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Italicious Tasting Report 2

Vino Nobile di Montepulciano Toscana 
トスカーナにおけるサンジョヴェーゼの力

トスカーナのワインはいつだって人気。高級なキャンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノもいいけれど、気軽に飲みたい時、選んだらいいのはどんなワインでしょう?そんなときにおすすめするのが "ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ"。

モンテプルチアーノは2500年前にエトルリア人によってたてられたトスカーナ南部にある町。ワインが造られていた記述は789年から始まっています。モンテプルチアーノ丘陵の頂上には当時の偉大な建築家が建てた建造物が今も残っていて、町のシンボルはハゲワシ。これが協会のシンボルマークにもなっています。ヴィーノ・ノービレ(高貴なワイン)と呼ばれるようになった由来は1700年初頭、この地の領主や教会の聖職者たちが広大なワイン畑を所有していたためと言われています。また18世紀には香辛料と交換の貿易で、この地のワインがアジアの国々にも渡っていたそうです。

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モンテプルチアーノの街全体は16,500ha、そのうち2,000haがブドウ畑だというヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノは、1960年にDOCに認定、1980年には制定されたばかりの初のDOCGとして認定されました。主体品種はサンジョヴェーゼ種ですが、土地固有の名称としてプルニョーロ・ジェンティーレとも呼ばれています。

安定した品質と飲みやすさがあるものの、そもそも「モンテプルチアーノ」という名前のワインは他にもあり混同されがち(マルケ州やアブルッツォ州)。今までは何気なく飲んでいたワインをもっと理解したいという気持ちにぴったりとばかりに、現地とつながるオンライン・テイスティングに参加しました!
今日はヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ生産者協会(IL Consorzio del Vino Nobile di Montepulciano)の Andrea Rossi会長が、この地のワインの歴史や変遷とともに、これからは産地(トスカーナ)を明確にし、今以上に品質を高く安定させること、サステナビリティへの近年の取り組みなどについてご説明くださいました。このワイン産地が他と違うのは、同じ意志を持つ個々のワイナリーが集まる取り組みではなく、協会全体として同一方向で取り組んでいるということ。

解説されたVino Nobile di Montepulciano は下記の8アイテム、ワインジャーナリスト宮嶋勲氏の解説で、テイスティングが進められました。
1. FATTORIA DEL CERRO, Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2017
2. POLIZIANO,  Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2017
3. SALCHETO, Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2017
4. CASA VINICOLA TRIACCA, Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2016
5. CONTUCCI, Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2016
6. VECCHIA CANTINA DI MONTEPULCIANO, Cantina del Redi, Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2016
7. VILLA SANT'ANNA, Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2016
8. TENUTA VALDIPIATTA, Vino Nobile di Montepulciano DOCG 2016

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今日テイスティングしたVino Nobile di Montepulcianoは、2016と2017ヴィンテージ。2017は近年稀にみる酷暑の年、干ばつにも苦しまされ、ブドウの実が過熟しやすかったが、その分タンニンが柔らかで、飲み手に近づきやすいテイストの仕上がり。一方で、2016のほうはタンニンが厳格、Vino Nobileらしいクラシックなスタイルでエレガントなワインに。ワイナリーごとのキャラクターの差が明確になったヴィンテージとして、最高位の収穫年であったそうです。

私としてはどちらのヴィンテージも美味しく感じましたが、2017のほうがより繊細でエレガントさが感じられました。中でも、CO₂の削減や水の節約、大地への影響に配慮したサステナビリティに早くから力を入れているという、SALCHETOのワインに魅かれ、オンラインのメリットで、カンティーナ当主のMichele Manelli氏ともお話しできました。ワインはとてもクリーンでしなやかな味わいです。一見軽やかなテイストと思われがちなスタイルですが、実は非常に長い余韻とふくらみがあるワインで、このしなやかな伸びをどのように醸し出しているのでしょうか。

他に1000年の歴史をもつCONTUCCI、スイスの会社がオーナーのTRIACCA、Società CooperativaのCantina del Redi、単一畑でワインを造るTenuta Valdipiattaなどが印象に残りました。味わいは、パワフルで果実味をたっぷり感じる親しみやすい造りか、もしくは内向的で閉じているが深みを秘めた厳格なスタイルかという二つに大きく分けられました。

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レストランのワインリストのトスカーナに、Vino Nobile di Montepulcianoが1本でも多く入りますように、そしてステイホームで楽しむ我が家の食卓に並ぶワインの中にも、オンリストしようと思います。圧倒的にお肉料理によく合いますね。そして又トスカーナに行ける日が来たら、ウサギの煮込みに合わせてみたいです!

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