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2020.06.18「この素晴らしい最終回に祝福を!」

元々話数の少ない僧侶枠のおれゆび、実質まだもう一話ある邪神ちゃんを除けば、今日ついに2020年春クールの最終回、その第一陣がやってきた。

八男、球詠、かくしごと。どのアニメも最初から最後まで手放しで褒めていたアニメではなかったが、最終話はどれもかなり楽しみにしていた。


八男最終話「八男って、それもありでしょう!」 
転生者という立場の持つ「世界へのそぐわなさ」をそのままトンチキなセリフや態度に落とし込んで、ちょっと他に見当たらないような笑顔の味をにじませたアニメだった。またその「世界へのそぐわなさ」について、ヴェンデリンが世界をそういう風に見ていたというセリフ一つ挟まるのもよかった。まあ、最後の最後に味噌醤油工場建てて豚バラみそ炒め ~かいわれを添えて~をみんなで食べて締めるアニメはもう人類史上出てこないと思われるので、オタクたちの語り草になるという意味でも大変見られて良かったアニメだったと言える。最後の食事シーンのガヤがはいふりを彷彿とさせるような雑さだったのなんだったんだ。好きなので良いが。


球詠最終話「悔いなく投げよう」
……やり切った! 梁幽館戦はなんといってもあのシーンのよしのぞに尽きるので(原作の該当シーンは何度読んでも泣いてしまうくらい好き)、そこをちゃんとやってくれただけでも十分及第点といった最終回だったと思う。「ここで打つしか……なかろーもん!」もめちゃくちゃかわいかったね…… カットされてたところであ~と思ったのは理沙先輩の内野ゴロで1点差に迫ったシーンで理沙先輩が後ろにつなげなかったことを泣いて悔しがる場面と7回裏高代の打席で中田が「お前たちともっと野球がしたいぞ!」と心の中で言う場面。尺を考えれば仕方ないとしか言えないが、正直その辺を上手くやって入れれるところはいれてやろう!という工夫の気概は見えなかった。ただ試合終わって特殊ED入りは好き。まあ大事なシーンがカットされてたりアニオリが入ったりしてるけど、このアニメの終わりとしてはあれで十分かな。私たちのトーナメントはまだまだ続く!エンドもまあこれしかないわなという感じ。
とにかく梁幽館戦をある程度しっかりやってくれたので、アニメに最低限期待していた部分はちゃんとやってくれたなと思う。TLのオタクたちが中村希ちゃんのことを好きになってくれたのもうれしく見ていた。(私は理沙先輩が好きですが……) こればっかり言ってアニメで球詠を楽しく見ていた人たち(がけっこういてくれていることもなんとなくわかっている)には申し訳ない気持ちもあるのだが、原作を100点としたらアニメは78点くらいの出来で悪くはないが良くもないという感じだったので(ここはアニメになって良かった、映えた、というシーンもあまり思いつかないというのが歯がゆい)、ぜひ原作も読んでほしいなと思ってしまうのである。


かくしごと最終話「ひめごと」
私の負け。久米田の勝ち。そんな最終回。正直1話から11話までは、ビビってたけどこんなものか、というふうに心のどこかで思っていた。ギャグにしたってはっきり言って邪神ちゃんの方がいくらも面白いと思った。(ギャグの志向が違うのでもちろん比較するべきではない) だが、この作品は久米田が描いた作品なんだよな、と思わずにはいられないシーンが随所にあり、少なくとも自分にとっては、他の作品にない魅力があったのも間違いない。
最終話、なんといってもやはり後藤先生がマンガによって救われ(あれは救いだと思う)、マンガを再び描くことによって未来を向いていくという締めが素晴らしかった。姫ちゃんもマンガを描いているわけで、はっきり言ってマンガ賛歌なわけである。『かくしごと』は、マンガを描いて売れようとか、面白いマンガを描こうと試行錯誤するような作品ではない。マンガという媒体の素晴らしさを説教臭く語るような作品でもない。『南国』から30年マンガを描き続けている久米田康治が、自らをモデルとした作品でこんなにも「マンガを描くこと」つまり「描く仕事」をずっと手元に置いたまま作品を締め、その作品内の未来へとつなげたことが、自分はなによりうれしかった。
作品的には親と子のであったり家庭の話であったりといったところにやられるべきなのだろうが、自分はどうにも久米田のことが好きすぎてうまく作品を見られていないらしい。本当であれば、自分は作品というのは作者とは限りなく分けて考えられるべきだという信条を持っているのだが、この作品に関しては、これだけ作者が自分の漫画家としてのキャラをネタに使った作品を描いているのだから、作者込みで作品を鑑賞してもいいだろ、最初にはじめたのはそっちだからな!という態度で臨んでいる。

サイン会、やってくれよな。


本日の視聴アニメ↓

八男12話、球詠12話、かくしごと12話


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