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【ルームシェア】席を間違えてる感じ出してくる【横行】

2023/02/22

俺はずっと席を間違えていた。

誰かに用意されたものならまだ良い。

例えば、レストランで案内された席が、本当は予約が入っていて、

別の場所に移動しなければならないとか

そんなことなら少しの恥で済む話だ。


でもそれが自分で選んだものだとしたら

自分で用意したものだとしたら

恥ずかしいなんてものじゃない

いっそその場から

いやこの世界から

いなくなってしまいたいと思えるほど

辛くて悲しいものなのだ。


初めてのデートからそんな気はしていた。

いや、そう言う結果になって後付けで記憶を改竄しているのかもしれない。

わかっていたと思う方が辛さが和らぐから

まあ、とどのつまり

どうだったかなんて今ではわからない。


ただあの頃から、俺は間違った場所に座っていた。

居座っていたことには間違いないのだ。


好きじゃないなら食事に行かなければ良い。

好きじゃないならプレゼントを貰わなければ良い。

好きじゃないなら映画で聞くような甘酸っぱい台詞を並べなければ

並べられても頷かなければ

勘違いするような

間違わせるような

そんな反応をしなければ良い。

なんて思うのはやっぱり

勘の悪い人間の我儘な意見でしか無いのだろうか?


ただ隣にいたかっただけなのだ。

ただ共にしたかっただけなのだ。

ただ居場所がそこであって欲しかっただけなのだ。


だけれども

俺だって座りたいところに勝手に座る子供ではないのだ。

椅子がなければ地面にしゃがみ込む子供ではないのだ。

ルールを守らずに

椅子取りゲームでわがままを言って

楽しい空気を壊すほど

子供ではないのだ。


だから、一言言ってくれれば

申し訳ない気持ちは勿論あるし

辛い感情もわかるのだけれど

一言

そこが俺の席でないことを言ってくれれば

頭を下げて恥ずかしそうに席を譲るほどには大人なのだ。


自分以外にはわかりきっていて

自分だけが知らなくて

むしろ君の気持ちが一番で

君だけが知っているのであれば


何もわからずに

しっかり予約もとれていない

待ち人の来ない

お洒落な雰囲気の

これから告白するのにうってつけな

レストランの二人席に座り続ける方が

何よりも辛いのだ。


#ルームシェア#板橋ハウス#座席番号



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