昔の取引先の方から連絡がきた

なにか特別すごいことがあったわけではありませんが、嬉しいことがありました。

元々転職エージェントで営業担当として仕事をしていた時に、非常に仕事にシビアで、歯に衣着せぬ、切れ味鋭い担当者さんがいらっしゃいました。担当変更でぼくが担当することになって、正直、当時のマネージャーも「もしかしたらうまくいかないかもしれないけれど、それはそれで仕方ないと思う。出来るだけ頑張ってみてほしい。」とまあまあ期待薄なコメントをくださり、気楽にやれ、ってことだなと思って、ちょっと不安含みで担当をさせていただくことになりました。

そんなシビアな担当さんでしたが、何故なのかものすごく気に入ってもらって、いくらか成果も上がり、それだけでなく結婚したときには電報まで下さるような間柄になり、彼が転職したときにはお世話になりましたとわざわざケータイにお電話くださったり、他の会社での近況を教えてくださったり、なんだかよくわからないけれど、気に入ってくださっていたのでした。

ふとFacebookでもつながることがあり、ただそれほどやり取りがたくさんあったわけでもなかったのですが、合気道が終わってふとケータイを見てみるとその方から連絡があって、個人的な用事なんだけど、相談したいことがあるのでお時間があるときに電話してもらえると嬉しい、ということだったのですぐ折り返しをさせていただいた。すると。


ーーーーーーーーーーーーー

相手「もしもし。ああ、横田さん。お久しぶり、お元気ですか?」

自分「こんばんは!元気にしてます。ご連絡ありがとうございます。なんかご相談ということでしたが、どうされたんですかー?」

相手「いえいえ、話せば長くなるんですが・・・(略)
   ということで、農業を体験出来る機会ってないものですかね?」

自分「なるほどなるほど。もちろん、全然ありますし、今の季節でも、遅い地域なら田植えもあるし、6月なら黒枝豆の植え付けもありますね。自分の知り合いに連絡を取って、手伝えそうか話してみましょうかね?」

相手「ほんとですか!それは本当にありがたい!実は息子の将来も少し気になっていて、彼の将来のためにも何かしらの手に職、食っていけるような学びを体験させてあげられないかとも思っていて。だけど、やらせるのではなく、まずは自分が体験しないとと思ってね。」

自分「そういうことでしたら、もちろん大丈夫だと思います。色々と農家さんもつながりがあるし、圃場も必要だったら探せますし、家も探せますしね。まあ気が早いと思いますけど(笑)」

相手「いえいえ、将来的には早めにリタイアして、農業を始めてのんびり暮らそうかと思ってたりしたんですよ。」

自分「ええー?そりゃいいじゃないですか。」

相手「いやそれがねえ、なんか来月から入社してまだ1年の会社なのにね、執行役員にならなきゃいけなくなっちゃって。そうしたらそんなすぐには辞め辛くなっちゃって、計画が遠のいちゃうよなあと思ってたりしてね。」

自分「評価されちゃってるんですね。そりゃ仕方ないですね(笑)」

相手「いやいや、ホントどこかで区切りつけないとズルズルと働いちゃってもね。だからちょっとね。ちょうど農業しておこうってのも、たまたま前職の同僚が末期ガンだってことで、元上司と一緒に緩和ケア病棟にお見舞いにいって。色々考えちゃいますね。」

自分「そうでしたか。」

相手「やりたいことをやっておかないと、いつどんなことが起こるかなんてわからないもんですよね。自分もそうだなと思って。」

自分「そういうことがあると、考えるきっかけが生まれますね。」

相手「そうそう。だからね、やっておきたいことがあるけど、どこから手を付けてみようかと思ってた時に、そういえば丹波や丹波篠山地域には横田さんがいたよなと思い出して。ついつい連絡しちゃったんですよ。」

自分「ああ、それは嬉しいことですね。そうやって思い出してもらえるのってめちゃくちゃ幸せなことです。ありがとうございます。」

相手「いやいや、こちらこそです。そんなわけでちょっともしもツテがあったりしそうだったら力になってもらえたりしますか?」

自分「もちろんです。ある程度まとまったら僕からご連絡しますね。」

ーーーーーーーーーーーーー


ってことで、話は終わったわけですが。

まあ、何と言いますか。わざわざリクルートという会社を辞めて、こっちにくることになったきっかけってのは「なにか(例えば転職)に特化したアドバイザー」を、本当にキャリアアドバイザーって言えるんだろうかと疑問に感じたところからです。

キャリアって言葉の本来の意味は轍(わだち)であり、仕事の轍もあれば、結婚や子育て、介護も人生の轍ですから、仕事だけのキャリアだけでなく、人生全般に対してアドバイザーとして仕事をするんだったら、限られた求人だけを紹介するなんてのは僕が目指したいキャリアアドバイザーではないよなと思ったのでした。そこから、本当の意味でなりたい存在になるために、都会ではなく田舎に住み、そこで得た経験を人生まるごと受け止められるような存在になるための経験にしたいと思って移住してきたといえます。


まあそう思えば、移住してきて、お世話になるはずだった会社の社長とケンカして早々にクビになり、NPO法人で働き、個人事業で独立し、市議会議員になり、全国で小商いを一緒につくる塾をやり、自動車部品の会社に入ったり、一般社団法人で役員したり、最近はIT会社で新入社員だったりする。そして、まちづくりでいっぱい知り合いが出来て、移住相談も、人生相談も、オンライン寺院の立ち上げも、いろいろとやってきましたね。

なんかそういうことが積みあがってきたとき、今日のような連絡が来て、何か自分に答えやきっかけがつくれるのかというと、すぐきっかけがつくれるようになったと思います。

お昼には、子育てや学校選びまたは学校づくりに悩む先輩夫婦の話を伺い、仲良しのフリースクール校長を紹介し、サクサクっと話が進んだりもした。

まだまだ全然、そんなすべての悩み事に答えられるわけがないけれど、それでも少しずつ、いろんな角度からくる悩み、苦しみ、不安、ツラさ、悲しみやら困りごとに、なんかいろんな方法で対応できる力がついたと思う。

少なくとも15年前に、サラリーマンをしていて「もっとこんなふうになったほうが僕は嬉しいと思うだろうな」って想像した大人にはなってきている。思ったより未熟だけど、思ったより柔軟で、思ったよりいろいろ経験してきているなと思う。


日々の中で学ぶことが多いけど、こうして小さく結実するような体験もあって、学びは深まり、すこしまた自信を積み上げていく。ありがたいことだ。

急に読者の方からサポートもらえてマジで感動しました。競馬で買った時とか、人にやさしくしたいときやされたいとき、自暴自棄な時とか、ときどきサポートください。古民家の企画費用にするか、ぼくがノートで応援する人に支援するようにします。