それはまた本質かどうか。
そしてこうして人口が減ってくると、遠くない将来、「A村は残してB村はなくすことにしました」とか、極端なのは良くないですけれども、現実的には、そういった選択を迫られるシーンが出てきてしまうと思います。日本社会は、そういう不都合な真実から、目をそらしてきた数十年間があると思います。
私は、きっと来てしまうそういった未来が来る前に、「そういうことに既に頭を巡らせていたよ」「もう、1回考えたことあるよ」っていう頭にしておきたくて、今回のストーリーを、地域の社会課題という面でも取り扱っています。
加えて、「ではここには人は住まなくなる」という決断をしたとしても、街並みや港など設備は残り、自然に還るといっても「人が来る前と同じにはならない」ことなど、今回製作やフィールドワークを通じて実感するところでした。
ところで・・・「星のカービィ ディスカバリー」はホントに良かったですね!(製作を決断した頃、ハマっていました!)
M3以外にも、ある地域のアートフェスティバルで発表したり、IT業界の、「デジタル田園都市国家構想」に沿った地域のIT化のワークショップなどの中でも #ロストアイランドコンピ を紹介していただくことができそうで、いま、その可能性を探っているところです。
アートワーク、写真、マスタリング
私にとって久しぶりのCD作品なので、アートワークやマスタリングについては、どうしよどうしよ・・・と緊張した場面でもあります。
マスタリングは、おのさめゆーきさんにお願いしました。フリーランスとして音楽活動独立されたとのことで、1回頼みたいな、と思っていたところでした。的確!でした。ありがとうございます。
メインアートワークは、mutsukiさんにお願いしました。
https://www.instagram.com/mu_0190/?hl=ja
普段は動物の絵やペットの似顔絵などを描かれていらっしゃいます。難しい依頼だったと思うのですが・・・島のイメージに沿った素敵な作品に仕上げていただき、感謝しています。作品のコンセプトとこの色合いがとても合うと感じています。
写真は、私自身です。フィールドワークの時の写真をいくつか使いました。ほかにもいろいろあるんですけど~ 出せる写真は少ししかなくて~
まずは聴いてみてくださーい
まあ、構想はこのようにいろいろあれど、音楽作品なので、まずはぜひ聞いてみていただきたいです!視聴だけでも!!
次回
そんな中で、僕自身もTr.3で楽曲製作しています。
自分の楽曲について書いていきたいと思います!
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