「京都珍肉博覧会 Eat The World Meat」

酒池肉林を超えた、
珍肉×酒×音楽が胃袋と脳を刺激する
前代未聞の博覧会が
ついに開幕!
世界最速レポート3/3


■5珍目:Birds(Imagine Dragons)

ここで、新鮮野菜のインサラータ(サラダ)で軽く箸休め。
濃い目のタン料理の三連発に少しお疲れ気味の舌をリセットし、次のお料理に備えます。

チンパク流の禊ぎで脂を流し、リフレッシュしたところに登場したのが、ソーセージ。
イタリア語では「サルシッチャ」と呼ばれる、腸詰めです。
こちらのサルシッチャ、もちろん910シェフの手づくり。
そのつくり方は、コロナによりお店の営業に制限がかけられていた2022年の合間、某お肉屋さんにてアルバイトしながら習得したとのことで、その成果がこの珍博でもお披露目された形になります。
当然ながら気になるのは中身ですが、外見からは皆目見当がつかないのがサルシッチャの面白いところ。
まさに「お肉の袋綴じ」!
ナイフで切れ目を入れるときのワクワク感がたまりません。
ということで、こちら「鴨と実山椒のサルシッチャ、越冬じゃがいものピュレ添え」になります。
小粒でピリッとしびれる辛さがやってくる実山椒は、濃厚な近江鴨のお肉との相性も抜群。
「禁断の袋綴じ」とも言える組み合わせに、ワインもどんどん進みます。

あらゆる素材を組み合わせながら何でも詰められるサルシッチャは、無限の可能性を秘めたお料理とも言えるでしょう。
この先どんな袋綴じに出会えるのか、博覧会でも要注目のメニューになりそうな予感がします。

▼910シェフよりひとこと
当初考えていた珍博メニューの食材はなかなかハードな珍が並ぶものでした。ですがMJ、いやいやこんなに攻めなくても一般的には牛豚鶏が普通だから普通のスーパーに並んでいる食材以外のお肉なら珍になりうるよ、という事で近郊の滋賀県高島で生産されている近江鴨を使ったサルシッチャを使う事にしました。
この近江鴨、胸肉を普段仕入れるのですが手羽もくっついている状態で入荷します。手羽の部分はストックし、ある程度たまったらミンサーにかけてミンチに。余ったお肉で作るにはうってつけのサルシッチャにという訳です。
合わせるスパイスは、京都では旬の時期に1年分ストックする実山椒を合わせました。余り物の食材とストックした食材でいかに美味しい料理にするかを考えた組み合わせです。

▼MJまちゃおさんのプレイリスト
・Birds/Imagine Dragons
・Wings/Birdy


■6珍目:Revival(Deerhunter)

いよいよ、ラストのお料理です。
今回の大トリを飾っていただいたお肉は鹿。
トリオの間でも「鹿を食べるならこの食べ方がベスト!」と断言してはばからない「鹿のカツレツ」の登場です。
910シェフの絶妙な火入れによりレア感が残る上質な赤身のお肉を噛みしめると、鹿独特の香りが口の中に広がります。
博覧会を締めくくるにふさわしい貫禄が感じられるその堂々たる味わいに、参加者のみなさんも大満足の様子でした。

ちなみに、鹿肉の旬は夏。
春から夏にかけて豊富な新芽や若草を食べて育った鹿は、「夏鹿」として特に珍重されています。
加えて、先日、我々が「兄い」と慕う滋賀・余呉の名猟師さんにうかがったお話によると、冷凍前の生肉の状態は格段に味が違い、さらにおいしいとのこと。
次回、第1回目の博覧会は、そんな夏鹿に出会えるかもしれないタイミングでの開催も視野に入れています。
乞うご期待!ということで。
(加えて、今後の博覧会ではお肉とともに猟師さんをお招きして、貴重なお話をうかがえる機会も設けることができればとも思っております。こちらにもご期待くださいませ)

▼910シェフよりひとこと
最後は京丹波町で獲れた鹿肉です。柔らかい雌鹿の、モモ肉の筋の無い一番柔らかい部位を肉叩きで叩き伸ばし、更に柔らかくした柔らかさにこだわったカツレツです。鹿肉のどの部位でも美味しい料理に出来る自信がありますが、まだまだ初めて召し上がって頂く方もおられます。最初の印象が悪いとそれがずっと続いてしまって以後食べなくなってしまう事もあるので、1番だと思う物を仕入れています。
当日の料理が決まって、この内容ならこの順番で召し上がって頂こうと考えたものが馬で始まり鹿で終わるものになっていました。なんだか良いようにMJが使えたみたいでラッキー良かった良かった、キャプテン我ながらいい仕事したな!と思っています。

▼MJまちゃおさんのプレイリスト
・Revival/Deerhunter
・Deer In The Highlights/Owl City
・Deerhounds/the HIATUS


■閉幕:馬と鹿(米津玄師)

会場では、米津玄師の『馬と鹿』が流れるなか、まちゃおさんのクロージングトークとともにお料理談義に華が咲きます。
その歌詞の一節に、こうあります。

 まだ味わうさ 噛み終えたガムの味
 冷めきれないままの心で

この詞の中に登場している「ガム」を「肉」に変えてみてください。
全6品による珍肉のミステリーツアーを経てきた参加者のみなさんが、その旅路の余韻に浸るにはぴったりの歌詞ではないでしょうか。

