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6thライブと、これからのAqours

ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 6th LoveLive! ~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~ <WINDY STAGE> に参加してきました。

僕がこのライブで見たかったもののひとつは、これからのAqoursについて何が語られるのか、です。

アニメを基盤とするライブは5thライブが最後です。‪Next SPARKLING!!‬をもって劇場版までの物語をなぞり終えたAqoursは、その次のナンバリングライブでこれからの進み方を提示してくれると思っていました。

ナンバリングライブはラブライブ!サンシャイン‼︎ の物語を構成する重要なパーツです。1st,3rd,5thはアニメのキャラクターの物語を進めるライブで、2ndと4thは以下のような意味と捉えています。

2ndライブ。μ'sから夢を受け取り、自分たちの道を進むと宣言する曲 HAPPY PARTY TRAINをメインテーマに据えて、その曲を軸にした全国ツアーを通して、(μ'sではなく)Aqoursが大好きですか?と問うライブです。

開いた花の香りから 受け取ったよ次の夢を
HAPPY PARTY TRAIN


4thライブ。アニメ1期11話「友情ヨーソロー」ではなく、Aqours 1stライブを基にした内容の「想いよひとつになれ」を披露し、キャストからキャラクターに向けたThank you, FRIENDS!!という楽曲をメインテーマに据えています。アニメとのシンクロ以外の道を見出すライブです。

Aqoursがμ'sと違う道を進むことは、上記の2ndライブや、1期12話「はばたきのとき」等で語られています。ついに東京ドームまでたどり着いたAqoursは、そこでアニメとのシンクロだけに頼らない道を選択し、先代とは違うやり方で輝くことを選びました。

そこで6thライブです。劇場版を基盤とする5thライブを終えたいま、どうやって物語を進めるかを決めなくてはなりません。ナンバリングライブですからね。2ndと4thの流れからして、決意のようなものを提示する必要がありそうです。


さて。

そんな6thライブの目的は、みんなにスキを伝えることと、「もう一度東京ドームに立つ」約束を守ることでした。

Aqoursは気持ちを伝える曲を軸に組んだセトリで、名古屋と埼玉のドームを回ってくれました。
ツアーファイナルではこんな情勢にも関わらず、一度は中止になった東京ドーム公演を開催し見事に4thライブで交わした約束を守ってくれました。



「約束を守る」ことを目的としたWINDY STAGEでは、再び東京ドームに立つこと以外にも守られた約束がありました。

4thライブにて高槻さんと小林さんは「センターを取る」宣言をしました。当然、この2人の約束も6thライブの目的となり得ます。

今回のライブで使用された舞台装置は3つ。
⑴ムービングステージ
⑵未体験HORIZONの蝶
⑶Deep Resonanceの花火

⑴のムービングステージは後半のステージ移動に使っていましたね。とすると、花丸センター曲と善子センター曲のみ舞台装置が用意されていることになります。この2曲はオーケストラ演奏もありました。どう考えてもこの2曲だけ特別扱いされています。この2曲を最高に豪華に披露することで、約束を果たしてくれました。

4thシングルのセンターは1人だけなので、2人の約束を同時に守ることはできません。善子は4thシングルのセンターになることができませんでした。
しかし「センターを取る」約束はしっかりと守り、その証明であるDeep Resonanceを素晴らしい形で見せつけてくれました。今回のライブでいちばん盛り上がった曲なのではないでしょうか。

3rdシングルのHAPPY PARTY TRAINは、μ'sとは別の道を進む曲だと書きました。
それでは4thシングルの未体験HORIZONはどうでしょう?これは「新しい夢への挑戦」を宣言する曲です。最後のアニメ再現である5thライブの後に満を辞してリリースされたこの曲は、次のナンバリングライブである6thで披露されるべき1曲と言えます。これからのAqoursは、まだ誰も走っていない方向へと舵を切ることになります。



今回のライブでは、浦の星交響楽団が演奏を行ってくれました。生演奏を聴けることがとても嬉しくてサウンドトラックCDをたくさん聴いていたら、どのシーンで流れていた曲かがわかるようになりました。これ楽しいのでオススメです。

演奏された曲のなかで注目したいのが1日目の「新しいAqoursを見つけたい」と2日目の「原点回帰でもう一度」です。どちらも劇場版の曲で「3年生が卒業して、これからどうしよう?」みたいなシーンで流れている楽曲です。まさしく今のAqoursを表していますね。逢田さんが1日目MCで語っていたように、いまのAqoursは基盤にすべき物語を失っている状態です。

新たに幻日のヨハネがアニメ化するようですが「みんなが知らない物語」といった謳い文句である以上、物語の中にアイドルのファンはおらず、現実に落とし込むような内容ではないように思えます。「みんなで叶える物語」だからこそラブライブです。

