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"いつものところで" 短編小説

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大切なあの人に会いたくなる、そんなものがたり。
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記事一覧

初恋とコスモポリタンと。【第七話】

「きれいだったなぁ」 「うん、綺麗だったね」 「えみちゃんも、綺麗だよ」 「ありがとう」…

涙をこらえた夜はダイキリで【第六話】

ー不採用ー 今日までの1年は、たったの3文字におさまった。 この会社で働き始めてから目標だ…

未来のフレンチトースト【第五話】

引っ越して1ヶ月、段ボールが少しずつ片付いた。 人生で2度目の引っ越し、あの日のまま時間…

覚悟したニコラシカ【第四話】

「えみちゃん、いつものところで会いたい」 「了解、すぐ行くね」 「どうした?何かあった?…

真夜中のいちごパフェ【第三話】

「こんばんは、ご無沙汰してしまって」 「こんばんは、いらっしゃいませ。お元気でしたか?」…

カカオフィズ【第二話】

このまま1人になれる気がしなかった。 いつもの帰り道は、初めて見るかのように空気だけはす…

クリームソーダ【第一話】

「さむいっ」 冷たい空気が鼻の奥をツンと刺激した。 いつもより1時間遅く始まる日曜日、お気に入りのピンクのカーデガンを羽織り外へ出る。 秋から冬に季節が移り、空気さえ冷たい香りに変わり街全体も冬支度がはじまった。日差しが当ってキラキラとひかるアスファルトが「行ってらっしゃい」と声をかけてくれているようで、冬の朝は特に好きだ。 土曜日のざわつきが残った商店街。 クリスマスの飾り付けをする市の職員を横目に、いつもの喫茶店へ。 カランッ。 カウンター6席とテーブル席3