改めて、全6品の旅路を振り返りましょう。

 ・1珍目:馬肉のタルタル、ロンバルディア産キャビア添え
 ・2珍目:鴨タンのロースト
 ・3珍目:芹のリゾット、鯨タン(さえずり)添え、サルサヴェルデのアクセント
 ・4珍目:鰐タンのロースト、トラバニ風アーモンドソース
 ・5珍目:鴨と実山椒のサルシッチャ、越冬じゃがいものピュレ添え
 ・6珍目:鹿のカツレツ

登場したお肉のラインナップは、以下の5種になります。

 ・馬(ウルグアイ)
 ・鴨(京都、滋賀)
 ・鯨(日本近海・和歌山)
 ・鰐(オーストラリア)
 ・鹿(京都)

「馬」「鴨」「鯨」「鰐」「鹿」の並びを見て、お気づきの点はあるでしょうか?

まずは1点目。
ある点に着目すると5種のお肉は「馬・鹿」「鯨・鰐」「鴨」の3つに分類できるのですが、いかがでしょうか?
各動物の生息地を思い描いてみてください。
馬・鹿は「陸」、鯨・鰐は「海(水)」、鴨は「空」。
今回の博覧会では、「陸・海・空」揃い踏みで、それぞれを代表するお肉に登場いただいたというわけです。
ちなみに、海代表のお肉で、冬が旬ではあるものの不漁であったために入手が叶わず、今回の出場を見送った珍肉があります。
残念ではありましたが、そのときの状況次第で入手が困難になったりする点も、珍肉ならではの特色の1つとも言えるでしょう。
(準備するシェフ泣かせではあるのですが。もひとつちなみに、出場予定だったそのお肉は、博覧会終了後に入荷を果たし、おいしくいただきました)

続きまして、もう1点。
締めの一曲、『馬と鹿』という曲のタイトルと照らし合わせて、ピンと来られた方はおられるでしょうか?
最初と最後のお料理にご注目ください。
「馬」に始まり「鹿」に終わるコース仕立てになっています。
馬からスタートした「珍肉をめぐる冒険」は、鴨から鯨そして鰐へと空と海を駆け抜け、鹿に辿り着く際にはすっかり珍肉の虜=「珍肉馬鹿」になっているというコースになっていたのです。

かくして、今回の0次会では、めでたく15名のMeat Challengerが珍肉馬鹿の仲間入りを果たされました。
2MC&1MJのトリオの思いつきから始まった珍博は、Meat Challengerというもう1人のMCが加わることで完成するブロックパーティーです。
筆者の頭の中には、たくさんのMeat Challengerが集い、まちゃおさんのいかした選曲とともに巨大なブロック肉をみんなでシェアする光景が浮かんでいます。
このレポートを読んでいただいた方の中にも、珍肉への興味に火が付き、血湧き肉躍り始めた方もおられるのではないでしょうか?
我こそは3人目のMCにふさわしいと思われたあなた!
珍肉馬鹿の一員になりたいと思われたあなた!
来たるべき第1回目の博覧会にぜひお越しください!
めくるめく珍肉の世界がそこに待っています。
血気盛んなみなさんのご来場を、珍肉トリオ一同心待ちにしております!!

▼MJまちゃおさんのプレイリスト
・馬と鹿/米津玄師


■後記:ボーナストラック

と、レポートを終えるにあたり、やはりと言うべきでしょうか、筆者の脳内にはこの曲がリフレインしています。
中島みゆき『ヘッドライト・テールライト』。
みゆきさんが優しく歌いかけます。

 旅はまだ終わらない

そう、珍肉の旅はまだ始まったばかり。
まだまだこれからです。
(と書きながら、「曲目の中に『テール』が入ってるなあ」と思ってしまうあたり、珍肉に魅せられた人間の悲しき性でしょうか…)

そして、もう1曲。
最後のおまけとして、がんばったおじさん3人に、改めて師匠たちのこの曲を捧げさせてください。
RHYMESTER『働くおじさん』。

ということで、第1回でお会いしましょう!
Salute & Ciao~!

▼MCモリクニの追加プレイリスト
・ヘッドライト・テールライト/中島みゆき
・働くおじさん/RHYMESTER


▼910シェフより最後にひとこと
今回は0次会、年内に本番を迎えます。
手探りながら無事に閉幕を迎える事が出来ました(この記事も手探り中)。
0次会ではそれぞれのお客様の食経験の違いによって、変わっていると思う方が多い食材でも別の方にとっては何度も経験がある食材だったり、個人個人で珍食材への捉え方が違っていました。
全てのゲストにとって【珍】となりうる食材を用意出来るかは分かりませんが、日本でもそうですし、世界の様々な地域でそんなものまで食べられるの?と思うような食材が存在します。そして料理があります。
何だかワクワクしてきませんか?
変わらずあくなき食への探究心を胸に、ダジャレまで意識しないといけないのかとハードルが上がっている事に恐々としながらも楽しんでいます。
我々と一緒に自称日本初であるスタイルの食事会を一緒に楽しみたい方の参加を楽しみに待っていますね。

3部作は今回で終了ですが1週間後に完全版を公開予定。

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