それでは、Aqoursはこれからどうやって進んでいくのでしょう?
この問いに対する答えは、ライブ本編で宣言されることになります。


WINDY STAGEは、1日目2日目でかなりのセトリ変更を行っています。前述のサウンドトラック曲もそうですが、セトリの半分が入れ替わっています。

その中で入れ替わらなかった曲は以下です。

・なんどだって約束! 
・未体験HORIZON
・KOKORO Magic “A to Z” 
・GEMSTONE “DE-A-I” 
・Next SPARKLING!! 
・i-n-g, I TRY!!
・KU-RU-KU-RU Cruller! 
・Deep Resonance 
・smile smile ship Start! 
・君のこころは輝いてるかい? 
・SUKI for you, DREAM for you! 

新規楽曲、前述したセンター曲、ライブテーマ曲など、重要な曲ばかりです。
そんな風にセトリを見ていくと「Next SPARKLING!!‬」と「i-n-g, I TRY!!」はちょっと雰囲気が違いますよね。これらはどうしても入れたい曲っぽい、とわかります。せっかく浦の星交響楽団が来てるのにキセキヒカルが1日だけですからね。この2曲を組み込むのは、それよりも大事なことなんです。

‪Next SPARKLING!!‬は新しいAqoursの始まりの曲です。この曲の直後にi-n-g, I TRY!!を持ってきているので、Aqoursが「自分たちはまだ走っている途中だ」と語りたいのだろうと想像がつきます。‪
Next SPARKLING!!‬を聴いて5thライブを思い出し感情に浸っていた僕ですが、「なつかしいなんて後にしようよ」と言われてしまいました。ごめんなさい。これからは今を生きます。

進路決定! まっすぐ前だ!
i-n-g, I TRY!!


Aqoursは前に進み続けることを宣言しました。劇場版で梨子は「私たちの答えは、前に進みながらじゃないと見つからないと思う」と話していますしね。
これからも一生懸命走って、そのたびに見つかる新しい夢を次々と叶えていく。
これが、いまのAqoursの決意でした。

動いてないと探せない 休んでも止まらないで
キセキヒカル




おまけ

なんとなくですが、ラブライブ!サンシャイン‼︎ はキャラクターとキャストの同期からアニメと現実の同期へと向かっているように感じています。

たとえば沼津の存在。
僕たちは現実の町へ足を運ぶことで、キャラクターたちを感じることができます。アニメの中でたくさん描かれた沼津の町並みに触れることで、あの世界に近づくことができます。
テーマパークは現実をフィクションに近づけることで客に没入感を与えていますが、ラブライブ!サンシャイン‼︎はその逆ですね。アニメを限りなく現実に近づけることで、現実の世界とアニメ世界の境界を曖昧にしています。ステージ上のアイドルだけでなく、世界ごとシンクロさせようとしているように思います。

たとえば劇伴の存在。
浦の星交響楽団の登場で、劇伴(アニメ中に流れているBGM)の注目度が一気に上がりましたね。
僕たちはラブライブ!サンシャイン‼︎ のアニメで流れていた音楽を聴くことで、あの世界を思い出すことができます。2期のサウンドトラックなんてまさにそうです。ほとんどの曲が「起こそうキセキを!」と同じメロディを使っているため、何度も聴いた音とあの世界がリンクするようになっていきます。ライブでもほとんどの方が「あ、このメロディ聞いたことある」と感じるでしょうし、たくさんアニメを観た人なら「これはあのシーンの曲だ!」と気づいて涙したりします。
冷静に考えたら、アニメで流れてた音楽を演奏するだけで観客を感動させるってちょっとやばいですよね。

たとえばAqoursぬまづフェスの存在。
浦の星の生徒と一緒にフェスを作るイベントで、"そこ" にAqoursがいるように感じさせる仕掛けがたくさん用意されていました。彼女たちの用意した企画、彼女たちが書いた文字、なんなら声だって聞こえてきます。
参加者が干渉することでその世界の物語は進み、その日その回だけの、唯一無二のフェスが完成します。僕たちはAqoursと一緒にフェスを成功させることができました。

これらは全て、僕たちの中にあるAqoursとのたくさん想い出の上に成り立っています。だから、聖地巡礼をしたり劇伴を聴いたりするだけで、何度でもAqoursを思い出すことができ、彼女たちの世界に近づくことができます。

Aqoursがシンクロパフォーマンス以外の道に進んだことも「μ'sと違う道を選ぶ」ラブライブ!サンシャイン‼︎ の結論そのものです。シンクロのためにシンクロしない、というのは少しややこしい話ですけどね。

現実のAqoursは、ラブライブ!サンシャイン‼︎ の物語にしたがって、現実のμ'sとは違うやり方で、これからも新しいものを見せてくれると信じています。

Aqoursは約束を守ってくれますからね。

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